吉田心
「なあ吉田あの子だれ?」
この彼の言葉が始まりだった。
僕と彼は仲が良いわけでもなければ
悪いわけでもない。
仕事柄上司と部下という関係だ。
ちなみに仕事は何でも屋だ
僕自身は幼少期から親の都合で手伝いをしていたため、技術はそれなりにもっている。
世の中には貸し借りというものがあり
僕は借りを絶対に作らないようにしている
ただ彼にはそんな借りが1つだけ残っていた
これは僕の中のルールだ
借りたものは2倍にして返す。
だから僕は基本的に貸すことはしない
それが僕だ。
ただ与えすぎるのもよくないので、その点に関しては
面倒をみてもらうようにしている。
それでも相手が返しても返しきれないほどの恩は売るようにしている。
それだけで僕は誰からも憎まれることなく、人を知ることができる。
嫌な言い方をすれば、相手の弱みを握る
その考えから僕は人脈を広げて、日々活動をする。
これは本来の環境や神が与えてくれたものなのだろうか
僕には人の心を読み取る能力をもっている。
よくアニメや漫画でこのような能力をもっているものがいるが
だいたいは人格的に問題のある場合が多い。
大概の人物は心が優しいがために、人格が変わってしまう。
僕は違った。
僕にとって人の心は読めるのは生活においては当たり前だった。
誰もがこの能力をもっている。
そう思っていた時期さえあった
僕にとって嘘は存在しない。
常に僕は本来の人を見てきた
そのために僕は不自由することなく
人をコントロールすることができ、導いていくことができた。
だからと言って人を見下してはいない。
人の悪い部分も含めて僕は人と深く関わりたいと思っている。
それに心が読めたくらいでも人間は変わらない。
自分のことさえよくわらないというのが良い例だろうか。
小さな大学に入学したのは、その方が効率的に人脈を広げやすかったからだ。
僕は広く浅くより、できるだけ広く、できるだけ深く。
そういう考えをもっている
何千という人々は相手をしていられない。
何より思考がうるさすぎるので小人数制の大学を選んだ。
彼と初めてあったのは、大学校内の廊下
彼はいたって普通の人間で
そして彼の心の中は友人を作りたいという念が非常に強く
そんな彼を見て僕はすぐに彼とコミュニケーションをとった。
表面上は暗い彼でも、慣れると明るい人物になるとわかったこと
女性に恋をしたこと。斉藤の友人であったこと。
僕の中の依頼レベルとして呼吸するより簡単で読みやすい人物であった。
そんな彼が僕に彼女のことで相談をしたのもこのときから1週間ほどたってからだ
そして僕はまず彼が恋をした女性と接点をもつことにした。
接点をもち、彼と彼女に恩を売る。
彼女自身も、現在彼氏はいるのだが最近は上手くいってないため悩んでいるようであり。
そんな彼女の相談に乗りながら、彼と彼女に接点をもたせた
ただここで3つの問題が起きた。
1つ目は彼女が僕に恋をしたこと
2つ目は僕が彼女に恋をしたこと
3つ目は僕らが付き合ってしまったこと
彼女の素晴らしさを今伝えたいが、今回は彼のお話のため割愛をさせてもらう
この謝りきれない事実を
彼に伝えたとき彼の心にはまったく怨みというものがなかった。
どちらかとういうと悲しみと祝福の念がまざっている。そんな言葉では言い表せない感情が渦巻いていた。
そのため僕には彼がどうしても幸せになってもらいたい。
彼に幸せになってもらうためには、どうしても彼の心の芯を折らなければいけないのだが、どうしても彼の心を折れないでいる。
一度、荒治療をしてみたがこれはとてつもない逆効果だった
彼の心はゆるがない




