勇者&精霊vs盗賊
「マスター」
「あぁ、わかってる」
俺もティータも気づいている。
どうやら北の森入口付近で誰かが襲われているようだった。
鉄と鉄がぶつかる音がする。
しかもあと少ししたら森から中位魔物である森熊が現れる。
後ろは魔物、前は敵。
襲われている人は絶体絶命だろう。
「マスター。僭越ながら助けてもよろしでしょうか?」
「俺も人間がどれだけ変わったか知りたいしな。せっかくだし今の時代の実力を知るためにも少し行くか」
空間魔法:地図化
空間魔法:座標指定
空間魔法:空間転移
3つの魔法を無詠唱で使用して二組の間に転移する。
状況を説明すると騎士っぽい人と臭そうな人間が戦っている。
騎士の後ろには高級そうな服を着た女が3人。
うち一人はメイドだろう。
さらに騎士の中に能力は弱いが魔剣を持つお爺さんがいる。
「!!頼む!妻と娘を助けてくれ!!礼はいくらでも尽くす!!私たちは命あるかぎりここで戦う!」
「マスター。明らかに優貴族と盗賊の戦闘です」
「そうだな。しかもこの展開とてもテンプレだ」
「頼む!そんなに長くは持たん!!」
爺さんが叫ぶ。
「ティータ、盗賊は見つけたらどうすればいいか知ってるか?」
「殲滅・・・ですよね?」
ティータが結界魔法を個別に使い騎士と爺さん、女子供を守る。
「な、なんだ!?この高技術な魔法式は・・・」
「さてさてさーて」
複合魔法:グラビティフレア
重力魔法と火魔法の複合魔法:グラビティフレア。
小さな炎の玉が盗賊の真上に発生。
盗賊は自ら飛び込むようにその小さな炎に触れて灰へと変わっていく。
「グラァァァァァ!!」
と、そんなことをしていると後ろで森熊に女子供が襲われそうになっていた。
「リズ!!ナターシャ!!」
爺さんが叫ぶ。
森熊が子供に腕を振り下ろす。
女性とメイドがそれを守るように覆いかぶさる。
「無駄です」
ガキィィン
硬質な音が鳴り響く。
「森熊ごときがティータの結界を破れるわけがないだろう?」
火魔法:炎弾
腕を軽く振り火の弾丸をとばす。
ドチュ!!
森熊の脳天を貫いた。
「あ・・あ」
これがこれから長く付き合う俺と公爵の出会いだった。