サイドストーリー:その頃
「まだ見つからないのか!!」
「す、すみません!!」
城塞都市の防衛隊長になり3年。
あれ程の強者を見たことがなかった。
数万の魔物を葬り去るその姿はまさに神話の勇者様のようだった。
なんとしても彼を見つけ無くてはならない。
「あ、アハード様!!!こ、公爵家の方々が来ております!!」
「なに!?すぐにお通ししろ!!」
「は、はい!!」
この忙しいときに公爵家だと?
「アハード防衛隊長。単刀直入に言う。彼の身元を探るのはやめなさい」
「っつ!!」
「彼はその力を己以外のために使うことはない。助けを求めれば助けてもらえるかもしれないが利用しようものならくわれるぞ」
「彼は・・・・・一体何者なのですか?」
私は恐る恐る元公爵様に聞く。
「私は彼を伝説の勇者だと思っている」
その言葉に私は電撃を食らったように止まる。
「今代の王は傲慢だ。もし彼のことを知れば何としても取り込もうとするだろう。しかしそんなことをすればどうなると思う?国が消えるぞ?」
確かにあれほどの力があるのならば王都軍を壊滅させることができるだろう。
「・・・・・わかりました。このことは秘密にさせていただきます」
「それでよい」
公爵家が去った後、私は考えるのをやめた。