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僕。異常  作者: ささ
27/44

記憶の欠片

「この曲が聴きたいんだけど」

僕は恥ずかしがりながら

彼女に楽譜をわたす

「いいよ。じゃあ、練習するからちょっとまっててね」

彼女は笑っている

「楽しみだ」

僕も笑った

「けっこうこれ難しいね、「こころ」かあ」

これは僕の好きな曲だ

ピアノが中心で構成をされていて

心地のいいメロディーである

彼女がピアノを弾けるということを知り僕はこの曲の楽譜を買い

彼女にねだってみることにしたわけである。

僕の好きな曲を僕の好きな人に弾いてもらう

幸せだ。

「完成したら聞かせてあげるから、まっててね」

彼女が弾く。「こころ」を僕はとても楽しみにしていたが結局一度もきくことはできなかった。



「さやぼうを授業にいかせなかったからさ」

彼女は泣いている。理由がめちゃくちゃである

僕がやったことは

彼女が休むからと言ったため、僕も休むと言った。

それだけだ

僕が休むと言ったあと

段々と元気をなくした彼女は

喋らなくなり最終的に泣きだした。

さっきまで寝ていたせいもあるだろう

若干寝ぼけている。

「俺が一緒にいたくて休んだん

だからいいだろ」

僕は彼女の頭をなでる

「でもさー、さやぼうを悪い子に・・」

申し訳なさそうに下を向きながら彼女はいう

もとから僕は優等生ではない、どちらかと言えば劣等生だ

「気にするな、もうちょと寝よう」

僕は彼女に布団をかける。

彼女は夜あまり眠れないようだ。

どうやら胃痛がひどいらしい

「・・うん」

しばらくするとまた彼女は眠りについた

僕は彼女の寝顔を見ている

ここは落ち着く世界だ。

僕と彼女の世界は、今は僕の家だ。

後日弟がこの姿をみて僕をちゃかしてきたが気にしない。



「見てみて綺麗だね」

彼女は木に飾られた電球をみている

「そうだな、あの電球は、いくつくらいあるんかな」

僕は聞いてみた

「そういう夢のないことやめてくれないかな」

彼女は少し不機嫌そうに言う

「わるいね、夢のない男なもんで」

「まあ君らしいけどさ」

少し呆れられてしまった




「それでねおばあちゃんがさ、ヒステリックで本当にうるさいんだよ。

それで私も言いかえしてたら、包丁もってきてさ

殺されるって・・聞いてる?」

彼女はよくしゃべる

「うん聞いてるよ、それで大丈夫だったん」

「大丈夫だったからここにいるんだどさ

それでさ・・」

彼女はよくしゃべるので、基本的に僕は聞く側だ

ここは彼女の事を1番知れる特等席である



「ライブのチケットとったんだけど

一緒に行ってくれる?

喜んでくれるかと思ったんだけど」

僕の好きなアーティストがでるライブチケットだ

彼女は内緒でライブチケットを取ってくれていた。

僕は何も言えず彼女を抱きしめた


今日うちに帰ったら

彼女が好きなアーティストのライブチケットを調べてみよう



「ねえさやぼう」

隣に座っていた彼女は僕と同じ方向を向き、体をぼくにあずけてきた

「ん?どした」

「・・私を守って」

彼女の顔は見えなかったが、笑顔ではないのであろう

「守るよ」

僕は小さくつぶやいた

「ん?」

聞きかえされた、恥ずかしい

「守るよ」

僕は彼女を背中から抱きしめた



僕は少し不機嫌だ

彼女と離れたくなかったそれだけの理由

「ほら、私帰るからね、じゃあ

またね」

彼女は仕方なさそうに電車に乗っていってしまった


僕は後日

いじけてしまったこと、離れたくなかったという内容の謝罪メールを彼女に送った。



僕はデジカメを彼女にむけた

彼女は嫌がりながらも笑っていた



春から夏

僕は抱きしめながら彼女の頭をなでた

彼女は「鼻水ついちゃった」と泣きながら笑った。



「寒いのは無理」

僕は寒がりながらそういった

「えー熱いほうが無理だよ、さやぼうは本当に寒がりだな」

彼女は答える

「無理なものは無理」

「今日もヒートテック着てるの?」

彼女はにやけながら聞いてくる

「うんまあ」

「触らせて」

僕はヒートテックを彼女にさわらせてみる

すると彼女は冷えた自分の手を僕のお腹にもぐりこませた

「冷たい!!」

僕は走り出してしまった

「はははは」

彼女は元気に笑っていた

これが僕と彼女の冬の日課



「ライブチケットとれたんだけど一緒にこれる」

僕は彼女にきいてみた

「ほんとにとれたの?

嬉しい。

行くに決まってるでしょ」



1年春

「じゃあ今度からさやぼうって呼ぶね。よろしく」

「・・よろしく」

僕はできるだけ笑った





「今から会えない?」

僕はメールを送った

「ごめん、会えない」

彼女から冷たいメールが送られてきた

僕はバイトの初任給で買ったイヤリングをゴミ箱に捨てた

ゴミ箱からみえる。ばかみたいなサンタの絵柄が僕の感情をぐちゃぐちゃにしてくれた






「さやぼうがね、心をひらいてくれないんだよ」

「私がいつもしゃべってばっかでさ」

彼女は酔っている。岩井にしゃべっているつもりなんだろう

今君にとっての岩井は狭山 幸会だ。




「ふざけんなふざけんなふざけんな死ね死ね死ね死ね」

「おい狭山をとめろあのバカ酔ってる」

僕は岩井に取り押さえられた





「俺がバカだったって何?

ふざけないで

付き合ってもないのに彼氏面しないで

死んだら人は帰ってこないんだよ

謝らなくて大丈夫です

人として見損ないました」






僕は

チケットを切り捨てた


僕は

思い出を切ろうとした

そのために僕は

自分を切った




















「私ね、卒業して3年したらどっか遠いとこに行って

そこに住みたいんだ。山梨とか長野とか涼しいところがいいな」






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