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卅と一夜の短篇 

釣り上げられた魚だって餌をもらえなきゃ死んじゃうし、ゴールインしても走り続けなきゃやってらんない(三十と一夜の短篇第55回)

作者: 惠美子

 怪力乱神が語られていた昔、(あい)の国に美しい少女がいた。評判が広まり、その少女は王宮に召し出されることとなった。

 少女自身は晴れがましいと露程も感じていなかった。読み書きは拙いし、優雅な立ち居振る舞いを知らない身では、都の尊い方々の側にお仕えしたとして、笑われるだけだと気後ればかりだ。しかし郷里の有力者は、礼儀作法や教養は向こうで授けてくれる、その容姿を田舎に埋もれたままにしておくのは惜しいからと、少女の主張など聞く耳を持たなかった。

 少女は――夏橘香(かきつか)は泣く泣く都へ上った。

 夏橘香は容姿に自信を持っていない。誰でも鏡があれば顔や髪、着こなしがおかしくないか眺めるだろう。余程見苦しい様、間違ったいでたちをしていない限り、親しい者ならば貶さず、褒めるだろう。実際そういった光景は幾度も目にしてきた。だから夏橘香は姿かたちを褒められても自惚れぬようにと、本気に取らないで過してきた。

 都の王宮、国王の妻子の暮らす後宮に連れてこられて、自分も見目好い部類に入るのだと、夏橘香はやっと得心した。それでも国中の美女が妍を競う場所である。王族の寵を受けようなどと野心を抱けず、衣食住が安定するのが仕合せと、勤めに勤しんだ。

 真面目さが王妃に気に入られ、何かと目を掛けられるようになり、王太子のきさき(、、、)にならないかと問われた。夏橘香は戸惑うばかりであったが、王妃から乙女の恥じらいと見られたし、断れるものではなかった。きさき候補は夏橘香ひとりではない。何人かいる。王太子が王妃の殿舎に呼ばれ、候補の少女たちは王太子の前にずらりと並べられた。王太子は夏橘香と同輩の衛秀(えいしゅう)を選んだ。史書や詩で、夏橘香は「沈静にして優婉」、衛秀は「一笑すれば百の媚生ず」と、それぞれ違った魅力を持つと記されている。

 衛秀と共にきさきと定められて、夏橘香は覚悟を決めた。後宮が自分の生きていく場所だ。鉢に植えられた牡丹同様、ここから逃れられないのなら、より良く生きられるように努力しよう。詩の中で如何に喩えられようとも、女は花でも小鳥でもない。生きて血潮流れる身で、意気地も欲もある。

 王太子(けい)は素直で明るい気質をしていた。起きてしまった出来事にくよくよとこだわらないのは美点だが、物事を深く追求しないのは為政者として足りないかも知れない。夏橘香はその分思慮深くあろうと努めた。

 三年経ち、王が崩御し、啓が新たな王となった。きさきたちから誰を王妃とするか議題に上げられ、「夏にしなさい」と王太后――啓の即位により王妃から王太后になった――の鶴の一声があり、夏橘香が王妃に立った。


「あなたは慎重だし、周りをよく見ているから、人を指図するのに向いている」


 姑である王太后は夏橘香に言い、宮廷での振る舞いや祖先の祀りを一層熱心に指導する。跡継ぎの顔を早く見たいが、秩序だった生活も大切と夏橘香を側に置き、可愛がった。

 王太子のきさきの時から贅沢をしてゆったりとした時間を持ちたいとささやかながらも願っているのに、面倒な役割ばかりが回ってくるような気がした。衛秀のようにもっと側にいて欲しいと甘えられない。後宮の妃嬪の誰もが男児に恵まれないので、啓が好きにほかの女性を侍らせるのを咎められない。


 ――口にできないけれど、夫より姑と過す時が長いのは詰まらない。子は授かりものといっても、夫と過せなければ授かるものも授からないじゃないの。



 夏橘香に王妃の座は窮屈そのもので、威勢を誇る余裕がなかった。

 靉の国の北西に(たい)の国があり、常に国境を争い、仲が悪い。靉は靆を遊牧民が興した野蛮な国と見下していた。風習が違うだけで、靆は靆での文明や秩序があった。

 国境を侵す小競り合いが度々で、国政の喫緊の課題の一つであった。

 晩秋、靉が境を越えた靆の民を害したと、靆が攻め込んできた。


「陛下、迷い込んだ者を賊だと害した報復と申しているそうですが、なんとか和解できないでしょうか?」

「靆の者たちに理屈が通るだろうか? 衛(ひん)の伯父が武官で、彼の地にいるから追い払ってくれるだろう」

国境(くにざかい)の近くに暮らす民が気の毒でなりません。早く収まるようにならないでのしょうか? 平らかな暮らしが成り立つように計らってくれる者に民は従います。」


 啓はうるさそうに妻を見やった。


「夏王妃は愛想がない。普段ならその冷たい美貌を見飽きないが、口うるさくされると、憎たらしくなってくる。衛嬪ならば、徳のある者に皆従う、お心穏やかにお休みくださいませと、申してくれる。(ねや)に来るのは安らう為、廷臣たちと同じ繰り言を聞かされる為ではない」

「陛下のご苦労を分かちたくて、出過ぎました。申し訳ございません」


 執務の場で言われ続けているのなら、対策を講じているのだろうと、夏橘香は引き下がった。これ以上は女が口出しすべきでない。

 その後、宦官が知らせてくれたところによると、啓は廷臣の進言や上申書を取り上げず、駐留している武官たちが撃退してくれるだろうと、何の決済もしなかったという。


 ――何度も同じ話を聞かさせるのが嫌なのは誰でも同じだけれど、何も成そうとしないから言われるのだと気が付いていないのかしら?


 一国の王と市井の亭主は違うと、夏橘香は全身の力が抜けた。

 ひと月半ばかり靉の軍の苦戦の報せが続いた。厳冬で靆は軍を退いて帰っていった。互いが寒さに負けたのだが、国としては武官の凱旋で飾りたい。衛秀の伯父、衛登(えいとう)に戦果ありと、都で称えた。


「衛登に報いる為に将軍の地位を与える。また、夏橘香を廃して衛秀を王妃にする」


 啓は宣言した。王の言葉は取り消せない。夏橘香は黙って(こうべ)を垂れた。口惜しかったが、鎧を外されたようにほっと胸を撫でおろしてもいた。夏橘香は王妃から嬪の一人になり、別の殿舎に移った。

 王太后は今度は衛秀を毎日呼び出して、王妃の務めを諭し、また話し相手をさせた。衛王妃は何かと王太后に口答えをすると、夏橘香は宦官から伝え聞いた。姑にどう対したらよいか少しは知恵を回したらと思わないではないが、衛秀なりの処世があるだろう。

 夏橘香は王妃から嬪に格下げされたが、寵を失っておらず、王宮に度々召された。啓は夏橘香に溜息交じりに、衛秀の言動を嘆いた。


「衛は王妃となって喜んでいたのに、この頃は苛立っている」

「お立場にまだお慣れでないのでしょう」

「そなたは和らいだ顔をしている」


 夏橘香は微笑んだかも知れない。


「嬪が面倒を見てやらなければならないのは、自分が召し使う者だけです。後宮全体を統べる王妃様とは責任の重さが違います」

「そなたに不満はないのか?」

「ございません。廃された身でもこうして嬪の一人として陛下に侍っているのです。陛下の御心に感謝しております」

「衛王妃も夏嬪のように謙虚であればいいのに」


 褒められたのが比較した結果では嬉しくもなんともない。啓は、庭木を植え替えてみて眺めがいいか悪いか程度にしか感じていないのだろうが、こちらは立場も生活もがらりと変わったのだ。しかし夫だ。寄り添うべきはこの男しかいない。


「全ては王太后様のご指導と、陛下のおん為を思ってでございます」


 夏橘香は定型句であったが、揺れのない水面のごとく、裏表ない気持ちで述べた。啓は妻が変わりなく愛情を注いでくれていると信じてか、夏橘香を抱き締めた。


 ――政事(まつりごと)に身を入れるのを忘れぬように伝えるのは王妃の務めと言われていたから、嬪になったら口にしなくなっただけなのだけど……。それでもいい。この人がわたくしを必要としてくれる。


 啓の寵愛は国王らしく、特に誰に集中することなく、順にきさきたちを召し出した。だが、いまだどの女性も懐妊に至らなかった。

 啓には弟の耀がいる。このまま啓に男児に恵まれなければ、耀が後を継ぐであろうと目されていた。

 王妃の伯父の衛登は王の機嫌取りは姪に任せたらしく、次代の王の可能性のある耀(よう)に近しく仕えるようになった。将軍のあからさまな行動は、小石を投げ入れられた水面のように小波が拡がった。わずかであっても揺れは揺れで、啓は自然に鎮まるのを待とうとしなかった。


「衛登は耀を立て謀叛を企てた。衛秀は伯父を諫めず、後宮での振る舞い、驕慢の(しょう)あり」


 衛登をはじめ、衛の一族は罰を受けた。衛秀も廃され、獄にいれられ、耀は自害を命じられた。啓の末弟(ひょう)は幼く、先王の弟たちが二人いる。宮廷の小波はとんだ大波となり、いつ海嘯に変化してもおかしくなくなった。

 夏橘香は再び王妃に据えられた。王の正室を廃したままなのは恰好が付かない、王太后の覚えが良い女性である、衛秀のように有力な外戚がいない、と廷臣たちが薦め、啓が決めた。

 地位が戻っても、またいつ廃されるか知れず、世の中の潮目が読めず、夫の迷いを深く沈めてしまいそうで、夏橘香は櫂を流された小舟同様に心許なかった。王太后も同様で、ただ国母らしく、跡目を決めた方が人心が安定するとしか言えない。

 啓は弟や叔父たちの誰を跡にと決めず、国境を度々侵す靆への態度も決められなかった。


「我はどうしたらよい」

「廟堂に信頼できる方はいらっしゃらないのですか?」

「皆々信頼しておる。しかしそれぞれ言うことが違う。どれを取り上げても角が立つ」

「陛下のみ心が定まっておいでならば従いましょう」

「ばらばらの意見を具申する者どもは面従腹背する」


 夏橘香はもう何も言えない。

 啓の叔父たちが領地で兵を鍛えている、都の治安が悪くなったと噂が流れてくる。遠地出身の女官が故郷に帰りたいと申し出てくれば、夏橘香はそれを許した。人手が足りていないと報告されれば、王妃自ら衣服の仕立てや繕いを行った。

 夏、雨が降らず、暑さが続いた。暑気あたりであろうか、王太后が崩御し、宮廷は喪に服した。

 旱魃で実りが減ると見込まれ、民からは年貢を下げる声が上がった。しかし子として孝が優先と啓は母の死を悼み、民草を顧みようとしない。共に喪に服するはずの叔父たちは、封土が案じられると、早々に宮殿を辞した。


「弔いの儀礼をないがしろにするのは未開人のするところ」


 啓は世の趨勢よりも格式にこだわった。礼に適い、法を守っていれば行い正しい君主であると、膠で張り付けられたかのようだ。夏橘香は大恩ある王太后の死に涙で目が曇り、棺の側で拝礼を続けていた。

 秋が来て、やはり収穫は乏しかった。租税を納められぬと訴えが大きくなり、遂には靉の国主を見限ろうと、地方の官衙が焼き討ちに遭う事件が各地で出た。啓や叔父たちが軍を派遣しても、なかなか平らげられなかった。啓王が即決するのは閨房のことばかりで、重要事を放っておく、租税を下げず、親族や家来を害したと悪評が飛んでいて、叛乱に同調し加わる軍さえあった。

 北西部でも叛乱が起こり、乗じたように靆が叛乱軍と手を結んで攻め入ってきた。

 靆軍迫るの報が届くと、啓は都を見捨てて逃げ出した。母の棺と後宮のきさきたちは置き去りだった。


「暴君でも都を他国に攻め入られたら、宝玉を身に着けて火中に身を投げたと伝わるのに、陛下は足弱な女は足手まといと捨ておいて、自分の安寧だけを図るのか」


 女官たちを前に、夏橘香は茫然と呟いた。自害するよりも都に残された民や宮廷に取り残された者たちを守らねばならない。王妃の義務で啓に対する意地である。


「都にいる民をでき得る限り宮殿の中に入れなさい」

「それでは卑賎の者が九重に足を踏み入れてしまいます」

「構いません。いずれ靆が押し入ってくるかも知れないのですから、悠長なことを申してはなりません」


 城門を固く閉じ、夏橘香は宦官や警吏に秩序を守るよう命じ、女官や有志の者たちに炊き出しをさせた。

 靆軍が都に到着し、夏橘香は城門を開ける代わりに略奪をせぬように頼んだ。明快な答えが返ってきた。


「我らは民草の窮状の訴えを聞いてことを起こした。破壊と略奪は望まぬ。恭順する者には保護を与える」


 野蛮であると先入観を抱いて怯えていたので、ひとまず胸を撫でおろした。命は助けられそうだ。

 靆軍の一部が都の守備にあたり、多数は他地方の叛乱を鎮めるのに向かい、また話し合いの場を設けと、手を拡げ、成果を掴み取っていった。やがて逃亡した啓を追った。靆に下るのを潔しとしない者たちが啓に味方したようだが、所詮は寄せ集めであり、人心は啓から離れていた。

 啓が討ち果たされたと聞いても、夏橘香は涙が出なかった。

 啓と共に叔父の一人が討たれ、一人は靆に下った。

 都に靆軍が戻ってきた。城門が開かれた。靆の王の(せい)は初めて王宮に入り、靉の王妃と相対した。

 霽は思ったより若い。日焼けした顔が夏橘香を見下ろした。


「靉の王は民の声を放置し、乱れた。我が国はこれを平らげた。天の意思である。これからは靉を靆と併せて治める」


 夏橘香は頭を垂れた。


「宮廷に残されていたのは何も知らぬ下働きの者たちです。まして都の民に罪はございません。同じ天の下の者として扱われるよう、よろしくお願いいたします。

 この哀れな寡婦にはせめて姑と夫を偲んで暮らす軒をお与えくださいませ」

「靉の王妃の願いは判った。任せてもらおう」

「まことに有難うございます。これで心残りはございません」


 霽は夏橘香に顔を上げるように言った。夏橘香は恐る恐る顔を上げた。霽にじっと見詰められ、夏橘香は震えた。


「靉は靆を野蛮と評した理由の一つに、靆が遊牧をしていた頃の風習が残っているからだという。

 父が亡くなれば跡を継いだ息子は実母以外の父の妻妾を我が物とする。靉は禽獣に劣る振る舞いだと謗った。しかし強者が弱者を守るのが掟だ。野営地を巡って暮らしていた靆では、そういった名目で当主の保護下に入らねば寡婦は生きていけなかった。新しい当主が父の妻妾全てと床を共にするとは限らない。

 我が何を言わんとしているかお判りか?」

「靆の国王は慈悲深くていらっしゃると……」


 霽はかしこまっている夏橘香に近付き膝を着いた。霽の手の感触は啓と違い、腕もずっと太く逞しく、驚かされた。驚きに不快さは伴わなかった。


「夏王妃よ。靉からあらゆることを引き継ぎ、靆と併せて治めていくのだ。王妃をも受け継ぎたい」

「お戯れを仰言いますな。わたくしは夫から捨て置かれた身です」

「啓王は弱い者を守れなかった。妻を守らなかった夫に義理立ては不要。夏王妃は今後墓守として過すか? 靆では墓の土が乾けば寡婦は次の夫を迎える。子を生す若さのある寡婦に墓を守らせるままにさせようとは誰も考えない。

 我にはまだ正妃がいない。我は充分に若く美しい夏王妃をそれに相応しい座に就けたい。靉と靆の結び付きの(あかし)と国に知らしめたい。

 返事は如何に?」


 夫の死で泣けなかった夏橘香は何故か涙が零れた。


「それが争いの終わりの印となるのであれば従います」


 夏橘香は靆の霽王の王妃となった。

 霽は征服した靉の混乱を鎮め、よく治めた。靉の旧臣たちの多くも夏橘香の説得で従った。夏橘香の尽力に女の出しゃばりと問題にする輩がいたが、霽は気に掛けなかったし、事実それで無用な争いが避けられたのだから、王と王妃に左袒する意見が優勢だった。

 夏王妃は第二の夫との間に深い愛情と信頼が生まれ、子にも恵まれた。順風に帆を上げて海洋に漕ぎだす大船に、不安は微塵もない。夏橘香は靉と靆の仕来りの悪しきを削り、良い所を取り上げて、新しい後宮の秩序を作り上げた。旧い靉の民にも靆の民にも賢い身の処し方をし、しなやかに生きる例として手本とされた。

 ある時、霽は妻に言った。


「今でも亡き夫を偲んで軒端で暮らしたいと思うか?」


 夏橘香は嫣然と夫に返した。


「いいえ、わたくしは貴方との生活に満足しております。ほかでの暮らしはもう考えられません。

 故人を悪く言うのは憚られますが、啓は男性としても君主としても優れていたとは申せません。殿方はみなそのようなものだと思い込んでおりました。しかしそれは誤りであると、この世に偉丈夫がいるのだと貴方は教えてくださいました。

 この靆と靉とを併せた国、皆が穏やかに暮らせるように貴方は整えてくださいました。貴方を破格の人と信じております。

 その破格の人を夫と呼べるわたくしは無上の仕合せ者です」


 霽もまた妻の言葉に満足した。


「そなたが力を貸してくれたからこそ国を治められる。我は内助の妻に恵まれた」

「『士は己を知る者の為に死し、女は己を(よろこ)ぶ者の為に(かたち)づくる』と申しますが、わたくしは貴方に愛でられる為だけに身繕いをしているのではありません。貴方に相応しい妻でありたいと常に心掛けています。共に老い、死をももろともにしたいと願っております」

「我らは年を重ねた。そなたより姿かたちが良い、若い女はいるだろう。しかし、そなたほど我の心を掴んで離さぬ女はいない。まして優れた心映えの持ち主もいない。

 我らが出逢うまで乗り越えてきた数々の苦闘は、今の平穏と実りを得る試練であった。我はそう信ずる」


 夏橘香はよろこび肯いた。

 集合離散を繰り返す現世(うつしよ)に、確かな結び付きの一つであった。


 靉靆の国は、空に漂う雲のごとくほんのひと時代現れ、消えた。霽王も二代の王妃と呼ばれた夏橘香も、その終わりは定かではない。

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[一言] タイトルに、多くの妻が「わかる! すっごくわかる!!」と頷きそうです。わたしもその一人。ゴールインしても走り続けた主人公は、美を鼻にかけず常に冷静でステキでした。 女性が憧れる女性です。一番…
[良い点] わお中華! 一度は書いてみたい中華もの!  なるほど、王の器ですね。夏橘香とはよいお名前。序盤はシンデレラストーリーのごとく、あれよあれよの立身物語。しかし宮廷に召し上げられても色々ある…
[良い点] いい意味でタイトルを裏切る本文。 惠美子さんらしい、強く素敵な女性目線の王朝物語でした。 [一言] ギブ&テイクの関係が双方を強くするいいお手本をかっちりとした文体で楽しめました。
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