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第1話
暑さもほどほどになり、過ごしやすくなった9月中旬。同じ電車に乗り、同じような仕事をこなす毎日に小野原達也は飽き始めていた。
「いくらやりたかった仕事だったとしても、これじゃない感があるんだよな」
達也は自宅で缶ビールをちびちび飲みながら呟いた。そしてスマホを開き、日課になりつつあるSNS巡回を始めた。
「彼女と旅行、結婚式、同僚と飲み、誕生日パーティ。みんな充実してるなぁ。それに比べて俺は、家で1人寂しく缶ビール。どこで間違えたんだろう」
達也は缶ビールをもう1本開け、一気に飲み干した。
「あいつらと同じように高校時代も大学時代も馬鹿騒ぎしてたし、友人関係だって良好だったはず。人並みに彼女だっていたし、勉強だってできてなかったわけじゃない。だって大手企業に就職できてるし。…確かに彼女は大学2年の時に別れてからいないし、仕事が忙しくなって飲みにも行けなかったけど」
気づいたら目の前のテーブルには、空き缶が4本。そこまで強くない達也を潰すには、十分な量だ。達也はそのまま、無意識のうちに意識を失った。