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転々転生  作者: まつり
転生しました。

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7/20

俺のターン、ドロー

いやぁ、消える直前に神様が吹き出した声を聞いただけで、変顔した甲斐がありました。


さて、もうこの教会にも新鮮味がないからね。

とっとと外に出て召喚を試そう。


僕は壊れた扉を出て外に出る。

これはあれだね、前回マッスルパワーで吹っ飛ばしたやつだね。

それにしても身体が元に戻ってくれて本当に良かった。

神様パワーもないのにあの身体のままだったら詰んでたよ、本当に。

見掛け倒しにも程があるって。


出てすぐのところの地面は陥没して赤黒くなっているし、少し先の道には黒焦げと肉片が散らばっているけど、気にしたら負け。


っていうかさ、この教会の環境が僕が生き返る度にどんどんと地獄に近づいているけど、祀られている神様的にはオッケーなの?


まぁいいか。

僕が気を使う事じゃないし。


さてさて。


地面の陥没の近くは描きにくそうだから、少し離れたところに魔法陣を描こう。

始めは手書きで地面に描かなきゃいけないらしい。

2回目からは魔力を使って発動したら、門で女の人がやってたみたいに空中に魔法陣が出て召喚できるんだって。


あれはカッコいい。


図形を描くのもアシストされているようで、絵も上手くない僕でもサラサラと描けてしまうなぁ。

こんな複雑な魔法陣なんて、専門的に学ばなきゃ覚えられないだろうから、神様ありがとうだね。


10分もあれば描き上がり、ここに魔力を流せばいよいよ僕の召喚獣を呼び出す事が出来るんだってさ。

どんなのが来てくれるかな。

竜とか?

強そうなのじゃ無くても良いや。

どんなのが来ても可愛いだろうし。


動物は好きなんだけど、実家も一人暮らしした後もマンションだから飼えなかったんだよねぇ。


憧れるわぁ。


…魔力ってどうやって込めるんだ?

手をかざしてたな、あのお爺さん。

こうか?


…。


ダメだ。

何にも起こらない。

知らんのよ、魔力も使い方も。


…そうだ、召喚と言えば相場は血を使うよね。

幸い?そこら中に僕の血が沢山あるじゃないか。


空に向かって波を撃った際に、反動でくちゃくちゃに潰された穴へ向かい、そこに溜まった血を手で掬い取る。


気持ち悪すぎるけど、背に腹は変えられないんだ。


魔法陣に掬い取った血を撒くと、描いた陣が緑色に光出した。

おぉ、なんか想像通りだ。

なんか、生まれ変わって初めて想像通りの魔法らしい魔法を発動出来た気がする。


陣の中心から光が線の様に放たれ、糸が絡まる様に集まり何かを象っていく。


…うわぁ、大きな…なんだ?

犬…?

犬っぽいけど鼻と首が少し長めの謎生物。

すっごいカッコいいけどね。

何かは分かんない。

とりあえず犬の一種という事にしておこう。


こんにちは、僕が喚びました。


こっちを見下ろす…ワンコは明らかに知的な眼差しだ。

多分賢い。

そして強そう。


これは大当たりなんじゃないの?

流石神様の能力だ。

こんな子が僕の召喚獣になってくれるなんて、本当に嬉しいよ。


「********。

******。」


え?なんか言った?

…あ、言語わかんないじゃん。


「****。」


ごめんよ、本当に1ミリもなんて言ってるか分かんないんだ。

んー、こう、ボディランゲージで、なんとか。

他の生物に通じるか分からないけど、必死さだけでも、なんとか。


明らかにワンコから困惑した空気を感じる。

首を傾げたり匂いを嗅がれたり。

大きな動物に近づかれるけれど、この子の雰囲気が優しく知的だからか全然怖く無い。

ちょっと獣臭いくらい。


僕はあわあわしていただけだけれど、何か解決策があるのか、ワンコの手がモフッと頭に乗せられた。

肉球はポップコーンの香りがするんだなぁと思っていたら目の前が光り、頭の中で声が響く。


『我が名はアイシャ。

汝が召喚者か…成程、清浄な気を感じるぞ…。』


おぉ…。

イケボ!

ワンコったらイケボ!


改めてこんにちは、そうです、僕が喚びました。


『名を教えてくれ。

それが縁となり、契約となるのだ…!』


そうなんだ。

僕はラルフ、よろしくね。


『おぉ…。


愚弄する気配は感じないが…それは真の名では無いな。

何故名乗らぬのだ。

それでは繋がりが出来ぬぞ。』


真の名…?

あぁ、はいはい、真の名、フルネームって事ね。

ラルフィード!ラルフィードです!


「それも真名では無いな、間違えている。」


そんな久しぶりにログインする時のサイトみたいな事言われても…。


…えーと…?

もしかして…。


覚えてない!覚えてないよ!

あんな馴染みが無くって長すぎる名前、覚えられる訳ないじゃない!


確か…スタビ…なんとかだ。

ダメだ、頭にモヤがかかった様に思い出す事が出来ない。

記憶を阻害する呪文かなんかなんじゃないのあの名前。


もじもじしているだけの僕を見て、アイシャはため息をついた。

ワンコのため息はなんか心に来るね…。


自分の名前すら分からない奴が、こんな複雑な魔法陣書いたなんて信じらんないよね。

ごめんね、呆れる気持ちは分かるよ。

だけど貰い物の能力だからさ、仕方ないんだ。

その能力をくれた神様から貰った名前のせいで、召喚獣との契約に支障が出てるのは大分皮肉が効いてるよ!


あはは。


何なんだよ!

どういう罠だ!


『すまないが、いつまでもここに留まれる訳ではないのだ。

そろそろ時間切れだ。

しかし…自分の名も判然としない年頃で呼び出した其方は、途轍もない才能があるのだろう。


いつかまた相見えるその時を期待しているぞ。』


ではな。

そう言い残して、アイシャは光りの中へと消えていった。


そっか…。

でも、また出会える可能性があるんだね。


名前は覚えられる気がしないけどね。

どうしよ。


落ち込んでばかりもいられない。

召喚獣は得られなかったけど、いつかまた出会える日を楽しみに今世を生きていこう。


そう、気持ちを前向きにして顔を上げると、目の前には見慣れた神様がいた。


あ、そう。

死んだの。

なんでさ!

今回は死にようがなかったでしょ?

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