9.5 斉藤春樹の教室
この大学に不満はない、ただクラスに多少の不満がある
それはクラスメイト達だ。
明らかなおっさん
明らかに暗いやつが2人
なんとなく気に障る男
何よりこのクラスの男が俺を含めて5人しかいない
男女比率が3対7ということ
このクラスの男にまともなのはいないのだろうか・・
俺はそんな事を考えながら、教室の席に座ってバスがくるのを待っている。
今日は学校側が親交を深めるという理由で、旅行を企画してくれた。
有難迷惑な話しである。
俺がため息をついていると、隣に座っている男が話しかけてきた。
「今日さー夜になったらみんなでお酒呑もうぜお酒
俺さ、お酒好きなんだよいくら飲んでも酔わないだけどね。
可愛く水筒もってきたんだけどさ、ほら中身は日本酒。うまそうだろ」
男は笑いながら水筒を開け
俺に匂いをかがせ
自慢げに誇らしげに自分のお酒の強さを語っていた
できることなら、この男そのままアルコール中毒になって死んでしまわないかと思ったのは俺の心の中にしまっておこう。
この男が俺にとってなんとなく気に障る男加賀 正義 (かが まさよし)
できることなら、こいつに正義という言葉は使ってはほしくないが
トップクラスで正義という言葉を書いているのであろう
中性的な顔立ちに、色白の肌。
髪は茶髪でいかにも大学デビューしましたという印象を受ける。
身長は170㎝ない程度
服には無頓着なようで無地が多い。
俺個人としては大学デビューしたなら服にも気を使うべきだと言ってあげたい
だが友人でもない加賀に言う必要はないのであろう。
「お前の酒の強さはわかったからもういいよ
今日の夜ね、了解した」
俺は適当な返事を加賀に返すと
加賀は嬉しそうに水筒の日本酒を飲んでいた。
こいつすでにアル中かもな・・
そんなことを考えながら俺は持ってきた本をとりだし、本を読み始めた。
加賀は俺が本を読み始めたのを見て
気を使ったのか後ろの人としゃべっているようであった
話しの内容からするに、今日の夜の吞み会の話しだろう。
・・めんどくさい
俺は後ろの席の男を確認するため後ろを向き
「お前も呑みにくるの?」
と聞いてい見ると後ろにいた男は
「・・邪魔じゃなかったら、一緒にのみたいかなー・・って思うんだけど・・ダメかな・・」
眼が死んだ魚ようにして
自信がなさそうに俺の問いかけに答え
「いや嫌じゃなければ別にかまわないけど」
「そうそう人はたくさんいたほうがいいからね。」
加賀が俺の言葉にかぶせてきた
この死んだ魚の眼は狭山 蒼生
少し大きめの服をきていることが多いが
水玉のシャツに、カーディガンを合わせたりしていて
俺個人としてファッションセンスはそんなに悪くはないと思っている
だがコミュニケーションセンスは皆無だ
そんな狭山に対して加賀はあまり人の性格などは気にしないようで
しばらくの話しかけていた。
狭山はゆっくりとした、気力のない受け答えをしている
少し笑みが見え
どこか嬉しそうにしているのは気のせいだろう
・・
「狭山頭にワックスの白いのが残ってる」
「・・ありがとちょっとトイレでとってくる」
ワックスなどなれていないものをつけてくるとこうなる。
狭山がトイレに行ったところで僕は加賀に今日誰が夜のみにくるのか聞いてみたところ
「部屋が一緒の男子だけど」
そういえば狭山と加賀は俺と一緒の部屋であった。
つまりこのクラスの男子全員でやるということだ
「おっさんと関口には話してあるから心配はない安心しろ」
加賀はやはり誇らしげであった
バスの到着時間になると先生が呼びにきて、俺たちは玄関へ向かった。
バスは玄関からでるとすぐ目の前に4台ほど並んであり
だいたい40人がはいるかはいらない程度の大型バスであった。
バスの席は指定をされていて
俺の隣の男は幸いにも俺の友人であった
友人の名前は吉田 心
ハーフのような顔立ちで細見の体系
そしておしゃれ
まあいわゆるイケメンというやつだ。
他にも友人は何人かいて
クラスは別なのだが入学してすぐに仲良くなった。
普段はそのグループに俺はいつもいる
ただそのグループにも少しだけ苦手な友人、
安達がいるのだがそんなに問題はない。
俺個人の問題である。
安達は身長は小さ目で少し目がほそい、服は中学生が着てそうな
どこかとっつきにくい雰囲気の男だ。
そのためどうしても仲良くはなれず、少しだけ気がひける
バスの中では
自分のクラスの不満や今日の夜逃げてそっちに言っていいかなどとそんな会話をしていた。
他愛のない会話をしているうちに旅館に到着はしたのだが
旅館を見てい見ると一言で言えば微妙
綺麗でもなければ汚すぎるわけでもない
山奥のため娯楽施設はない。
加賀は酒をどう買ってくる気なんだろうかと疑問に感じたがどうでもいいことである。
全員が旅館に入り、ロビーに集まるとクラスごとに並ばされ
目の前で先生が話しを始める。
内容としては
親交を深めるため、クラスで課題授業をする。
そしてクラス事に自分たちでどのような会社を作るかという議題をまとめて発表をしあうという物らしい。
クラスでまずは集まりだし、話し合いをすることから始まった。
「とりあえず斉藤お前が進行やってくれ」
担任が唐突に俺の名前をさしてきた
「なんで俺なんですか。他にもいると思いますが」
「ほら、お前一番成績良かったし。誰かやりたいやついるかー」
この問いかけに反応をするものはいなかった
そういうことは、担任が言ってはいけない。
進行とまとめ役になった俺は適当に進行を始めた。
「では、これから私達の会社を作ろうという議題についてですが一人ひとり意見を聞いてみたいと思いますので
椅子がそこにあるのでみなさん椅子もってきて、輪を作るような形で座ってください」
各々が椅子をもってきて座りだしたところで
進行を始める。
「では私から時計まわりの順で意見を聞いていきます。では加賀君よろしくお願いします」
「えーっと俺は働きたくないので、居酒屋を作ってお酒を呑んでいたいと思います」
「参考にならない意見をありがとうございます。では次の人お願いします」
「・・・・倒産するかもしれない危険性を考えると・・雇われるのが一番ではないのかと」
「・・次の人お願いします」
狭山と加賀は使えそうにない
このような形で俺は進行を行った。
話しを全員聞いたところわりとおっさんがしっかりしていてその意見を中心にまとめた。
そしてクラス全員に指示をだし俺の仕事は終わった。
みなの活動を見ていると
狭山は暗いというより、人見知りで慣れてくればわりとしゃべる人物ということが伺えた。
理由としては先程のバスの中でクラスの女子と仲よさそうに話していたことだ
羨ましくは・・ちょっとだけある。
このクラス男子と女子は少し溝が大きかったから、わりとこの男のやっていることは凄いことである
ただやはり人見知りだ。
俺に目を合わせないし
声も小さい。
イライラする。