街の防衛戦⑨~腕をもがれました
次回は3~5日までには投稿したいです。
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何とか魔法や能力だけで鬼を倒すことに成功した。
「あ、ありがとうございました。では、腕の治療をするので……腕の周りの氷を解いてくださいね」
女性騎士が近づきながら、お礼の言葉と治療の続きをすると言ったのを聞きながら、考え込んでいた。
(何で?...腕の周りの氷が壊れていないんだ?)
鬼の一撃を真面に喰らったのに、壊れずにある氷に疑問を持ちながらも氷を解除した。
「では、治療しますね。
彼の傷を癒したまえ 《メガヒール》 」
徐々に痛みが消えていき、腕を動かしても痛まなくなった。
「ありがとうございました」
俺は女性騎士にお礼を言ってから魔人の方に走り出した。
近くまで走り終わると、光学迷彩を使いそっと近づく事にした。慎重に一歩ずつだ。
(魔人は戦闘中だし、こちらに背を向けているし上手くいくはずだ。後は、アレを試すだけだ...)
俺と魔人との距離が1メートル程になった。
俺は覚悟を決め、右手の先からを”アイス”で凍らせた。出来るだけ、鋭くするように心掛けた。巨大な氷柱みたいな形になった。
(準備万端だな...予測通りなら突き刺さる筈だ)
魔人が騎士の一人の頭を鷲掴みにしている状況だ。
(いつやるの?―――今でしょ!)
思いっきり、背中に右手から出ている氷柱を突きつけた。
グサッ”と魔人の背中に刺さった。貫通とか重症ってレベルは無理だったけど、今まで一番のダメージをぶつけれたのではないだろうか。
「グヌヌヌ!我ノ身体ニ傷ヲ与エルトハ褒メテヤロウ。
...誰モ居ナイダト!?ダガ、妙ナ違和感ヲ感ジルゾ」
現在、光学迷彩ナウだ。
(冷や冷やしたけど、ばれていないみたいだ)
「隙あり!」
俺は周りをキョロキョロとしていた魔人に右手の氷柱をくり出した。
魔人の腹に刺さると、光学迷彩が解けた俺の右腕を魔人が掴んだのだ。
「ヤハリ、ユーマダッタカ。コノヨウナ奇想天外ナ事ヲスルノハ貴様グライダト思ッテオッタゾ」
「俺ってそんなに奇想天外な事したかな?
我、放つは氷の槍 《アイスランス》 」
左手を魔人に向けてから氷の槍を発した。
結果はノーダメージだ。血の一滴も出ない。
氷結魔法ではダメージを与えれないが、”アイス”で造った氷ならダメージを与えれるみたいだな。
「無駄ナ事ヲシオッテ。ソロソロ終ワラセテヤロウ」
魔人は言い終わると同時に俺の右腕を千切り捨てやがった。
「がぁぁぁぁっぁ!!!!!」
俺の絶叫が響き渡った。
痛みでまともな思考が出来ない中で魔人の顔に左足の踵落しを喰らわせることに成功した。
あまりの痛みの所為で技を出すことにも気づかなかったのだ。
俺の踵落しを喰らった魔人は「ニヒィ」と哂い爪を伸ばしたのだ。
鉄をも両断する爪だ。
その爪で俺の左足を切断しやがった。
「ぐぁぁぁぁぁ!!!!」
俺はまた痛みで騒いだ。
「愉快ナ気分ダヨ。ユーマノ御蔭ダナ」
魔人は心底、楽しそうに語りかけている。
「てめぇ、いい加減にしやがれ!」
「ユーマを離せ!」
ルドルフとオリュンが魔人に攻撃を加えている。
その行動を見た冒険者騎士達も『ハッ』となってから攻撃に加わった。
「ウットシー虫ダナ。虫カラ潰スカナ」
魔人は俺を地面に放り捨ててから冒険者達と戦闘を開始した。
俺は地面に叩き付けられた。血が凄い勢いで流れ出ているのが分かる。
とりあえず、”アイス”で傷口を塞いでから出血を抑えた。
(ヤバいな。これは、死ぬかもしれない...そういえば、ジャスティンとティアラとの約束も守れないかもな)
近くで冒険者や騎士が命懸けで魔人と戦っているのが、見える。
状況はかなり厳しいだろう。