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吸血鬼(6)~刀を語る~

いずみと佳奈は龍樹たちとは全く別方向を歩いていた。


その事に彼女たちは気付いてはいなかったが、彼女たちは龍樹たちのことなど全く気にしてはいなかった。



問題はこの組み合わせにあった。




「どうしましょうかね~」

「とりあえず進むしかないじゃん。携帯も使えないみたいだし」

「佳奈ちゃん、年上には敬語を使わないと」


「佳奈はあなたと翔良だけはどうしても好きになれない」

「で、龍樹くんはOKなの?不思議ね~」



佳奈が右腕をいずみの後頭部に突きつけた。


いずみはその意味が分かってないかと思うほど落ち着いている。




「焦がすよ?」



「あら、怖い。余程龍樹くんのこと慕ってるのね」


「龍樹は・・・・・・佳奈に生きる希望をくれたから」

「そう。まあ、どうでもいいわ」



いずみの行動は佳奈にとっても物陰に隠れていたケントにとっても予想外だった。




いずみは腰に差していた愛用の日本刀を抜くと、ケントの隠れている茂みにそれを投げた。


刀が腹に刺さった状態でケントは背後へと飛ばされた。



「防刃チョッキ・・・・・・かしら?」



「気付いてたのかよ。完璧に気配消してたつもりだったんだけどよ」

「そうね。女のカンって奴かしら?」




ケントは防刃チョッキに刺さっていた刀を抜くと、それを後ろに放り捨てた。


そして、レッグホルスターからハンドガンH&KP7M8を抜き、発砲。



9mmパラベラム弾が2発いずみの傍を通過した。




「どいて!!」


佳奈はいずみを突き飛ばし、ケントに照準を定めて火炎放射を行う。



ケントは佳奈の攻撃を予測して、火炎放射が行われる前に素早く右に跳んだ。




「危ねえな、もうちょいでレアじゃねえか」



「ミディアムになるまで焼いてあげる」





佳奈はさらに火炎放射を行う。



ケントはそれもかわして物陰に隠れた。

隠れながら反撃とばかりに佳奈に撃ち返してきた。



佳奈は上体を低くして銃弾をかわす。




「あなたも援護してよ!」



いずみは先ほどからずっと突っ立ったままで彼らの戦闘を見ていた。




極限状態での佳奈の叱責もいずみはのらりくらりと返した。





「武器が無いもの。取りに行ってくれる?」



「そんなの自分で行ってきなよ!」



いずみは眼鏡の位置を直すとゆっくりとした足取りでケントの方へと歩き出した。


ケントは格好の的であるいずみの方に狙いを定めて引き金を引いた。



しかし、銃弾は発射されない。




「な・・・・・・!?」



「H&KP7M8の装弾数は8発。弾切れみたいね。

私が刀を取りに行くのとリロードが済むのどっちが早いかしらね~」


「うるせー!!お前らは黙って俺の的になれ!」




ケントは空になった弾倉を捨て、予備の弾倉を薬室に入れる。


だが、それよりも早くいずみの懐に隠し持っていた小刀がケントの左腕を貫いた。




「うあああああああっ!!」





ケントは痛みから拳銃を取り落し、もがき苦しみだした。



いずみは拳銃を遠くに蹴り飛ばし、ケントの左腕に刺さっている小刀を抜き、今度は彼の右手を貫き、そのまま地面に刀を突きたてた。




ケントの右手は地面に磔にされた。



















佳奈が怒りの表情を浮かべて文句を言う。




「武器無いって言ってたじゃん」


「こんな小刀、武器の内に入らないわよ。自決用のつもりだったし」





いずみは更に深くケントの右手に刺さっている小刀を地面にねじ込んだ。



ケントから上がる悲鳴は更に大きくなった。





「さて、拷問の時間ね。佳奈ちゃーん、向こうに落ちてるはずのアレ(・・)持ってきて~」



「だから自分で行きなよ」


「誰のお陰で無力化クリアできたと思ってるの?さ、早く早く」





いずみの言うとおりだったのが腹立たしかったが、渋々佳奈は刀が落ちているであろう茂みへと踏み込んでいった。

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