なんとかかんとか は どうとかこうとか の夢をみるか
まあ設定の穴は多めに見てくださいませ
二日間 部屋に引きこもった
ほとんど食事をとらず
壁を見つめたり、テレビを見たり、
外の喧騒に耳を傾けたり
何もする気にならない
しかし残酷にも時は過ぎる
腹が減りすぎて内臓がごろごろと音をたてている
水だけでは体が限界のようだ
「めし・・・」
冷蔵庫にある米びつを見る。
あと数合しか残っていないようだ
とりあえずそれを粥にして食べることにした。
このままではまずい・・・。
青年ははっきりしない頭で考える。
食事を取って幾分やる気が出たのか
携帯電話を手に取った。
なれた手つきで操作する。
プップップッ
呼び出し音が鳴る
『もしもし?』
「ああ、母さん」
電話の相手は青年の母親であるらしい
『あんた久しぶりじゃない?元気なの?
ちゃんとご飯食べてる?というか就職はどうなったの?
まったく連絡してこないんだもの。心配してたのよ?
こっちも大変で・・・』
「いや、ちょっと・・・あの・・・」
相手が矢継ぎ早に話しているせいで
青年は思うように話ができないらしい。
とりあえず
「大変ってなに?」
と相手の話を聞くことにした。
『お父さんが「会社行けない」って言い出して
お医者に行ったらうつ病ですって、
もう二人とも うちにはいないから大変よ
稼ぎは私の分があるからいいけど、もうお父さんの相手するのが
しんどくてしんどくて・・・』
青年の母親は不満がたまっていたのか
まったく止まる様子がない、青年はさっきから
「うん」「大変だ」「そうか」しか言っていなかった
『それで?そっちはどうなの?』
散々一方的にしゃべったあと尋ねる。
青年はもはや疲れていた。
「ああ、こっちはなんとかやってるよ。
就職はできなかったけど、バイトで食いつないでる」
嘘だった。バイトは今月でクビだ。収入源はない
『そうなの・・・かえってきたら?私も助かるし、
お父さんの相手一人じゃ辛いのよ』
「いや、そっちじゃ碌な仕事なんてないし、
もう少しがんばってみるよ。
それでちょっとお願いなんだけど、お金貸してくれない?
バイト代入ったら返すからさ」
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「これで・・・しばらくはもつな・・・」
青年は疲れたのかその場に倒れこむ。
仕送りを頼むのにこんなに疲れるとは
実家に帰るのはよそう。いろいろと抜け出せなくなる気がする。
テレビをつける。
アナウンサーがしっかりとした口調でニュースを読み上げていた。
過労死、就職難民、失われた20年、日本型正社員の限界、
自分は社会から必要とされないという烙印
増える自殺者、まさか死ぬとは思わなかった
テレビを消す。
胸の辺りがナイフで裂かれたように痛い。
反吐が出そうだ。案の上トイレで吐いた。
お粥の残骸とすえた臭いがする。
先日の会社員の罵倒がリフレインする。
まちがっているのは自分なのか
本当に?
本当の本当に?
這うようにしか動けなかったが
青年はある決心を胸に椅子に向かった
パソコンを立ち上げる。
学生時代に趣味で作ったゲームのスクリプトを見る。
考えたとおりのものはできるだろうか
やってみるしかない。
だめなら、もう死のう。
捨て鉢な思いを抱きながら
青年の歯車は回り始める。
社会の歯車ではない別の回路で
それすらも飲み込んで社会は好き勝手に動いている
決してとまることはない
行き着く先は人間にはわからない