四月の正義
予約表を眺めながら、私は小さく息を整えた。
「ガチャ」扉が開く音がした。
入ってきたのは就活中らしい男子大学生だった。
「あの…友達に勧められて…」
と彼は照れながら言ってきた。
「お待ちしておりました。座って下さい。」
生年月日を彼に尋ねた。
「なるほど、牡羊座なんですね。
今月は水星が逆行中だから連絡ミスには十分気をつけて下さい。」
「え、連絡ミスですか」
「そうです。メールの誤送信とか日時の間違えとか」
彼は勢いよくスマホを開いた。
「実は明日、大切な最終面接を控えてるんです。」
「そうだったんですね。」
私はタロットカードを広げながら彼の話を聞いていた。
「正義」のカードがでた。
「今まで積み重ねてきたことが、きちんと出ていますよ。真面目に向き合った結果がこのカードに出てきています。」
窓の外では春の桜が綺麗に宙を舞っている。
カードは心と心がつなぐための静かな言葉だ。
「ありがとうございました。」
彼が帰った後、私は投稿をした。
明日のラッキーカラーは黄色と。
すると彼から「最終面接のネクタイ黄色を付けて挑みます!」という熱いメッセージが届いた。
彼はただ、そっと背中を押してくれる人を求めていた。
今夜も静かな風が吹いている。
大丈夫。明日もそっと背中を押すよ。




