人と遭遇。そして、初めての仕事
※改稿版です
音が聞こえ始めて少しの時間が経過した頃に、馬車が見えてきた。
森の中でも、馬車って使えるのか?とユウマは呑気に考えていた。近くに道があった事にまだユウマは気づいてない。
馬車がユウマの傍で止まった。ユウマが警戒していると、馬車からオッサンが降りてきた。
「お前達がビッグベアーを倒したのか?」
多分、あの熊のことを言ってるのだろうか?
「あの熊なら、俺が倒したぞ。襲われて死にかけたからな」
オッサンは信じられないって顔をしている。
「仲間は、どうしたんだ?」
一人で倒したとは思っていないらしい。
「仲間は、いない。 俺、一人だけだ」
「そうか……って、おい! 血が出てるじゃんか! 」
オッサンはユウマの腕から血が流れている事に気付いたっぽい。
(いや、気づくの遅いだろ)
「腕は、大丈夫か?」
気付くのは遅いが、心配してくれてるみたいだ。意外と良い奴なのかもしれない。
「あの熊との戦闘でやられたんだが、治療道具を持ち合わせていなくてな」
嘘をついても、仕方ないから本当の事を話してみた。
「おーい! ミーア、来てくれ?」
オッサンは誰かを呼んだ。
「レイゲルさん、どうかしましたか?」
呼ばれて、こっちに来た少女と目が合った。金髪で蒼い目をしている。歳は12、3ぐらいだろうか?髪は肩ぐらいまで伸ばしてある。けっこう可愛い女の子である。
杖を持っているので、魔法が使える人なのだろうか?
「ミーア、こいつの傷を治してあげれるか?」
ミーアと呼ばれた少女は頷き、魔法の詠唱を始めた。
「わかりました。彼の傷を癒せ! 《ヒール》」
ユウマの左腕は、白いっぽい光に包まれている。暖かく、心地いい感じだ。 腕の痛みも徐々に治まってきた。
「腕を治療して頂き、ありがとうございます」
ユウマは素直にお礼を言って、自己紹介を忘れていたので、自己紹介を始めた。
「自己紹介をしていませんでしたね。 俺の名前は ユウマ.ジンノです」
英語みたいに名前から言ってみた。
オッサン達も、自己紹介を始めた。
オッサンの名前はレイゲルという名前で冒険者のランクCに位置するらしい。
俺の治療をしてくれた少女は、ミーアという名前で冒険者のランクはEらしい。
そして、馬車の操縦席に座ってる小さなオッサンは、アンソルという名前で鍛冶師をしているらしい。アンソルさんの身長は1mぐらいしかなくて、毛が剛毛だ。
これって、ファンタジーの定番のドワーフなのだろうか?
ユウマは気になって、ずっとアンソルさんの方を見ていたら、アンソルと目が合った。
「どうした?小僧よ ドワーフが珍しいか?
アンソルが声をかけてきた。
「いや、すみません。 初めて、見たもので」
「そうか、気にせんでもいい! この辺には案外少ないからな」
やっぱり、ドワーフなんだ。ドワーフが居るってことは、獣人やエルフもいるのだろうか? 考えるだけでも、テンションが上がってきた。
そんなことを考えると、レイゲルが話しかけてきた。
「このビッグベアーの素材を譲ってほしいんだが?」
ユウマには必要のないものだったのでOKと返した。
「そうか、ありがとう。 いくらだ?」
ユウマはこの素材の相場も分からない。そこで、悩んでたらイイことを思い付いた。
「お金は要らないから、俺を近くの町か村まで連れっていてくれないか?」
一人だったら、迷って森からも出れなかった事を考えると問題はないはずだ。
「それだけで、いいのか?」
その言葉を聞いてユウマはもう一つ頼みごとをした。
「なら、俺に常識を教えてほしい」
「わかった 本当にそれだけでいいんだな?」
助かった。ユウマは素直にそう思った。この世界には分からない事が沢山あるからだ。情報の有無は大きい。
「問題ない!」
それからの行動は迅速だった。レイゲル達は熊の解体をしているみたいだった。
皮を剥いで、腹の辺りをさばいている。すると、腹の中から綺麗な宝石が出てきた。
「それは、なんだ?」
ユウマは物珍しそうに見てから訊ねてみた。すると、魔石だと教えてくれた。熊の死体を燃やして、その場を後にした。
これから、3人が住んでいる都市エルネストに向かっているらしい。
今のうちに、いろいろと話を聞いておこう……数時間後、あと少しで到着するらしい。
分かったことをまとめてみた。
.エルネストは、工業都市だってこと
.冒険者ギルドに登録したら、身分証が手に入る
.お金の通貨がゴールド(G)らしい
.銅貨1つで100G 銀貨1つで1000G 金貨1つで10000G……10倍ずつ上がる(十進法)らしい白金貨とかの例外もあるらしいが。
.「ステータス」と言うと、自分にしか見えないウィンドウメニューが出てきて、レベルやスキルがわかるってことだ。
.この世界には、エルフや獣人といった、多種族もいるらしい。ちなみに魔族もだけど。
.今、俺たちのいる大陸がプルート大陸と呼ばれているらしい。他にも、大陸はあるらしい。
.プルート大陸には、大小様々な国があること。
.エルネストは、エルマーク王国という国にあるらしい。
都市の入り口の門の前に一旦止まり、検問を受けた。
ユウマだけ身分証がないから、仮の身分証を銀貨1枚で発行してもらった。
1000Gもした。冒険者ギルドで登録すれば、次からは、お金をはらわなくてもOKらしい。
門を潜ると中世ヨーロッパの世界が広がっていた。今まで憧れていた、異世界の街並みである。煉瓦で出来た建物。馬みたいな生物が馬車を引いてたり、空には竜騎士が居たりした。それだけで凄くテンションが上がった。実際にヨーロッパに行った事はないけど。
「おーい! 何してんだ? 早く来いよ」
レイゲル達に呼ばれたので、見物は後回しにしてから駆け寄った。
レイゲル達は、アンソル武具店っていうアンソルが経営してる店に行くらしい。
ユウマも今度行く約束をして、三人とはここで別れた。
(あっ!! 冒険者ギルドの場所を聞くのを忘れていた)
仕方ないから、門番の兵士の場所まで戻って聞いてきた。
ギルドの場所が分かったので、ギルドに向かって歩き出した。場所は大通りの近くだったので、すぐに分かったから良かった。分かりにくかったら迷うとこだったと思う。
ここみたいだ。冒険者ギルドの看板には 剣と盾が描かれていた。定番だな。
ユウマは扉を開けて、中を見てみた。
中には大勢の人が居て、酒を飲んだり、食事をしていた。受付っぽい場所を見つけたので、そこに行ってみた。
受付には、ユウマ意外に数人いるだけだった。無理もないか。時間は昼をけっこう過ぎてるあたりだし、みんな、クエストに行ったりしてんだろうな。ユウマは勝手に決めつけて、受付嬢に話しかけた。
「あの?すみません。 冒険者になりたいんですが、いいですか?」
ユウマが声をかけた受付嬢は、茶髪で可愛い女の子だった。しかも、頭のとこにはキツネ耳が付いているのだ。
獣人ってやつだろうか? まぁ可愛いので、スルーするが。
「はい。 こちらで、登録出来ますが、登録料に1000Gかかります。それでも、よろしいでしょうか?」
なるほど、登録料がかかるのか。
「はい。 問題ありません」
ユウマはポーチから1000Gを出した。
「では、こちらの書類に名前等をお書き下さい」
この時ユウマは文字が分かんないと思い、焦り出したが、渡された紙には明かに日本語ではない文字で書いてあった。てか、英語ですらない。
それでも、自然と意味が理解出来た。自動翻訳ってやつだろうか? 書くのはどうなんだろうか?
問題なく書けた。そして、必要なところだけを書いて渡した。意識すれば、日本語で書く事も出来た。
.名前 ユウマ.ジンノ
.年齢 16歳
.出身地 特になし
「では、少々お待ちください」
受付嬢は、書類を持って奥に行ってしまった。ここに来て一つ分かった事がある。
少しして、受付嬢が帰ってきた。
「このカードに血を一滴垂らして下さい」
ユウマは言われたままに、銀色のカードにナイフで指を切って、血を数的垂らした。すると、カードが一瞬光ったと思うと、カードに文字が浮かび上がっていた。
ユウマ.ジンノ
ランクF
レベル14
それ後に、ギルドの事をいろいろと教えてもらった。
分かった事をまとめると。
.ランクは、成功したクエストのポイントで評価される。
.ランクは上からSSS,SS,S,A,B,C,D,E,Fとなっている。
.クエストは、自分のランクの1つ上までしか受けれない。
.パーティ(PT)を組むと、一番ランクの高い人のクエストまで受けれる。
.クエストを失敗すると、違約金を払わされる。
.ギルドの二階は、資料室になっていた。地下は、修練場になっていて、引退した、高ランク冒険者が教 官として、指導してくれるそうだ。
.俺にいろいろと教えてくれたキツネ耳の受付嬢の名前はニーナというらしい。
「これで、あなたも冒険者ですよ」
ニーナさんは、そう言ってほほ笑んでくれた。マジ天使。獣耳をモフモフしたい。
「ありがとうございました」
ユウマはお礼を言うと、クエストボードで、仕事を探し始めた。
なかなか、良いもんが見つからない。てか、仕事の内容がイマイチ理解出来ない。
ランクF
.商店街の手伝い
.町の清掃活動
.郵便配達
.新薬の実験台
ランクE
・ゴブリン討伐
・薬草の採取
碌なのがない。新薬の実験台は論外としても。まぁ、無難にゴブリンの討伐でいいか。そうと決まったら、依頼書を持ってニーナさんのとこに行く。
「このクエストをお願いします」
そして、依頼書を出した。
「わかりました。 ギルドカードを出してください」
彼女は、カードを受け取ると手元の魔道具で何かしているみたいだ。すぐに、作業を終えてカードを渡してきた。
ユウマは町から歩いて一時間ほどのかかったが、依頼書に書いてあったエルネスト近隣の森に到着した。
ゴブリンを探して、森を少し歩いてると、緑色をした1mぐらいの人?を見つけた。顔は醜悪と表現するような小人が三人いた。あれが、ゴブリンだろうか?
ユウマは実物を見たことがなかったので、悩んでいると、相手もユウマの存在に気付いたようだ。
「「「キィー」」」
甲高い声が聞こえてきた。まぁ何を言っているのかは不明だがな。あれは、やっぱりゴブリンだろう。次からは、匹で数えよう。
三匹のゴブリンが突っ込んできた。ゴブリン達は、木の棒で武装していた。当たると痛いだろうな。
ユウマは呑気なことを考えていた。ユウマはゴブリンの振るった木の棒を躱して、ナイフで顔を切ってやった。
殺せては、いなかったが戦闘を続行する力も残って無いだろう。
残りの二匹もナイフで切ったり、蹴りをくらわせてやったら、動かなくなった。
最初の一匹にも、トドメを刺した。
五匹で500Gだから、最低でもあと二匹殺す必要があるのだ。
ユウマの森の散策は、続いた。その後に、都合よくゴブリンが二匹いた。しかも、ユウマの事に気づいていないみたいだ。
ユウマは気づかれないようにそっと近づいて、一匹の首をナイフで切り裂いた。残りの一匹は、逃げ出したが、すぐに追いつき顔をナイフで切り裂いた。
ユウマはゴブリンの死体から討伐証として、左耳を剥ぎ取って町に帰ることにした。
帰りは、魔物とは出会わなかった。町に戻るとすぐにギルドに向かった。
ニーナさんにクエスト報告して、ギルドカードを渡した。
「お疲れ様でした。初めてのクエストは、どうでしたか?」と、ねぎらいの言葉をかけてくれた。
「森まで行くのに疲れました」
「それは、大変でしたね」
そう言って、銅貨5枚を渡してきた。
「ありがとうございました」
ユウマはお礼を言ってからギルドを出ようと思ったが、宿の場所を聞いておこうと思ったので、ニーナさんに聞いてみた。
「それなら、紅茶の樹という宿屋がお勧めですよ。値段もお手頃で料理も美味しいらしいです」
料理がおいしいなら、決まりだな。
「ありがとうございました」
ここから、紅茶の樹までは徒歩10分ぐらいらしい。少し歩いたら、着いたみたいだ。
看板に【紅茶の樹】って書いてあった。
「すみませんー。 今日から、泊まりたいんですが、大丈夫ですか?」
奥から、おばちゃんが出てきた。
「はいよ! 大丈夫だよ!」
愛想の良さそうなおばちゃんだ。
「一泊500Gだよ、何泊するんだい?」
考えてみた。ユウマの所持金は15500Gしかない。金貨1枚は、持っておきたいから6泊でいいか。
「とりあえず、6泊でお願いします」
「6泊なら3000Gだよ。食事は、朝が4時~9時で 夜が18時~21時までだからね」
なるほど、それまでに行けばいいんだな。
「わかりました」
ユウマはお金を払って、部屋の鍵を受け取った。
3号室が俺の部屋らしい。
二階に上がって、「3」と書いてある部屋に入った。部屋はベッドが1つと小さな机があるだけだった。
ユウマは荷物を部屋の隅に置いてからベットに寝転んだ。そして、「ステータス」と呟いた。
今までは周囲に人が居たためしていなかったのだ。
名前/ユウマ.ジンノ
種族/ヒューマン
レベル14
【通常】/『氷結魔法』
【固有】/『無刀流』
【伝説】/『伝説の生活術』
ステータスを開いてる時に詳しく知りたいモノをタッチすると、そのモノの詳細を見る事が出来るらしい。
これで、スキルの詳細を見てみた。
『氷結魔法』/【通常】
.魔力を凍らせたり、氷で何かを作成したりできる。
(これで、俺も魔法デビューか。テンション上がるぜ)
『無刀流』/【固有】
.刃を持っていない状態になれば、なるほど強くなる。自身の身体を武器とする。身体能力上昇。自身で魔技を創り出せる。
(だから、ビッグベアーをあの時、右ストレートで倒せたのか? てか、魔技って何だろう? まぁ後で、調べておこう)
『伝説(レジェンド.)の生活術/【伝説】
.生活に役に立つ多彩な能力がある。魔力を込めたら、その分だけ効果UP。
能力(発動型)
《フレア》=火を出せる。
《アクア》=水を出せる。
《アイス》=氷を作成。
《ウィンドー》=風を起こす。
《サンド》=砂を作成。
《サンダー》=電気ショックを起こせる。
《ライト》= 明かりをつけれる
《フラッシュ》=一瞬だけ強力な閃光を出せる。
《ダーク》=暗闇に出来る。
《カメラ》=自身の目で見たものを写真にできる。フィルムは一日一枚。
《ミラー》=魔力を鏡状にできる。
《アラーム》=アラームをセットできる。
《二段ジャンプ》=空中でもう一度ジャンプが出来る。
《レンズ》=遠くがよく見える。
《ディメンション》=10キロまで荷物を異空間に出し入れできる
《サイコキネシス》=1キロ以下までのモノを自在に動かせる(半径10mまで)
常時型
《夜目》= 暗闇でも、見えやすくなる。
《毒耐性》= 毒が効きにくくなる。
《身軽》=身軽になる。
《気配察知》=気配に敏感になる。
(流石は、伝説能力だな。かなり便利なモノが多い。これが、攻撃系統のスキルだったら、どれだけ良かった事か。贅沢を言っても仕方ないか)
危険の無さそうなモノを少し練習がてらに発動してみた。《アイス》や《二段ジャンプ》といった安全な能力を少しだけ試してからユウマは溜め息を吐いた。
まだ、分からない事だらけだが、それでも、前を向いて進むしかない。と、いうことで、ユウマは夕食を食べに一階の食堂に向かった。




