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チンピラに絡まれる。そして、教官にしごかれる

 ユウマは夕食を食べる為に一階にある食堂に降りてきた。そこで、宿屋のおばちゃんに声を掛ける。

「おばちゃん、晩ご飯頂ける?」

 受付に居たおばちゃんに晩ご飯を頼む。

「あいよ。 そこら辺に座って待ってなよ」

 おばちゃんに言われた通りに席に座って、暇だから、周囲を観察していた。この宿屋だけでも、案外お客が居る。


 少し待っていると「お待たせしました」と若い女性がユウマの前に料理を置いてくれた。看板娘かは知らないが、それだけ、言ってすぐに違うお客さんの相手を始めた。


 異世界最初の夕食は、シチューに黒パンにサラダだった。見た目は普通だ。勿論、中の具材はユウマの知らないモノばかりだろう。てか、想像もつかないと思われる。それを気にせずに食べ始める。その結果はかなり美味い。異世界の料理には、あんまり期待してなかったんだけど、嬉しい誤算だった。

 

 食事をしていると、見知った声が聞こえた。


「あっ! ユーマじゃねーか」

 名前を呼ばれたので、振り返ってみるとレイゲルとミーアの二人が居た。

「お昼過ぎぶりですね」

 冒険者ギルドに行く前に別れた2人だ。

「ユーマさんもここの宿に泊まっているんですか?」

 ミーアが聞いてきた。

「そうだよ、「も」って事はレイゲルさんとミーアもこの宿なのか?」

 二人は、ユウマの傍の席に座って料理を注文し始めた。

「うん。そうだよ」

 ユウマは後で、二人に魔技マギ能力スキルの事に付いて詳しく聞こうと決めていた。現在、ユウマの知り合いは凄く限られているのだ。

 三人で少し会話をしていたら二人の料理も運ばれてきた。

「食事が終わったら二人に話があるから、俺の部屋に来てくれないか?」

 先に食事が終わったユウマは二人にそう伝えた。二人とも二つ返事でOKしてくれた。ユウマは助かったと思った。


「ありがとう。 俺の部屋は3号室だから、後で来てくれ」

 それだけ言って、二人の食事の邪魔をしては迷惑と考え、先に部屋に戻った。そして部屋で少し待っていると、ノックが聞こえたので、「入ってくれ」とだけ言った。

 二人は食事が終わって一度部屋に荷物を置いてきたようで、身軽になっていた。そこで、二人に魔技マギ能力スキルの事について訊ねた。



 二人とも一般的な事しか知らなかったが、色々と教えてくれた。


「つまり、魔技マギとは魔力を使って発動する技って事だよな?そして、能力スキルは生まれたときから所持してる奴も居れば、過酷な修錬を積んで習得する奴も居るが、固有ユニーク以上は基本的に先天性のモノが多く強力であるって感じか?……ザックリとまとめてみたけど」 


 ユウマは二人から聞いた内容を簡単にまとめてから確認してみた。

「まぁ、そうだな」

「簡単に言えば、そうみたいですよ」

 レイゲルとミーアも概ね、ユウマの解釈が正しいと言った。二人には、それ以外にも色んな質問をした。魔技マギの発動の仕方や日常的な事まで幅広くだ。



 ユウマ達が話を始めてから、数刻の時が経過した。数時間ぐらいは話していただろう。

「もう、こんな時間じゃねーか」

 レイゲルもこんなに時間が経過したとは、思っていなかったみたいで少し驚いていた。

「ミーア そろそろ俺達も部屋に帰ろう。明日も早いからな」

 レイゲルの言葉を聞いてユウマ、とある疑問を浮かべた。二人は朝早いのか。いや、朝早いのは、この世界では普通だ。それよりもだと!?これは確認しないと大変な事が起こるカモしれないと思ったユウマはレイゲルに質問をした。


「レイゲルは、ミーアと同室なのか?」

 何を当たり前の事を聞いているんだ?みたいな顔をされた。この時にユウマは悟ってしまった。

「早まるなー!! 警察の世話になる気か!?」

 ユウマは突然、大声でレイゲルを呼び止めた。レイゲルとミーアとは、今日一日でかなり仲良くなれた。お互いに呼び捨てで名前を呼ぶようにもなっている。レイゲルは元々だったが。それなのに、レイゲルとはお別れなのか? 


 いや、友が道を間違えた時は、力ずくでも正すのが本当の友人だ。

「ケーサツ? なんだ、それは?」

 レイゲルは言葉の意味が分からないと首を傾げている。とぼけても無駄だ。証拠は挙がってんだ。


「俺は友が正しい道を踏み外した時に、正しい道に連れ戻すのは友達の役目だと思うんだが、レイゲルはどう思う?」

 レイゲルもその通りだと語った。


「俺は、お前の友達だと思っている。だから、俺は、友の為に友を討つぞ!」

 レイゲルは、何の話だ?と顔をしているが、ユウマは止まらない。


「いくぞー!! 覚悟しろ!ロリコンめ!」

 このユウマの言葉でやっとレイゲルは状況を理解したみたいで慌てて否定する。


「俺はロリコンじぇねーよ!!それに、ミーアはもう、子供も産めるんだぞ!」

 ミーアの方に顔を向けてみると、本人は顔を真っ赤にしていた。ユウマは肝心な事を聞くのを忘れていた事を思い出した。それは……


「ミーアって今何歳?」

 ユウマはミーアの正確な年齢を知らないのだ。憶測で測っていたから。

「14歳ですよ」

 ミーアのその言葉を聞いてユウマは確信した。レイゲルはロリコンだと。日本だと完全にアウトだろう。そういえば、ここでの成人って何歳からなんだ? ユウマはこの世界の事は詳しくない。その為に、それをレイゲルに確認してみた。


「15歳からが成人だぞ」

 ユウマは悩んだ。日本とは五年も違うからだ。

「これは、ロリコンに分類されるのか?」

 ユウマは答えが分からずに、つい、口から疑問が出てしまった。

「俺は、ロリコンじゃない!保護者みたいなものだ!!」


 ユウマは悩んでいたが、レイゲルの否定ぶりが逆に怪しかったが、彼を信じてみる事にした。

「わかったよ レイゲルを信じよう」

 ユウマのその言葉を聞いて、レイゲルもホッとしている。

「ミーアも気を付けるんだぞ?ミーアは、可愛いんだからさ」

 ユウマは急にミーアの方に向いて、注意する様に聞かせたが、ミーアは可愛いと言われてから、照れているのか下を向いたまま頷くだけだった。そして「可愛いって私が?」みたいな事を呟いていた。まだ、顔は真っ赤なままだった。


「それじゃ、俺は寝るから、二人とも明日早いんだったら早く寝ろよ」

 二人は「お休み」と言って部屋に戻っていった。ユウマも二人が部屋を出てからその後にすぐに眠りについた。


 

 そして、翌日。ユウマは『|伝説の(レジェンド.)生活術(ザ.アライブ)』のアラームを使って六時に目を覚まし、一階にある食堂に向かった。ユウマが食堂に行くと、レイゲルとミーアが既に朝食を食べ終わったところだった。


「二人とも、おはよう」

 ユウマが二人にに挨拶すると、二人もユウマに気づいたようで「おはよう」と返してくれた。

「これから、仕事か?」

 ユウマが聞くと、これから護衛のクエストらしく一週間ぐらい帰ってこれないとのことだ。

「そうか、頑張れよ」

 と、それだけ言うと、朝食を注文した。二人は自分の部屋に戻り、最終準備をしてから行くと言ってた。

 数分後にユウマの朝食が運ばれてきた。それから食事を始めようかというタイミングで二人が降りてきた。

「そういえば、ユーマはこれからどうすんだ?」

 レイゲルは呑気に朝食を摂ってたユウマにこれからの予定を聞いてきた。

魔技マギ能力スキルの練習をしながら、簡単なクエストをこなすつもりだ」

 ユウマの返答を聞き「頑張れよ」とだけ言って、二人は出て行った。ユウマも朝食を食べ終えてから、部屋に戻りギルドに向かった。


 ギルドに着くとかなりの人が居た。昨日と違い、これから依頼クエストを受ける人達でごった返してた。ユウマはニーナさんの列に並んで自分の番が来るのを大人しく待っていた。そして、やっと自分の番のところまで、順番が回ってきた。ユウマは修錬場で魔技マギや魔法を練習しようと思い、使用方法や教官を頼みに来ていたが、急に柄の悪そうな筋肉ダルマみたいなおっさんが割り込んできた。


「ガキが邪魔なんだよ!」

 筋肉ダルマのおっさんはそう言ってからユウマを突き飛ばした。

「痛ッ!」

 ユウマは背中からギルドの床に落ちた。ユウマは誰かに突き飛ばされた事に気付き、突き飛ばしてきた筋肉ダルマなおっさんを睨みつけた。


「何するんだ!?」

 ユウマが大声を挙げた事で、周囲もユウマ達の方に意識を向けてきた。そして、周囲が急にざわざわし始めた。


「おめーみたいなガキが並んでんじゃねーよ!邪魔なんだよ!」

 ユウマは基本的に好戦的な性格ではないが、おっさんに右手の指をクイって動かし「かかってこいよ!」みたいな挑発をした。

 挑発を受けたおっさんは、挑発に乗ってか、殴りかかってきた。おっさんの拳をユウマは受け止めてみせた。体格で劣っていたユウマが余裕で受け止めた事に相手も驚いていた。実際は地味な痛みがあった。カッコ悪いので、表情には出していない。

(カッコ付けずに躱しとけばよかった)

 ユウマは少しだけ、後悔していた。そして、おっさんにお返しだと言わんばかりに本気で右回し蹴りを放った。

 おっさんは余裕でガード出来るだろうと、腕でガードしたけど、壁の方に吹っ飛んだ。ビッグベアーを一撃で仕留めたユウマの攻撃を防ぐには力が足りなかったようだ。まぁ実際にビッグベアーはナイフでのダメージも負っていたんだが。

 さらに、周りの奴が騒ぎ出した。聞こえてきた話によるとCランクのおっさんをユウマみたいな子供が倒した事に驚いているみたいだ。

 

 それらの事をスルーして受付嬢のニーナのところに行って、訓練したいんだけど、どの教官が優秀なのか知らないので聞いてみた。

 ニーナもさっきの事を驚いてたみたいだけど、すぐに切り替えて教えてくれた。彼女もプロだからか、切り替えが早かった。それから彼女のお勧めで現在、手の空いている教官に訓練をつけてもらえる事になった。教官に訓練を視てもらうには前もって予約が要るらしい。無くても、今回の様に予定が合えば、見てくれるんだとか。

 急いで修錬場に向かった。この場に留まっていると、他の冒険者達の視線が気になるからだ。


 地下にある修錬場の受付に着くと、さっき教えてもらったキンブリーって教官を呼んでもらった。

 少ししてから受付の奥から一人の男性が出てきた。この人がキンブリーだろう。偶然、手が空いてるみたいだから良かったけど、次からは予約しとけって、キンブリーはユウマに小言を言ってきた。


「ところで、ユーマ君は何の訓練がしたいんだい?」

 キンブリーと修錬場まで歩いていると、ふと尋ねられた。

「魔法が使いたいです! それと、近接格闘術ですかね」

 一番に魔法が使いたいと答えたのは魔法の無い地球から来たのだから仕方ないと云えるだろう。


「わかった。では、最初は魔法に関するところから行くか。ユーマ君は、魔法を使用するには素質が必要なのは知っているかい?」

 その事は昨夜にレイゲル達に聞いていたので、知っていたので、素直に頷く。

「それなら、先ずはユーマ君に確認なのだが、魔法の適正はあるのかい?」

 魔法だけは能力スキルが先天性なのだ。ユウマみたいに特別な魔導具を使わない限り。

「ハイ。『氷結魔法』があるらしいです」

 ユウマは昨日の話を思い出す。氷結魔法の能力スキルを持っていると話したら、氷結魔法なら覚えれると教えてもらったのだ。


「水属性の派生の氷結魔法だね。私も魔法が使えてね、雷の派生属性の迅雷魔法の適正を持っているんだよ。雷よ、纏え 《サンダーウェアー》」

 キンブリーは話しながら身体に雷を纏った。

「これが、迅雷魔法だよ。ユーマ君の氷結魔法と一緒で派生属性の魔法は特化型なんだ。何でか分かるかい?」

「いえ、全然わかんないです」

 ユウマは分からないので、首を横に振った。


「そういえば、ユーマ君は魔法初心者だったね。基本の属性魔法の火、水、風、土、雷、光、闇の属性魔法は応用性に秀でているんだ。もっと分かりやすく、言うと君は氷結魔法が使えるから氷を出すことが出来るけど、水魔法の使い手も氷は出せるんだ……意味分かるかな?」

 キンブリーは丁寧に説明していく。

「はい、分かりますよ。水を創り操るなら氷にも出来るって事ですよね?」

 ユウマは自分の見解を述べてみた。


「正解だ。では、属性魔法と派生魔法ではどちらが優秀かわかるかい?」

 キンブリーは再度ユウマに質問をした。


「属性魔法の方が優秀に思えますけど、キンブリーさんはさっき、派生魔法の事を特化型って言ってましたので、甲乙を付け難いですね」

 ユウマの回答を聞いてキンブリーは満足げに頷いた。

「その通りだ。どちらにも良い面と悪い面があるのだ。応用性に優れている属性魔法では、派生魔法の真似事は出来ても出力に決定的な差が出てしまうんだ。例え、賢者が使ってもね。まぁ大量の魔力を使えば、威力の底上げは出来るんだけどさ」

 


「では、魔法を使ってみようか。ユーマ君は魔法はどうやって使うか分かるかい?」

 ユウマは魔法を一度しか見ていない。レイゲル達と初めて会った時にミーアに治療してもらった時にしか見ていないので、あの時の事を思い出してみた。


「えっと、先ずは手を対象に向けてから……呪文?みたいな言葉を言ってたような気がします」

 ユウマはあやふやだが、何とか答えた。

「まぁ概ね正解かな。何で対象に手を向けていたか分かるかい? それと、詠唱をする理由も」

「詠唱をする方が、カッコいいから……ではないですよね。手を向ける意味も分かんないです」

 二つの質問にユウマは悩んだ。

「まぁ、カッコいいからって理由もあるカモしれないが、魔法は魔力をその属性に変換する技術なんだ。変換する時に言葉にしないと世界のことわりに組み込み込めないんだ。それに自身がイメージしやすいからね。まぁ詠唱が無くても無詠唱や詠唱破棄って能力スキルもあるんだけどさ」


 世界の理と言われても意味がわかんないけど、要するに詠唱が大事って事が伝えたかったらしい。

「詠唱の意味はわかりましたが、手を向ける意味は?」

「そうだったね。手を向けるのは単純に方向を指しているんだ。これは慣れてくるとしなくても大丈夫なんだけどね。じゃあ早速訓練を始めるよ。さぁ構えて」


 魔法って構えとかあるんだとか考えていたら、完全に近接戦闘の構えだった。ユウマが驚いていると、キンブリーは「詠唱とかを考えておいて」と言ってから拳を振るって来た。


「ちょっ! マジですか!?」

 ユウマはバックステップで後方に回避したが、流れる様にキンブリは追いついてきた。そのままボディに数発喰らわせてきた。


「ガ八ッ、ちょっと……タイム」

 肺から空気を全て吐き出してしまい、声を出すのもしんどいが何とか出せた。

「タイムなんて、実戦ではないんだよ。さぁ構えて。次からはタイム無しね」

 とりあえず、一旦攻撃をストップしてくれたが、次からは止めてくれないみたいだ。

「えっ!? 無理ですって、俺みたいな低レベルなんかが、キンブリーさんの相手になるわけないじゃないですか!」

「相手を出来る様にこれからするんじゃないか。それにキチンと手加減もしてるさ。私は右腕しか使っていないよ。ユーマ君のレベルはさっきギルドカードを受付に出している時に見せてもらったから大丈夫さ」


 言われてユウマは気付いたが、確かにキンブリーは右腕しか使っていなかった。


 キンブリーの右の拳がユウマの顔面に迫る。ユウマは動体視力も良いお蔭で、何とか避ける。しかし、キンブリーの巧みなフェイントを織り込まれ、何発も受けてしまう。


「意外と躱すね。レベルが14とは思えないね」

 固有能力ユニークスキルの『無刀流』の補正が掛かり、ユウマの身体能力は大幅に上がっている。それでも、動きなんかは完全なド素人である。喧嘩慣れすらしていないユウマの攻撃は全て躱されてしまう。


「中々に鋭い突きだよ。でも、当たらないと意味がないよ」

 余裕の表情で攻撃を躱しながら、カウンターを放ってくるキンブリー。そのカウンターを直撃してユウマは後方に倒れ込んだ。


「まぁ今回はこのぐらいにしておこうか。すまないけど、私は午後から予定があるんでね。また訓練する気になったら予約入れといて。それと、魔法の詠唱は早めに考えて頭の中でイメージしておくこと」

 ユウマはキンブリーにお礼を言い、その後も少しの間、修錬上ので仰向けに倒れていた。



 ユウマを訓練してくれたキンブリーは迅雷魔法と徒手格闘術の使い手だった。ユウマは軽く練習するつもりだったのに、昼近くまで訓練を続けていた。もし、キンブリーに昼から用事が無ければ、いつまで続いていたんだろうか? 約四時間も訓練をしていた。最初の数十分は魔法の講義だったけど。


 かなりのスパルタだったが、最後の方は褒められた。レベルの割に身体能力も高いとのことだ。まぁ『無刀流』のお蔭なんだけど。それでも、最近の若者はダメだと思っていたが、見どころがあると言ってくれた。キンブリーもまだまだ若いが。 何で教官になったんだろう? まだ、三十代前半ぐらいなのに。

 

 受付に戻り、キンブリーを指名で予約を頼んだ。明日の昼から空いてるので、その時間に予約を入れた。そして、ユウマは昼食を頼みにギルドに併設してある酒場に向かった。酒場と言っても普通の食事も出来る。



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不慮の事故で死んでしまった主人公。だが、彼の人生は終わってなかったのだ。 天使のお爺さんに異世界に転生してもらい、憧れの異世界ファンタジーの世界に行ってから彼は何をするのだろうか?自分の厨二と直感を信じた、彼の物語が幕を開ける。
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