2話
街に門に辿り着くと何人もの兵が居て検問をしており旅人や商人に冒険者
一人一人検査をしている。
しばらく列が進むと俺達の番になった。
「ほお、これは立派なドラゴンだな…騎士か冒険者か?」
「いえ、旅をしていたのですがこれから冒険者になろうかと」
「そうか。君とこのドラゴンなら直ぐに上のクラスにいけるだろうが
気を付けるんだぞ」
「はい。ご忠告、ありがとうございます」
話をした兵は「通ってよし!」と手を振ってくれた。
中に入ると大きな広場があり、旅芸人がジャグリングなどの芸を披露したり
商人が露店を開いて、アクセサリーや土産物を販売していた。
他にも宿の店員や飲食店の店員だと思われる人たちが観光客に対して客引きをしていた。
人が多く、まるで祭りのように賑やかな街だ。
「うっひょー!さすが大都市、大賑わいだな!」
「ああ、人も沢山いる」
マックスは街の人々の熱気に当てられたのか初めて会った時のように興奮している。
道も広く馬車で移動している人も居るがドラゴンで移動している人はいない。
確かにドラゴンの移動は馬車よりも危険だろうがどうしているのだろうか?
「カイト!さっさと龍舎を借りて、冒険者ギルドに行こうぜ」
「ああ、わかった」
ライオネルに乗ったまま、マックスとレッドフットに広場の左側に案内してもらうと巨大な牛舎のような建物があり俺達よりも先に街に来たと思われるドラゴンをつれた人たちが列を作っていた。
「ここがこの街で一番デカイ龍舎でドラゴンはここに預けるんだ。
さすがにドラゴンが人ごみの中を歩くと爪が引っかかったりして危険だからな」
それは確かに危険だ。
ゲーム時代に龍舎なんてなかったから頭になかった。
マックスに会わず街に来ていたらライオネルで人を怪をさせていたかも
しれない。
いかんいかん。
まだ少しゲーム感覚が抜けていないな、気を付けないと事故や怪我の
元になるぞ。
「カイト。俺達の番だぜ」
「ああ、わかった」
レッドフットから降りたマックスに呼ばれて、反省の海から浮上した俺はマックスに返事をすると共にライオネルを伏せの状態にして降りた。
「兄ちゃん達。餌代込みで千Gの一日コースと七千Gの一週間コースに二万八千Gの一ヶ月割引コースだがどうする?」
「おっちゃん、一ヶ月のコースを頼むよ」
「俺も一ヶ月のコースを頼む」
降りると直ぐ目の前に受付のような窓口があり、窓口に居るおっちゃんに
コースの料金説明を聞いた俺達は一ヶ月コースでおっちゃんにお願いした。
俺達の選択したコースを聞いたおっちゃんは、一ヶ月コースと書かれた用紙を
ゴソゴソと二枚取り出し、俺達に渡した。
「じゃあここに兄ちゃん達の名前とドラゴンの名前を書いて出しな。
継続するならここで更新して料金を払うか、冒険者ギルドで更新手続きと料金の
支払いをするかは自由だ。料金は前払いな」
まるで車の駐車場のようだと思いながら、日本語で書かれた用紙の空欄に
自分のアバター名であるカイトとドラゴンの名前の欄にライオネルと記入して
料金と共におっちゃんに渡した。
「ライオネルか……こんなに立派だと世話のしがいがあるぜ」
「おいおい!おっちゃん、俺のレッドフットも頼むぜ」
「任せろ。俺とここで働く従業員は沢山のドラゴンを世話してきた
ブリーダーだ。
ちゃんと世話してやるから安心しな」
「ライオネルをお願いします」
「おう!」
白い歯を見せてニカッと笑うおっちゃん。
この人に任せておけば大丈夫だろう。
それにもし何かあってもライオネルクラスのドラゴンがどうにかなるとは思えないし。
「それじゃあ!カイト、冒険者ギルドに行こうぜ!!」
「ああ!」
ライオネルとレッドフットを預けた俺達は新しい冒険とこれからの生活を胸
に膨らませ、徒歩で冒険者ギルドを目指して歩き始めた。
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