落ちた力と出会い
突発的だった。
学校からの帰り道、友人と5分前に別れ平凡な住宅街の平凡な帰り道を歩いていただけだった。しかし真上からデブが降ってきて、直撃した、
ような重圧が体の全体に重くのしかかってきた。
当然、直撃した今時風の髪型をし、少し今時風ではない学ランを着ているこの上河蓮は道路の突っ伏していた。
そして体がじわじわ蝕まれるように熱くなっていく。
「な・・・んだよ・・これ、尋常じゃないだろーがよ!」
かすれた小さな声で呻く。
正体不明の重圧が体にかかってからこの10秒間ほどで声すらも出しにくいほど上河の体は衰弱していた。
(ああ・・こんなことなら今日学校で金髪アホ毛からもらったお土産のお饅頭食べとけばよかった。)
と上河が涙目でいると
「うふふ、そんな苦しそうなのに考えていることは可愛いわね。」
突然とてつもなく色気のある声が目の前から聞こえた。その方向を横目でチラッと見ると、ピンク色のミニスカートの裾とお決まりのあれが見えた。上河はこんな状況でも本能だから仕方ないと言わんばかりに顔をあげ、モロに3秒ほどガン見していると、涼しい笑顔のままおでこに青筋をつくっているセクシーな女性は
ゴッ
サッカーゴールの目前といわんばかりの強烈な蹴りを放っていた。
「うふふ、ごめんなさいね?足が滑っちゃったみたい。滑ったのだから私は悪くないわよ?」
そう言いつつ滑ったらしい足のつま先が見事に鼻の中心にヒットしている。
「ラン、それは病人だ。死んだらどうする?」
後ろから話かけて来た少し小さめな上背の赤髪で目をギラつかせている18歳くらいの青年。ランと呼ばれた20代前半あたりのセクシーな女性は、うふふ、と軽く笑いながら足をどける。
「うふふ、そうなったら来世からはきっと女性の下着を覗くのをやめるでしょうね。」
はあ、と溜め息をつき横に体を曲げて上河の顔を見ながら真面目そうな口調で
「おい少年、連れの下品な女がすまないな。お前にはこれから・・って、おい聞いてるのか?」
上河に聞こえるはずもない。青年の予想どうり上河は泡を吹きながら見事に気絶していたのだから。