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第5話
12月25日、早朝。達也は隣の区で買った赤いゼラニウムの花を、彼女の玄関前に置いた。ゼラニウムの時期でないので、探すのが大変だった。達也は反応が気になったため、階段の陰に隠れて彼女を待った。
6:00。彼女はゴミ捨てのため、外に出てきた。花を見つけると彼女は嬉しそうに抱きかかえ、1度家の中に戻った。その様子を見て満足した達也は、自宅へ帰った。
自宅に帰り、達也は約3ヶ月ぶりにSNS巡回を始めた。
「彼女とデート、友人宅でクリスマスパーティ、リムジンパーティ…。前の俺ならこれ見て、嫉妬してたんだよな。ま、今は美麗さんいるし、どうとも思わないが」
大きい独り言を言いながら、お茶を飲む達也。
「俺も久しぶりに書いてみようか」
慣れた手つきでフリック入力をする達也。自然と笑みがこぼれている。
“ある人へのプレゼント。喜んでくれた。柄にもなく花言葉で選んだけど、気づいてくれたかな”