依頼
「其方にはなんと礼をすれば良いか・・・この度は誠に感謝する・・・」
「いえいえ。俺たちも馬車に乗せてもらってすみません」
俺は今、公爵家の馬車に揺られている。
彼の名はランディ・ヴァ・ハーゲン。
ラクト王国の元公爵だそうで今は公爵領からの帰りだったらしい。
「それにしてもランディ様の使っていた魔剣・・・少し見せてもらってもよろしいですか?」
「ん?魔剣アモンの事か?残念ながら先ほどの戦いで魔法陣が傷ついてしまってな・・・残念ながら能力は使えんぞ?」
「いえいえ。いいんですよ・・・ふむ。ティータどう思う?」
「そうですね・・・魔力回廊の破損以前に出力が弱いですね。マスター、火龍の爪と炎魔石で直せますよ」
「流石精霊の眼だな」
異空間から言われた物を取り出す。
「そ、それは!?」
「ランディ様、ここであったのも何かの縁、この魔剣直しておきますよ」
魔導技術:魔剣創造
魔力が消費されていく。
「どうぞランディ様、魔剣アモンですよ」
俺は新しく作り変えた魔剣アモンを手渡す。
「こ、これは・・・!!」
「ランディ様、私は身分証を持っていません。なので身分証人になってもらえますか・・・?」
「あ、あぁ。其方の力について少し聞かなければならなくなったしな・・・それに、ナターシャが喜んでいるしな」
「お祖父様!」
先ほど助けた女の子はメイドさんの服を掴んで隠れたり出て来たりしていた。
「・・・ん?ランディ様、失礼ですが娘さんは・・・」
「・・・つくづく規格外だな。そうだ、娘は魔法障害がある。昔は使えたんだが・・・或る日突然使えなくなったんだ」
「それは違いますね」
ティータが口を挟む。
「ティータ、同類か?」
「はい。彼女の魔力に微かですが彼女の魔力が流れてますね」
「やっぱりか。それならティータの劣化版みたいなものか。ランディ様、少し娘さんに魔法をかけてもよろしいですか?」
「それは・・・魔力障害を治すものか?」
「はい。ティータと同じならこの魔法で魔法が使えるようになりますよ。どうやら娘さんには魔法の才能もあるようですし・・・」
公爵は深々と頭を下げる。
「何から何まで感謝する・・・」
「いえいえ。それじゃあ娘さん。ちょっと来てもらえますか?」
「は、はい!!」
再び魔法が使えるように鳴ると聞いて嬉しいのかメイドの服から手を離してすぐにこちらに来た。
「ランディ様、ここでのことは他言無用でお願いします」
「うむ。それでナターシャが魔法を使えるようになるなら頼む」
魔導技術:高位立体魔法陣
俺の手元に立方体の魔法陣が作られる。
「そ、それは!?」
「立体魔法陣」
立体魔法陣:呪蟲破棄
おそらく彼女の蟲を殺す。
「っつ!!お祖父様!!常備魔法が発動しました!!」
「おぉ!!よかった!!本当に良かった・・・」
このあと、ナターシャが泣き止むのを待ちランディ様と話をする。
「さてとシン殿、お主は勇者じゃな・・・?」
「ほぉ?やっぱりわかるものか?6000年も経ってるから大丈夫だと思ったが・・・」
「立体魔法陣は勇者の証と言われておるからな。使わないほうが良いと思うぞ」
「そうかそれはありがとう」
「それとは別に頼みがある。ナターシャに魔法を教えてもらえぬか?」
「あぁ、それは禁術とかじゃなければいいですよ」
「そうか、それなりの報酬は払う。期間はナターシャが魔法学園に戻るまでじゃ」
「わかりました。魔法学園に戻るのはいつですか?」
「今は長期休暇でな、後1ヶ月はいるはずじゃ。どこまで教えられる?」
「1ヶ月ですか・・・中級までと簡単な立体魔法陣を一つお教えしますよ」
「おぉ!!それはありがたい」
こうして、俺はランディに依頼された。
そしてこれはこの世界の魔法技術の低下を痛感するものとなった。