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金髪のルーシー  作者: nurunuru7
18/45

18、ロザミィ決着(クリス編)

ロザミィはまだ生きている。ロザミィの元に駆けつけるクリス。そこには・・・?

金髪のルーシー18、ロザミィ決着クリス編


ロザミィと決着をつける。


それが私の役目。

あの子との長い付き合いもあるし、私がやるのが一番良いと思う。


雨を降らせられるということは、雷もまた使ってくるかもしれない。

足がすくむかもしれない。


それでも、ここでロザミィを逃がすわけにはいかない。

ジャンプして近づける私が一番早くロザミィの元に辿り着ける。


まだ残っている木の枝を足場にしてピョンピョンと集中豪雨の場所まで跳んで行く。


ロザミィはあそこに居るはず。


黒ずんだ木が倒れて将棋倒しになっている。でかい鳥の姿で彷徨いたせいで一帯が見晴らしが良くなってる。

足場は倒壊した木のせいで最悪。こんな場所で戦うのは私とルーシー以外じゃ無理かもしれない。


豪雨は途中で止んだ。雲の切れ目が見え始めて辺りが明るくなってきた。

辿り着くとすぐにロザミィは見つかった。


ロザミィは折り重なった木の上に仰向けに倒れている。

青い肌の魔人の姿。全身が火傷で赤黒く焦げ付いている。白い可愛げな下着は消し炭になって見る影もない。


罠?


私は少し離れた所に着地した。


「ロザミィ。あなたその傷どうして治さないの?」


ロザミィは目を閉じていた。そして閉じたまま弱々しい声で答える。


「クリスお姉さん・・・?クリスお姉さん」


私の方へ手を伸ばすロザミィ。


「答えて」


それを無視して返答を待つ。


「体を再生するのをやめて雨を降らしたの。火は消せたけど、もう一度変身する力を使っちゃったら・・・」


閉じた目から涙がこぼれる。


「私、灰になっちゃうかもしれない。私、怖い。怖いよ。クリスお姉さん・・・」

「怖いでしょうね。死ぬのは。でも身勝手すぎると思わないの?あなた何人町で犠牲にしたか分かってる?」


グスグス泣き出したロザミィは答えない。


反省しているとは思えない。

でも泣いているロザミィを放っておけない。


私は少し近づいた。伸ばした手に触れる。

そして近くにしゃがみ込み、頬の涙を指で拭いてあげる。


「だってお腹が空いたんだもん」


私の手を握るロザミィ。


ハッとしたけど悪気は無いみたい。

本気で食事に出掛けただけのつもりみたいだ。


「このままじゃどっちにしろ衰弱して死ぬだけだと思うけど」

「血が欲しい」


またハッとしたけど攻撃してくる様子は無いみたい。


私はロザミィを見た。


変身、変化している部分はない。

ロックはかかってない。


「私が人間だったロザミィに変化させてあげる。それで傷は治る。私に変化させられたら自分の体を変身変化させることはできなくなる。血管を触手には変えなれなくなる。それでもいい?」


目を開けるロザミィ。

驚いた顔で私を見る。


「クリスお姉さん。私を助けてくれるの?」

「死んで欲しくない」


ロザミィはまた泣き出した。

私はそれを肯定と受け取った。


指をおでこにつけて肌色のロザミィの姿に戻していく。


傷ひとつ無い人間のロザミィが出来上がった。

きっと以前のロザミィと寸分違わぬ姿だろう。

なぜそんな事が言えるかは言わない。


上半身を起こし私に抱きつくロザミィ。


「クリスお姉さん。ごめんなさい。ごめんなさい」

「私に謝ってもしょうがないよ。でもその気持ちが有るなら伝えるべき人に伝えた方がいい」

「うん。わかった。お姉さんキスしていい?」

「ダメ。エネルギーを回復したら何するかまだ信用できない。自分の体を変身変化させることはできないけど、自分以外を変化させる能力自体はまだある。血を根こそぎ吸収する触手が無くなったから消耗の激しい使い方はできないだろうけど、使い方によっては針一本で何でもできる」

「つらい」


ベソをかきそうな顔で耐えるロザミィ。


その時後ろの方で走る足音が聞こえてきた。


「クリスー!」


勇者の声だ。ルーシーもみんなも一緒みたい。


決着をつける、とか言って勇んで飛び出したのに戦う事もなくロザミィを人間にしちゃった事が急に恥ずかしくなった。


きっと死闘を繰り広げていると期待されてたんだろうな。


「ちょ、ちょっと死闘を演じてみましょうか?」

「え!?無理だよ私何もできないよー」


無理か。

でも抱き合ってるのは気まずいから離れよう。


立ち上がって離れようとしたらロザミィが私の背中にくっついた。


「人間の姿になったら裸が恥ずかしくなっちゃったよー」

「しょうがないね。私の服を後で貸してあげる。メイド服まだあったと思う」

「え?クリスお姉さんのメイド服懐かしいなー」


勇者が一番に駆けてきた。

血相を変えて走りにくい道なき道を転がるように。

きっとルーシーの方がこんな道を走るのは得意だったと思うけど、がむしゃらになって走ってきたのかな。


私の事を心配してくれてる?


ちょっとドキドキした。


「クリス・・・?大丈夫なのか?」


勇者は状況が飲み込めずに困惑している。


「うん。大丈夫」

「ロザミィは?」


私の後ろに隠れてるロザミィの首根っこを掴んで顔だけ見せた。


ルーシーもやって来た。ロザミィの人間になった姿を見て目を丸くする。


「どういうこと?」

「私がロックをかけた。変身することはもうできない」


ちょっとカッコいい風に言ってみた。


顔を見合わせる勇者とルーシー。


フーッと息を吐く二人。


「驚かせないでよ。とにかく片付いたってわけね」

「二人とも無事で良かった」


安堵する二人。二人ともって言ってくれた勇者にまたドキドキした。


「なんで隠れてるの?」


ルーシーが近づく。


「裸だから」


私が答える。


勇者がバックパックを下ろしてシャツを脱ぎ始めた。

私はジロリと見た。

そして私にシャツを渡した。


「これを着させてくれ。汚れてるけど無いよりはマシだろう」


なんだ私にくれるんじゃないのか。

しょうがなくロザミィに渡した。


「ありがとう勇者ちゃん」

「ちゃんって。ちゃん付けかよ」

「セイラお姉さんも言ってた」

「そう言えばそうだが、何も真似しなくても」


おっきなシャツを着たロザミィが私の背中から出てきた。

シャツをクンクン嗅いでいる。私も嗅ぎたい。


「汗の匂いするー。でも癖になりそうな匂いだね」

「臭うのはやめてくれないかな」


勇者はドン引きしている。


ベイト達や遅れてフラウもやって来た。

私達の落ち着いた雰囲気に面食らっているみたい。


「そいつが、今のデカイ鳥って事か?」


モンシアが怒鳴る。


「青い肌の本体は見たことはあるが、こんな娘とはねえ」


仲間を何人も殺されたアレンは胸中穏やかではないかもしれない。

平然とここに居られるのは我慢できないかもしれない。

それは私にもわかる。


「気持ちは察するわ。とにかく彼女は捕虜として預かりましょう。色々聞きたい事はある。貴重な情報源でもある」

「わかった。別に襲いかかったりはしないよ。そちらがその気でなければな」


ルーシーがアレンを説得してくれた。

魔人達が元々私達とメイド仲間ということを話していて良かった。

きっと事情を知らなかったら納得できてなかったかもしれない。


「私ロザミィ。みんなよろしくね!」


ロザミィが照れくさそうに、でも満面の笑顔でみんなに挨拶した。

さすがに私もドン引きした。


空気読めてないってレベルじゃない。わざと逆撫でしてるのかってキレられても文句言えない。


でもアレン達は大人だから文句は言わなかった。

唖然としてたけど。


ルーシーがロザミィに近づいた。


「ところで私にさっき何か言ってたわよね?私のことなんて言った?」

「何も言ってないよ」


ロザミィが顔面蒼白になって私の腕を掴んで助けを求めてきた。


「そうそう、下着が見たいんだったわね」


ルーシーは上着をチラリと剥ぐってブラを見せた。

薄い紫の色が見えた。


「うわー。もっと見せてー」


ロザミィが私を離れて不用意にルーシーに近づいた。

ルーシーはロザミィの両のほっぺたを引っ張った。


「私のことバカって言ったでしょうーが!」

「ひっへはいひょー」


ロザミィが両手で空中になにか掴もうとバタバタ動かしてる。


「やれやれ。今の戦いが嘘みたいだぜ」

「まったくだ」


アレンに勇者が同意した。


「はー。なんかどっと疲れたな」

「一旦戻りましょうか」


モンシアとベイトも呆れてルーシーとロザミィを見てる。


雨のおかげで火事はだいぶ収まってた。

直接川辺のポイントまで戻ることになった。


火事になったのは私達の作戦のせいだけど、そうせざるを得なかったのはロザミィのせいだから。


とぼとぼとみんなで歩いて帰っていく。

ロザミィが脅威で無くなったと言っても危険が去ったわけじゃない。

他の魔人がいつ襲ってくるかわからない。

警戒はしなくちゃ。


私が誰かが倒しまくった木々の上を歩いていると、ロザミィが腕を引っ張ってきた。


「クリスお姉さん。お腹すいた」

「そりゃそうだろうけど。まだ信用したわけじゃないよ」

「えー。じゃあ勇者ちゃんに頼んでいい?」


ドキッとした。

勇者とロザミィがキスするってこと?

それはなんか嫌。

勇者ならロザミィのキスを断らないかもしれない。

私は周りを見た。


私とロザミィは一番後ろだ。


ロザミィの手を引いて木陰に隠れる。


「じゃあちょっとだけだよ」

「うん」


魔人同士のキスでエネルギーを補給できるのか、ロザミィがなんでキスで補給できることを知ってるのか。よくわからないけどやってみよう。


ロザミィは目を閉じて私に体を預けていた。

ちょっと震えてるのがかわいい。


そっと唇を重ねてみた。


私達は目を見開いた。視線がぶつかる。

思わず口を離した。


エネルギーが加速度的にチャージされてるような気がした。

ロザミィにこの急速チャージでエネルギーを補給されるのはまずい。


「フフフフフ」


ロザミィが下を向きながら不気味に笑う。


「クリスお姉さん。ありがとうね。おかげで能力が少し使えるようになったよ」


手を前にかざし、何かを空気から作り出そうとしている。


何をするつもりなの?


まさか私はロザミィに騙された?


愕然とする私をよそにロザミィが完成させたのは白いパンツだった。


片足ずつ上げてパンツを履くロザミィ。


今それする必要ある?






川辺のポイントGに戻ってきた。

装備以外の荷物が置きっぱなしだ。

それぞれ装備を荷物にまとめたりチェックしたり手入れしたりで忙しそうにしてる。

私達の持ってきた矢だけ異常に減ってる。

ルーシーが射ちまくったせいだね。

私は装備を持ってないからロザミィとその辺に座ってみんなを見てる。

ロザミィは体操座りで座っててパンツ履いてて良かったかもと思う。

みんなは食事時だろうし、私達が準備しててあげようかな。


「ロザミィ。手伝って」

「はーい」


ルーシーが水を確保してくれてたからスープをまた作ろうかな。

そう言えばチョロチョロ流れてただけの川がロザミィが降らせた雨のせいで流れが勢い付いてる。

でも一旦町に戻るとか言ってたから今は放っておいて良いか。


小石を並べて枝に火を着け鍋をかける。


そうしてたらフラウが寄ってきた。


「あのう、これ。私の着替えなんですけど、私よりロザミィさんの方が着た方がいいかもと思って」


フラウは水着が恥ずかしそうだった。


「いいよ。フラウが着てて。甘やかすと付け上がるんだから。いい薬だよ」

「やーん。クリスお姉さんの意地悪ー」

「言っとくけどフラウがあんたを倒したようなものだからね。完璧に見透かされてたから」

「えー」


ロザミィがフラウをジーっと見る。


「ジロジロ見ない」


私は後ろからロザミィの顔を横に引っ張った。


「ふえーん。顔を引っ張らないでー」

「アハハ。じゃあ着替えは大丈夫なんですかね」

「うん。平気だよ」


コンソメと玉ねぎでオニオンスープができた。

味見はできないから勇者にしてもらう。


「バッチリだな」


バッチリなのは勇者の裸の上半身だよ。



それぞれ腰を下ろして一休みしている。

固いパンと私のオニオンスープは食べ終わった。

船を呼ぶ前に今後の方針を話し合うつもりらしい。


重要なのは・・・。



「さて、落ち着いたわね。今後の事について話を始める前に、聞いておかなければならない事がある」


ルーシーが話し始め、みんながロザミィを見る。


「私達は今あなた達のアジトを探すためにここに来ている。あなたがその場所を教えてくれれば探す手間が省けるってこと」

「ふーん」


ロザミィは相変わらず体操座りでルーシーの話を他人事のように聞いている。


「ふーん、じゃなくて、あなたに聞いてるのよロザミィ。あなた達の住処はどこなの?今どこからやって来た?」

「知らない。私はその辺を飛んでただけだよ」


みんなの表情がピリリとした。


「知らない?自分の住処を知らないって言うの?そんな話を信じろって?」


ルーシーはキレかかってる。

ここで嘘や誤魔化しなんかされれば当然そうなる。

ただでさえ許容範囲をオーバーランし過ぎて余りあるのに。


「嘘じゃないよー。私はこの近くを飛び回ってみんなとは別行動だったんだよー」


ロザミィがさすがに雰囲気を察して泣きそうになる。


「別行動だったねえ。では聞くけど私達がローレンスビルに入る前にあなた達は船を襲ったわね。あの時正確に何人いて誰がいたのか確かめられなかったけど、あなたもあそこに居たんじゃないの?」

「居なかったよー」

「信じられない」

「それについては一応の信憑性はあるかもしれない」


勇者が割って入る。


「ほら、船を襲ったハーピー達は皆針の攻撃を繰り出していたろう?だがロザミィは俺の覚えてる限りそれは使ってない。あの時居なかったから知らなかったんじゃないかな?」

「そうなの?」

「うん」


疑わしそうにロザミィを見るルーシー。


「船を襲った時居なかったとすれば、別行動をしていた事が確定する。別行動をとっていたとすれば、アジトの場所を知らない可能性も浮上する」

「役に立たなくてごめんなさーい」

「可能性もあるってだけよ。信用したわけじゃない」

「でもこの近くに居ることだけは確かだよ。よくこの辺ですれ違うから」

「あらそう。心強い情報をありがと。それでセイラにも会ったって言うの?」

「うん。なんで知ってるの?」

「でかい鳥になる方法を教えてもらったんでしょ?あなたの頭じゃ思いつかないでしょうからね」

「うわーん。バカにされてるよー」


ロザミィは横になってジタバタした。


ルーシーはクルリと勇者の方を向きながら肩の力を抜いた。


「予想以上にガードが固いわね。案外頭がいいのかしら」


ロザミィは計算高い女の子じゃないと思うけど。ルーシーの考えすぎじゃないかな。


「もうひとつ聞く事があるわ」


再びロザミィを正面に据えて近づくルーシー。


「今この島に来た理由は?何の目的でやって来たの?」


ロザミィはうつ伏せになってルーシーを振り返りながら泣きそうな顔で答える。


「ただふらっと寄っただけだよー。そしたらみんなが居たからこ・・・遊んでやろうって思ったんだよ?」


今なにしてやろうと言おうとした?


「それを信じろと?」


ルーシーが詰め寄る。


「本当だよー」


ロザミィがルーシーに抱きつく。


「仮に何かの目的があってここに近づいたとする。あなた自身にここに来る理由なんて特別無いだろうから、当然目的はセイラか魔王の娘に指示されたことになる。

そうなると別行動をとっていようがいまいが緊密に連絡をとっていたということになる。アジトを知らないというのも信憑性に欠けるということにもなる。

ここに来た目的が少しでも垣間見えたら全部崩れるというわけだけど、危ない橋を渡ってでも隠そうとするものが有るってこと?それは何?」

「目的なんてないよー」

「もうひとつ。あなた戦闘中にアジトはこんなところには無いって言ったの覚えてる?あれどういう意味?どんな所なら有るっていうの?」


ロザミィがルーシーからガバッと離れた。

目が泳いだ。


「空を飛んでいたらこんな所にみんなが居ない事くらい一目でわかるよ」


嘘でしょ?明らかに動揺してる。

みんなの目も疑惑を強くしてるみたい。


「へーそう。じゃあ空からこの辺の島を見たらどこかにアジトがあるのが見えてたわけね。それはどこ?確実な事は知らなくても見当ぐらいは付くでしょ?どこにありそうか言ってみて」


答えられないロザミィ。

ルーシーの顔を正面から見据える。


「もし適当な場所を言っても見当を付けた理由も言ってもらうからね。何があった、誰がいた、どのくらいの頻度で見かけた」


ロザミィは周囲を伺っている。

勇者を始め、みんな腰を浮かして臨戦態勢になっている。


「やっぱりルーシー。あなたが一番危険人物だったわね」


ロザミィの声が冷たく言い放つ。

手から何かを作り出そうとしている。


みんな後ろに一歩退く。


何かの攻撃をするつもり?

もうエネルギーはそんなに残ってないはずなのに!


ロザミィは両手に剣を作り出した。


そしてそれを自分の首に当て頭部を切断した。


「ロザミィ!」


私は叫んだ。


「クリス!早く!」


ルーシーが私に指示する。私はロザミィの体を変化させ再生させる。


首はつながった。でもロザミィの見立ては正しかった。

あと一回変化の能力を使うと灰になってしまう・・・。


彼女の体は灰になりかけていた。


もし、私がさっきキスしてなかったら完全に灰になっていたと思う。


私はみんなの目を気にせず倒れているロザミィにキスした。


「あまり追い詰めすぎたかしら」


ルーシーが悲しそうに吐き出す。


「まさか自害しようとするなんて思わないさ」


勇者がルーシーを慰める。


ロザミィの手がピクリと動く。

良かった。死んでない。

口を離してロザミィの体を見る。

灰になりかけていた部分が元に戻っている。

あまりエネルギーを補給し過ぎると何をしでかすかわからない。

このくらいにしておこう。


「もう大丈夫だと思う」


みんな戦々恐々として見守ってる。

ロザミィが起きて何をするかわからない。

私はロザミィが作った二本の剣を手の届かない遠くの岩場に投げ捨てた。


「クリス。あなたの力に頼って悪いけど、一応手枷を作ってはめてくれない?またやらかしたら事だわ」


私が作った物質でなければロザミィに変化されて手枷として機能しない。

壁や鍵も同様だ。

ルーシーに言われた通り石を持ってきて鋼鉄の手枷に変化させた。

鍵穴の無い一枚の鉄板に手首を通す穴が2つあるだけの、誰にも外す事ができないやつを。

鍵穴があれば鍵を作って外しちゃうかもしれないから。




ロザミィが何かの目的を持ってやって来て、アジトの場所を知ってることは確かなようだ。

でもアジトの場所を聞き出すのは無理そう。


私達の捜索を今後どうするか。ロザミィの処遇は?

問題が増えてしまった。






ロザミィはムクリと起き上がった。

手枷に不満気な様子だけど自分の立場を理解してるのか文句は言わなかった。


再びルーシーが立ち上がってロザミィの前に出た。


「あなたが話すつもりがないという事だけはわかったわ。戦闘に敗れた瞬間作戦を変更して私達に着いてくるつもりになったのもわかった。でも私達の動向を探った所で何も出はしないわよ」

「そうでもないよー。バッチリルーシーちゃんの弱点を調査しちゃうぞ!」


面の皮が厚いどころじゃない。

目的を見抜かれててこの態度は見上げた根性だ。


「無いものをどう調査するのかしらね」


ルーシーも負けてない。

弱点が無いと言い切った。


「経験者として忠告しとくけど、ルーシーを敵に回さない方がいいよ」


私はロザミィを諭した。


「えー。どうして?」


ロザミィは興味ありげに聞いてきた。


「どうしてって・・・。今戦ったあなたがよく分かってるでしょ・・・。ルーシーの被弾率0%よ?」

「えええ!どうして当たらないのか知りたい知りたい知りたい!」


ロザミィはゴロゴロとその辺を転げ回った。

鉄の手枷にお腹が乗り上がって、うっとなって止まった。

バカなの?


でもみんな笑ったりせずにルーシーの方を見てた。

みんなもあの大太刀回りで雷を一撃も当たらずに逃げ回ったルーシーに興味が有りそうだった。

勇者もルーシーのことずっと気にしてたっけ。


ルーシーは視線に気づいて、スーっと勇者の隣に座った。


勇者が代わりに立ち上がり話始めた。


「それじゃあ、今後の事について話そうか。とりあえずこの一番星と名付けた島の捜索は一旦棚上げ。弱まってるとはいえまだ火が燻ってる場所もある。大事をとって様子を見た方がいいだろう」


みんなうなずく。


「それで、最初の予定を早めてここに拠点を作り周囲の小島から捜索をしていこうと思う。救命艇を一艘置いてもらい俺達男性陣はここに残り捜索を続行。ルーシー達は船で町に戻り装備の補給等をやってもらおうと思うんだがどうかな」


え?勇者と離れ離れになるの?


「情けない話ですが、装備をチェックしたら我々の矢はそれほど消費してないんですよね。まだこのままでも戦えそうだ」


ベイトが口を開く。


「時間も惜しいし、それほど期待はできないが、やっておかなければ安心もできないからな」


勇者はもうそのつもりのようだ。

なんか私悪いことした?嫌われるようなことした?

動悸が荒くなる。

勇者と離れたくない。


ルーシーもそのつもりなのかと見たら、ガクガク震えてた。


「勇者様私も一緒に残る」

「私も残る!」


ルーシーが泣きながら抜け駆けしたから勢いで私も言ってしまった。


「おいおい。フラウとロザミィで行かせるつもりか?さすがにそれはちょっと無理だよ。なに往復と買い出しで3日くらいのものだろ」

「勇者様がいないと眠れないわよー」


ルーシーが勇者に泣きながらすがりつく。

私も悲しいけど、さっきのロザミィを問い詰めてた時とドン引きするくらいの落差だ。


ロザミィがゲラゲラ笑い出す。


「アッハッハッハ!ルーシーちゃんの弱点発見ー!」


弱点を簡単に発見されてる。


「ほら、これを俺の代わりだと思って寝てくれ」


勇者はホテルで買ったシャーク人形をルーシーに手渡した。


「ああああ、勇者様が小さくなった、ああああ」


ルーシーは錯乱している。


「勇者様はここに残るんですか?正直ちょっと不安なんですが」


フラウが勇者に聞く。


「ああ、俺あんまり戦闘で役にたってないからな。こういう地味な仕事くらい頑張らないと」

「そんな事はないと思いますが。でもそうすると決めているのなら応援します。くれぐれも気をつけてくださいね」

「ありがとう」


まずい。フラウもそういう話の流れになっている。

ルーシーは錯乱して頼りにならないから私が抵抗するしかない。


「わ、私は勇者も町に来て欲しい」


凄く恥ずかしい。

顔に卵を落としたら目玉焼きができそうだ。


「ほんの2、3日の間だって。みんなをよろしく頼むぞ」


ああ、勇者の意地悪。

寂しいから離れたくないなんてさすがに言えないのに。


結局別行動をとる流れを変えられないまま、こちらを見ているであろう沖の船に旗を立てて信号を送った。


ビルギット一人が救命艇で迎えに来た。一旦全員船に戻り、物資や食料を積んで再度捜索隊は島に上陸するみたい。


梯子を使ってデッキに上がる私達。女性陣は最後に回された。

パンツ見えそうな服ばかりだから。

手枷をしたロザミィは梯子を登りにくいかと思ったけど、空中を歩いて登っていった。そういえばそんな力もあったね。

ロザミィにあったもうひとつの特殊な能力をこんなどうでもいい場所で使わないでよね。


デッキに上がった私達を船長さんが出迎えてくれた。


「無事に戻ったね。巨大鳥が現れたのはここからでも見えてたよ」

「はーい。私がその巨大鳥でーす」


ロザミィが手枷をしたままの手で両手を上げた。


「は!?あんたが!?こりゃまた凄いのを連れてきたね・・・」


船長さんじゃなくてもビックリだ。


「手短に話すと、ロザミィとの戦いで主にルーシーの装備が底を尽きた。女性陣4人を装備の補給のために一旦町に連れて帰ってもらいたい。

俺達男性陣は一番星の捜索を途中で棚上げして、周囲の小島から続行するつもりだ」

「なるほど。2日ほどこの島に取り残されちまうけどいいんだね」

「当初の予定通りにな」


勇者が船長さんに説明する。


船員さん達が物資の準備をしてくれてる間、私達はそれぞれの部屋に戻った。勇者達は体を濡れたタオルで拭いて綺麗にしたり、着替えの用意も必要だ。

ロザミィの手枷を一旦外して勇者のシャツを剥ぎ取る。

前に私が着てたメイド服とルーシーに買ってもらったセーターがある。どっちがいいかロザミィに聞いてみた。


「メイド服はクリスお姉さんに着てもらいたいなー。だからこっちの白いセーターにしよっかな」


ノースリーブの白いセーターと黒いスリット入りの膝下のスカートを選んだ。


「ルーシーちゃんの下着の替えあるんなら見せてよ」

「は?あんた自分で作れるんでしょ?そのパンツいつの間にか履いてるけど」


シャーク人形を抱いてメソメソしていたルーシーが我に返った。


「自分で作ると地味なパンツしか作れないよー!かわいいのが履きたい!」

「疑惑を通り越して確実に敵の一味のあんたと一緒に居てやってるだけでも感謝してもらいたいのに、下着の替えまで要求してくるなんてふてぶてしいにも程があるわよ」

「えー!?パンツくらい履かせてよー!」


ルーシーとロザミィが言い合ってる隙に衝立の奥で体を拭いている勇者に近づいた。


「勇者。背中拭こうか?」

「え?ああ、ありがとう」


私は桶の水にタオルを浸して軽く絞った。

勇者の背中を隅々まで拭いてあげる。


背中と言わず首、腕、脇の下、胸、お腹と上半身を全部拭いた。

ズボンを下ろそうとしたけどさすがに拒否された。


「いや、それはちょっと」

「遠慮しなくていいのに」

「あとは大丈夫。スッキリしたよ、ありがとう」

「うん」


勇者とキスするのは今しかチャンスがない。


「勇者。キスしていい?」

「ああ、そうだな」


勇者も私が入ってきた時から察していたようで驚きはしなかった。

勇者にとっての私とのキスはただの私への奉仕。食事がわりになってくれてるだけなんだ。


それは最初から分かってることなんだけど。


私は勇者への不満をぶつけるように激しく唇を重ねた。


勇者はちょっとたじろいだ。

でも私だけ激しくしても満足できない。


「勇者。岩場でしたみたいにギュッて抱き締めて」

「ベアハッグか」


ベアハッグ?なにそれ。


勇者に背中を抱き締められた。首元に手を回され完全に胸の中に捕らえられた。逃げようとしても逃げられない。

勇者の腕の中で蹂躙され、されるがままに体を弄ばれる。


これいい。


衝立一枚向こうにルーシー達がいるのに声が出ちゃいそう。

必死に耐えて、でも舌の動きは止められない。激しく求めちゃう。


一頻り舐め合ったあと唇を離して勇者の顔を見る。


「満足してくれたかな」


ニッコリ笑う勇者。そんな顔されたらもの足りないよ。

またキスを繰り返した。


やり過ぎたかと思って口を離したら勇者はちょっとぐったりしてた。


イソイソと衝立から出ていったら、ルーシーの下着がベッドにたくさん並べてあった。

ロザミィがそれを眺めて嬉しそうに選んでいた。


フラウが私達を見て声をかけてきた。


「終わったんですか。数日間会えませんからね」


うん。やっぱりバレてるよね。声も出ちゃってた気がするし。

普段みんなの前でやってる事だけど、なんか恥ずかしい。

勇者の腕を掴んで顔を隠すようにした。

勇者は替えの着替えで服を着ている。


「あー。勇者ちゃん。こっち見ないで!」


ロザミィはまだパンツ一枚だった。

勇者は向こうを向いた。


「あんたがグズグズしてるのが悪いんでしょ。私の下着みんなに見られて私が恥ずかしいわよ」

「じゃあこのピンクのフリル付きのにする」


ロザミィはベッドの陰でごそごそと着替え始めた。

ルーシーあんなの履いてるんだ。


「口に出して言わなくていいわよ!あんたまさか視覚情報も共有してるんじゃないでしょうね」


ルーシーはベッドの上の並べてある下着を隠すようにバッグになおしてる。視覚情報ってなに?

そうか、セイラの声が私の頭に響いてきた事があった。

遠く離れてても声でやり取りできるんだっけ。

という事はロザミィはリアルタイムで私達の情報をセイラ達に送ってるってことか。

それを知っててロザミィと一緒に居るって相当な自信家だよ。


「町に着いたら服とかまた新しいの買ってあげるから」

「ずいぶん優しくなったね。なにかあった?」


私がルーシーに聞いた。


「いいこと思い付いたのよ」


ルーシーがニヤリと笑った。


「いいことって何ですか?」


フラウもまだ知らないみたい。


「じゃーん。どう?大人っぽい服似合うかな?」


ロザミィが白いセーターを着て出てきた。

私が着たときより本人とのギャップで随分見た目の端麗さが引き立っているような気がした。


「うん。かわいい」

「別人になったようですね」

「馬子にも衣装ね」

「町で見かけたら目を引くだろうな」


「ルーシーちゃんそれ褒めてない!」


ロザミィがルーシーに食いついたけど、私は勇者の言葉が気になる。

え?私にもそんな言わなかった事をさらっと言っちゃうの?


掴んだ勇者の腕をきゅっと強く握った。

勇者は何が何だかわからないって顔で私を見たけど、教えない。


「さあ、服はいいとして、クリスにお願いよ。ロザミィのエネルギーをフルチャージしてもらってもいい?」


ルーシーが訳のわからないことを言い出した。

ロザミィにエネルギーを分けるのは危険なんじゃない?


それに勇者との感触の余韻を少し残していたい。


「どういうつもりなの?」


私は訝しんだ。


「巨大鳥よ。ロザミィに巨大鳥になってもらって船を引っ張ってもらえば航路を短縮できるんじゃないかしら」


私達に電撃が走った。

敵の能力をそんな使い方する!?


「ふええええ!?私捕虜なのに馬車馬みたいに使おうとしないでよおぉっ!」

「うっさいわね。あんたローレンスビルの自警団に引き渡せば即刻縛り首よ。クリスの作った手枷、檻じゃないと拘束できないし、捕らえられない。なにしでかすか分からないから一緒に居るだけ。いつでも逃げられるんだから現時点では捕虜でもないでしょ」


例え私がロザミィに変化させられない檻を作っても、空気から檻を壊す道具を作られれば逃げられる。

実質拘束は不可能だ。


私は無表情でロザミィをベッドに押し倒した。


「やーん。クリスお姉さん怖いよー」

「だ、大丈夫なのか?」


勇者が心配してる。


「大丈夫じゃないよー。勇者ちゃん助けてー」

「あんたに聞いてんじゃないのよ。大丈夫大丈夫。攻撃手段の触手は封じているんだし、例え逃げたとしてもこっちからしたらどうでもいいし」

「どうでもいい!?」


ルーシーが代わりに答えてロザミィがショックを受けてる。


「船の心配なら大丈夫だと思いますね。鳥の姿をしていますが羽で飛んでいる訳ではないはずです。体が大きすぎて浮力を得られないでしょうからね。本体の時に空中を歩いている能力を常に使って羽ばたきながら床を滑るように空中を飛行しているんですね。と言うことは高さや速度は一定にコントロールできるでしょうから、船が勢いで転覆することは無いと思います」


フラウが解説してくれた。


勇者と離れる時間が少なくなるなら何でもいいや。

私は涙目になってるロザミィの唇を無理矢理襲った。

私の肩を掴むロザミィ。


「抵抗するなら手枷をつけるけどどっちがいい?」


何度か荒い呼吸をしたあと答えるロザミィ。


「このまま優しくして欲しいよ。クリスお姉さん」


ニヤリと笑って唇を奪う私。


もうどっちが悪人かわからない。


勇者が複雑そうに唸った。


「うーん。巨大鳥に引っ張られる船か。ちょっと見てみたいな」


なんだそっちか。


「さすがにこれではすぐに巨大鳥になれるほどのエネルギーは得られないだろうから、戻ってきてからしか見られないかもね」

「んんーんー」


ロザミィが何か言おうとしてるけど構わず口を塞いでた。




荷造りが済んだみたいで、勇者達男性陣は船で島に戻る準備を始める。


これでしばらく離れ離れか。

ロザミィをベッドに投げ捨てて勇者の元に駆け寄った。


「勇者。気をつけて」

「ああ、分かってるよ。何かあったら、逃げるさ」

「すぐ帰ってくるからね。待っててね。無理しないでね。いや!離れたくない!」


ルーシーがまたメソメソ泣き出して勇者に抱きついた。


私も勇者の手を握った。


「大丈夫だよ。俺みんなみたいに活躍できないから、少しくらいは頑張ってくるよ」


勇者も泣きそうな顔になってる。

別れを悲しんでというより別の事が悲しいみたい。


「それじゃあ行ってくる」


勇者は部屋を出ていった。


この一時の別れを後で後悔しそうな気がする。


デッキに出て島に向かう救命艇を見送った。


そして船長さんが声を上げる。


「よーし。アタイらも出発だ。出航の準備に取りかかりな!」



私は一人で部屋に戻った。ルーシーは船長さんに話があるみたい。

フラウも一緒にそっちについていった。


ベッドでロザミィがぐったり横になってる。

近寄ったら体を起こして私にすがり付いてきた。


「クリスお姉さん。私満たされちゃうよう」


エネルギーのことを言ってるのか心のことを言ってるのかわからないけど、エネルギーのことなら私もそう感じていた。


「もう変身できるの?」

「できる気がする」


正しくは変身ではない。体の周囲に巨大鳥のパーツを作って中から操作するだけだ。

エネルギーとやり方さえ分かれば私にもできるんだろうけど、やるつもりはない。ロザミィほどエネルギーのコントロールが私にはできないから。


まだ勇者は船を見てるかもしれない。

見せてあげれたら喜んでくれるかも。


「じゃあお願いしていい?勇者に見せてあげたい」

「クリスお姉さんの頼みならいいよ」


私達はデッキに出た。


デッキではルーシー達が船員を使って何かを用意していた。

ロープだ。

ロザミィが船を引っ張る用に船の船首や各部位に繋げるロープを用意していた。


「ホントに大丈夫なのかい?いつもあんたには驚かされるけど、今回ばっかりは正気を疑うよ」

「私は正気よ。ちょっと暴走してる気はするけど」

「それは正気ではないのでは?」


船長さん、ルーシー、フラウが会話してる。


いつの間にか船首楼に空中を歩いてロザミィが登っている。


「これを引っ張ればいいの?」

「あんたやれるの?」


ルーシーが驚いた。まだ時間がかかると思っていたみたい。

魔人同士でのキスが急速チャージだとまだ教えてなかったね。


船員達がざわつく。


「やってやろうじゃないのよ」


船首に立ち、さらにその先の空中に歩き出した。

体の周囲に光の壁が作られる。

そして光の翼が大きく、とても大きく広がった。


ハッとして船長さんが声を出した。


「錨を上げな!出航だ!」


帆船なのに帆が張られていない。風の抵抗で逆に遅くなるかもしれないから。町の方角はロザミィは知ってる。案内は必要ない。


私は島の方を見た。小さいけど勇者達がこちらを見ているのが分かる。見ていてくれたんだ。

手を振ってくれている。


ロザミィは大きく羽ばたいた。比べ物にならないほどのスピードで船が出航した。


「なんだいこりゃあ。おとぎ話にでもなっちまったのかい!?」

「凄いです!船酔いしそうです!」

「時速30キロメートルくらいは出てるんじゃない?半分の時間で町に着きそうよ」


飛んでるのが不細工なスズメということ以外は満足。


一抹の不安を吹き飛ばすように、一路ローレンスビルに戻る私達だった。







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