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勇者をやめた理由
勇者は常に一人で戦っていた。
勇者はただ一人で数万の魔物の群れを相手にした。
数万の魔物をたった一人で倒した勇者は人々から崇められた。
しかし、中には勇者に畏怖の念を覚えるものもいた。
時には助けられない者もいた。
勇者は責められた。
多くの命を助けるも少ない命を見捨てた勇者はとある村では憎まれ、恨まれた。
勇者は孤独に戦った。
勇者は剣を振り続けた。
そして魔王と戦った。
魔王には数多くの『仲間』がいた。
しかし勇者は勝った。
相棒とも言える天剣『ティータ』を使い魔王とその仲間を討伐した。
そして帰ったやさき裏切られた。
勇者は万の軍勢とも戦っても勝てる力がある。
しかし勇者は万の仲間には勝てない。
勇者は孤独だ。
雨が降っている。
傷ついた体に雨が染み渡る。
街の方向を向くと冒険者が俺に畏怖の念を抱いていた。
「ティータ、いくぞ」
「はい。マスター」
俺は城塞都市を去った。




