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『悪い人』

 『救ってあげるよ』

 

 「っ」

飛び上がると、ガサッと草の音がした。生々しい声がまだ耳の中に残っている。

僕は異物を追い払うように首を振って、隣に居る君を見た。

「にこ…」

「なあに?」

起き上がったにこと目線が合う。

「もしさ、優しくて…誰にも好かれる主人公が居たらこんな僕達のこと見捨てずに救ってくれるのかな」

夢で見たんだ、と。

そう言うと、にこは目を伏せた。君は何かを考えるように草を弄った。

朝露に濡れた草がにこの手によって千切られる度に、土のような匂いがした。

「それは夢の世界だよ。それか、ありもしない物語の世界とか。私はそんなの信じてない。_だって、現実を見てよ。シアワセなんて何処にもなかった。どれだけ必死に生きても、あるのは苦痛だけなんだよ」

にこはぱっと草を話して、立ち上がった。

朝日がスポットライトのようににこを照らした。それが少し眩しくて、僕は思わず顔を背けた。

「前に言ってくれたでしょ、『みんな人殺しだ』って。『私は何も悪くない』って」

「うん。それがどうしたの?」

にこは朝日に向かって手を伸ばした。

「私は_『悪い人』だよ。樹くんが思ってるのと私は違うの。私は私が一番『悪い人』だって分かってる」

「え」

音が、聞こえなかった。ただ目に映る君を見るので精一杯だった。

 にこはふっと笑って、いつもの笑顔に戻った。

「やっぱウソ。…次は何処に行く?私は海に行きたいなぁ」

 

エピローグまで完成致しました

1日ずつ投稿していきますのでお楽しみに。

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