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最終話
ゼラニウムを置いてから数日が経った頃、やっと彼女が達也の前に姿を現した。久しぶりに見た彼女は前より細くなっていた。そして大きなキャリーバッグを持って、どこかに出掛けた。
その日からは、手紙を置いてもなくなることは無かった。それでも達也は、手紙を書き続けた。いつか彼女の目につくように。いつ彼女が帰ってきてもいいように。
しかし彼女を見た日から1ヶ月。彼女は戻ってくることは無かった。達也は彼女に見捨てられたんだと思った。それでも達也は、いつまでも彼女のことを待ち続けることを決めた。その決意を彼女に告げるかのように、達也は日課を増やした。
__毎日1輪、紫のアネモネを君に