3話
中世ヨーロッパのような町並みを楽しみながらマックスと共に冒険者ギルドに辿り着いた俺。
冒険者ギルドは商業ギルドや教会などの重要施設が建てられている街の中心にあった。
俺達は冒険者ギルドと書かれた看板のある建物に入ると中には沢山の冒険者が依頼書の張られている掲示板に集まったり、設置されているテーブルに集まって話し合いをしていて受付と思われる場所には冒険者達が列を作っていた。
登録をしたらまずは拠点となる宿を探さないと……さすがに宿無しは嫌だからな。
マックスはどうするのだろうか?
「マックス。あそこが受け付けみたいだが、登録したらどうする?」
「俺か?俺はまず拠点となる宿探しだな。カイトはどうするんだ?」
受付を指差した俺は何気なくこの後、マックスがどうするのかを質問をした。
するとマックスは俺と同じように拠点を探すようだ。
俺は一瞬このままマックスと共に一緒に宿を探そうかと思ったがやめた。
いつまでもマックスの世話になりっぱなしなのはいけないと思ったのと
成人した男が何時までも誰かのすねかじりみたいな真似をするのは
嫌だったからだ。
宿ならギルドの人に聞けば教えてもらえそうだし、後は自分でやってみよう。
「俺も一人で宿を探そうと思う。ここまでありがとうなマックス」
「楽しい時間だったし、礼なんていらないさ。
ここからは別々になっちまうが、お互い頑張ろうぜ!」
「ああ!」
お互いに握手をしてそれぞれ別の受付のカウンターへと向かった。
しばらくすると列がだいぶ進み俺の番になった。
二十歳ぐらいの受付譲が営業スマイルで俺に話しかけてきた。
「ようこそ。リアントル冒険者ギルドへ。
今日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者登録をお願いします」
俺が冒険者登録を頼むと受付譲は用紙を一枚取り出して俺に差し出した。
「では、こちらの用紙にお名前と年齢と契約したドラゴンが居るのでしたらドラゴン
の名前を記入してください」
「はい」
言われた通り、近くの鉛筆を使って用紙に必要事項を記入していく。
記入を終えた用紙を受付譲に差し出すと受付譲は問題がないかを確認し
承認と彫られた判子を押して登録は終了した。
「ではこちらの証明書を受け取りください。
カイト様のランクはFランクとなりますので依頼を受けるときはFランクの
依頼書を持ってきてください。依頼の達成数によってランクは上がりますが
Dランク以降は高ランク冒険者による実技試験がございますので
ご了承ください」
「わかりました。あと、宿を探しているのですが何所にありますか?」
「宿でしたらギルドを出て左に真っ直ぐ向かうと何件か冒険者専用の
宿がございます」
「そうですか。ありがとうございました」
受付譲にお礼を言ってギルドを出た俺は、早速受付譲に教えてもらった
通り左の道へと歩いていった。
少し歩いていると宿が何件か見えてきた。
出入りしている客を見ると観光客専用の宿と受付譲の行っていた冒険者
専用の宿がどれかよく分かる。
俺は、冒険者達が出入りしている宿へと入り、受付のおじさんに声を掛ける。
「一部屋に一ヶ月滞在するとしたら料金はいくらくらい掛かりますか?」
「ええと…お風呂つきですから……前払いで三万五千Gになります」
「じゃあ、それでお願いします」
俺は腰に装備しているアイテムボックスからGを取り出し、おじさんに渡した。
おじさんはGを数え終えると部屋の番号札の付いた鍵を渡してくれた。
「二階の206号室の鍵になります。食事は一階の食堂をご利用ください」
「わかりました」
鍵を受け取り、鍵の番号の書かれた部屋に入る。
そして中を見て驚いた。
一人で使うには勿体無い部屋の広さに天蓋付きのベッド、さらには豪華な丁度品の数々。
ここってもしかしてかなりの高級宿だったのか?
1G=1円の感覚だったから安いと思ったのだけど……。
まあいい。
Gはまだまだ湯水の如く沢山あるし、少しぐらい贅沢してもバチは当たらないだろう。
こうして俺の異世界での一日目は高級宿の美味い料理とふかふかベットと枕で
爆睡して終わった。
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