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たたかいのうた  作者: 山賊みかん
7/23

反社会戦隊ごれんじゃー

ぶっとばしてぇんだじょうしきってやつを

目を開ける

暗いがまったく見えないほどではない


白い天井 妙に近い

カーテンも近い 違和感

天井が二つある?

天蓋?

背の感触からベッドに寝かされていることがわかった


天蓋つきベッド?


なんだっけ・・・なんでこんなとこにいるんだっけ


思い出す

サイレン、爆発音、枝を折る音、けたたましい暴走族

そして・・・・・・。


思い出した。


ここはどこだ。明らかに警察ではない。


右に光がある。

首を動かす。肩に違和感があった。



光っていたのはパソコンのディスプレイだ。

たくさん縦横にならんでいる・・・6つ

座った人がいる

ディスプレイを眺めている


女性だ

きれいな女性だった

髪は長く、顔も小さい、

座っているのに均整の取れた肢体をしているとわかる

まるで彫像のようだった


きれい・・・・。

青年はしばし現状を忘れた。


視線に気づいたのか

女性がこちらを見る

口を開いた

「おお、気づいたか?遅かったのぉ、夜になってしもうたぞっ!」

大きな声だ、若干ハスキーだった


女性は立ち上がり、大股で部屋のドアに向かう

ドアを開き大きな声を出した。

「目を覚ましたぞーー!!集合ーーーー!!集合じゃーーーー!!!」


照明がついた。

広い部屋だ。ホテルの一室のような味気のなさがあった。


人が複数入ってくる。3人の男女


その中にあの大男がいて青年は少し身を固くした。


「並べ並べ、顔見せじゃからな。しっかりキメねばならん」

何が面白いのかひどく楽しそうだ。


女性が向き直る。

照明がついてから改めて見ると

動きに落ち着きがなくハリがある・・・若い

少女のようだ。

というか髪の色が黒じゃない

透き通るような金髪だった

よく見ると瞳の色も違う

外国人だった。

日本語しゃべってるけど しかもなんか変な


「紹介しよう!こっち側からじゃ!」

目線を移すとあの大男だった。短く刈り込んだ金髪である

「ヤン・キーコック!彼が貴様をここに運んできた!」

やんきーこっく?

男が軽く会釈する。ていうか睨まれている。

身が更に固くなるのがわかった。

「目つきが悪いが生まれつきじゃ!悪気はないので慣れるがよい!!」

生まれつきかよ。てゆうか明らかに偽名じゃねえか



「次はミリタッ!ミリタ・リー!装備と情報収集のエキスパートじゃ!」

「よろー」

思ったより柔和で高めの声だった。

相撲取りのような男だ。ヤンと紹介された大男より若干背が低い

てゆうかまた偽名だ。ミリタリーて何だ適当すぎんだろ


ミリタが口を開く

「いやぁ君の作ったプログラム見たけどだめだねあれは素人仕事だよぷゲラ

 君ねあんなんじゃすぐつかまっちゃうよ僕が隠蔽スクリプト追加してなかったら

 けつの毛までむしられちゃうぜだいた

「このように一度話し出すと止まらん!!適当なとこで遮るとよいっ!!」

「ひめっちそりゃないっしょ」

遮られた男は唇をとがらせ抗議するが

ひめっちと呼ばれた少女は意に介した様子もなく続ける



「最後に紅一点!インリンじゃ!!リンと呼ぶがいい!!」

「・・・どうも」

あんたは紅じゃないのか とつっこみたかったがこらえた。

気だるげな若い東洋人女性だった

中国人なのだろうか、それとも偽名?

ミリタより若干低いが女性としてはかなり高い

スタイルもよく、体のラインが出る服を着ているせいか若干目のやり場に困る

だか見るからに気だるげな雰囲気と生気のない表情のせいで台無しだった

そんな雰囲気をまったく気にせず少女が言う

「彼女は元ナースでな!貴様の傷の手当をしたのもこいつじゃ!

 感謝するがよい!」

戸惑いながらも「どうも」というと

「・・・いえ・・・折れてません。ただの捻挫」と返ってきた。

テンションひっく

だが少女は満足気にうなずいている。これでいいらしい

言葉に違和感がないところを見ると彼女も日本人であるらしい。


「そして儂がみんなの主!姫様と呼ぶがいい!!

 この住まいも儂のもんじゃ!すばらしいじゃろうが!

 ハッハッハ!!」

胸を張って元気な声で少女がいう

少女は意外と背が低かった



なにも言えずにいると怪訝な顔をして少女 もとい自称姫がいう

「ん?どうした?こちらが名乗ったのじゃ

 貴様も名乗るといい。指名手配犯じゃから知っとるが、

 それが礼儀というもんじゃろう」


結局全員名前言ってないだろと思ったが

何されるかわかったものじゃないので素直に従う


「田中・・・田中・・・ヒカルです。」

「ヒカル?」

少女は怪訝な顔をする。

「報道ではライトじゃったよな?

 なんじゃわしらに偽名を使う気か?そうは行かんぞ調べはついておる」

「その名前嫌いなんだよ」

というかどの口が言うんだ


あぁ・・・と姫以外の3人が気の毒そうな顔をする

「DQNネームてらかわいそす」

「まぁ・・・就職は厳しいわなそりゃ」

「・・・どんまい」

三者三様の返事

自称姫だけがわかっていなさそうな顔できょとんとしている


もうやめてくれ


「そんな変な名前なのか?」隣を見上げ尋ねる

「まぁ、あんま無いっすよ。増えてはいますけどね」

そっかーといまいちわかってなさそうだ


もうマジでやめてくれ


「うん・・・まあ何じゃ、どうせお尋ね者なんじゃし

 この際 名前変えてしまえばよいぞ

 そうじゃな・・・せっかくライトなんじゃし

 ヤガミがいいじゃろう!夜の神様で夜神!」

絶対やだよ


「新世界の神となれっ!!」とミリタが半笑いで続ける

「やかましいわっ!! っつぅぁ」

思わず大きな声が出た。肩の痛みに顔をしかめる

てゆうか全員の偽名アンタだろ絶対


「そんな怒ることないじゃろ儂は真剣にお前のためを思って・・・」

少女はびっくりした様子で若干ひいている

尊大な態度の割に打たれ弱いらしい

ヤンは苦笑い、リンはうつむいて肩を震わせている


なんなんだホントに


「ま、まあいい顔見せは終わりじゃ。疲れもあるじゃろうし

 もう夜じゃ、細かい話は明日にしよう。ほれっ」

何かをベッドへ投げられる。ボスっという音がした。

水。と薬?


「睡眠薬と精神安定剤じゃ。安定剤は朝食後に飲むとよい

 朝食は8時じゃから。ちゃんと起きてくるんじゃぞ」


そういって全員ぞろぞろと出て行く

電気は消された。




・・・・・・・・・・・・・。



しばらく呆けていた。

わけがわからない

結局なにも聞けなかった。彼女らがなんのつもりなのかも

窓から外を見てみる。

かなりの高さがある。

どこかのビルなのか?



青年は水を口に含み

横になった。

腹が鳴る。

どうしたらよいのだろう

明日とにかく話を聞いてみるより他ない

話をしてくれるということは

危害を加えるつもりはないのだろう

拘束もされていないし


頭を巡らすが答えは出ない。

ふと尿意があることに気づいた。



とりあえず

トイレに行こう


青年は部屋をでる。鍵はかかっていなかった。



遅れて気づいたが服も着替えさせられている。

病院服のような上下

トイレを探してさまよう。

暗くてよく見えない



目の前の部屋から明かりが漏れていた。

少し戸が開いている

何の気なしに覗く



行為の真っ最中だった



姫と、ヤンと紹介された大男だった

スプリングの軋む音と小さな嬌声が聞こえる

ハッとして青年は身を引く

見てはいけないものを見てしまったバツの悪さから

一直線に部屋に戻る

尿意は吹っ飛んだ

睡眠薬を水で流し込んで布団をかぶった

強い薬だったのか何も食べていないからか

すぐに眠りに落ちる

もうわけがわからない





――――――――――――――――――――――――――――――――

「行きましたね」

「そうじゃな」

「童貞ですよありゃ」

「そうじゃな・・・んっ・・・困ったな・・・」

「でんわ。あとストップ」

「ヘイ」

「あぁ・・・もしもし?わしじゃ

 明日でいいんじゃが、筆おろしできるいい娘・・・ぁん・・・

 やめんかアホッ!!あぁすまんこっちの話じゃ

 空けておいてくれ。迎えをよこす。

 童貞を悩殺できるような色っぽいやつな

 あ?時間?13時!あぁ!よろしく~~!」

「さて、続き続き」

「腹が痛いんですが」

「自業自得じゃ阿呆」


――――――――――――――――――――――――――――――――


夜は更けていく

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