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ドラゴンワールド  作者: 玉ねぎとすし
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プロローグ

黒い何かに飲まれた俺とライオネル。

しかしライオネルと俺には見て分かる以上はない。

手綱を使ってライオネルと共に地面に降りる。

地面に着陸したライオネルの首の付け根に取り付けられた鐙

からなれた動作で降り、あたりを見渡す

そこは草原だった。

草原のフィールドか……。

確か俺は荒野のフィールドを飛んでいたはずなのに……もしかして

運営が言っていたバグが発生したのか?


「メニュー」


メニュー画面を呼び出そうとするが、いつものようにメニュー画面が表示されないは?

画面が表示されない事に一瞬呆けてしまったが気を取り直してもう一度、呼び出してみる。


「メニュー!……メニュー!メニュー!!」


何度呼んでもメニュー画面は表示されない。

どうする?メニュー画面が表示されなかったらどうやってログアウトすればいい?

それに運営にだって連絡が出来ないぞ。

一体俺はどうしたら……。

パニックになった俺は頭を両手で掻き毟る。


「ぐるる」


「え?」


頭を掻き毟っていると、隣に居たラオネルが俺を慰めるかの様に頬をなめる。

なめられた頬には大きな生暖かいぬるぬるとした物が触れた感触がした。

どうやらライオネルは俺を慰めているらしいが俺はそれどころではない。

感覚がある?

MMORPGはたしかに仮想現実というリアル感を売りにしている。

しかし、プレイヤーに負担を与えない為に痛みなどの感覚は

仮想現実の世界では存在しないのだ。

とりあえずプレイヤーを探そう。

もしかしたら運営に連絡が取れるかもしれない。

手綱を引いてライオネルを伏せの状態にし、再びライオネルによじ登り首の付け根に設置された鐙に乗る。

俺とライオネルならマップがなくても直ぐにプレイヤーを見つけられるはずだ。


「『ドラゴンアイ』!」


魔法名を唱えると自分の中の何かが抜ける僅かな感覚とゲームと同じように魔法が発動した。

この何かが僅かに抜けたような感覚ってMPをつかったからなのか?

まあいい、それよりもプレイヤーを探さないと……。

ドラゴンアイ。

ブリーダー職の上位クラス『ドラゴンライダー』の専用索敵魔法だ。

ドラゴンの視界を共有し遠くの景色を見ることの出る魔法で。

主にフィールドに出現するモンスターを発見する為に使われる。

まあ、とあるプレイヤーは女性アバターのスカートの中身を見るためだけに

この職を求めていたと噂に聞いたことがるが……。

実際に中身が見れたのかどうかは知らない。

………。

見当たらないな……見えるのは草原と山ばかり。

手綱をでライオネルを操り三百六十度体を動かしながらゆっくと視界を動かしていく。

ん?あれは……街か?

やった!!あそこならプレイヤーも居るだろうし、運営とも連絡が取れるかもしれない!

丁度、ドラゴンアイの効果時間が終了したので、俺は手綱を引いてライオネルと共に街に向かって空へと飛び立つ。

力強く白くて大きな翼を羽ばたかせるたびに速度と高度がグングンと上がっていく。

連絡が取れる可能性に安心したのか、風がとても心地よく感じる余裕が出来てきた。

楽しい!

余裕が出来てきたおかげか、さっきまでの不安はなくなり、まるで現実世界で相棒のライオネルと空を飛んでいるかのような感覚に感動と楽しいと言った感情が押し寄せてくる。


「行くぞ!ライオネル!!」


「グルァ!!」


ライオネルのスピードをさらに上げる為に手綱を操り、ライオネルに声を掛けると俺に答えるように吼えてさらにスピードを上げる。

まるでハイウェイをスーパーカーに乗って全速力で駆け抜けているみたいだ!!

戦闘職や中位のブリーダー職のプレイヤーでもここまでの速度を出してドラゴンを操る事は出来ない。

一定のレベルとドラゴンレースに優勝し、称号を得ることでクラスチェンジ出来るドラゴライダーだからこそ出せる速度だ。

ただ、このドラゴンライダーという職はドラゴンが傍に居れば戦闘職のプレイヤーとドラゴンにも負けない強さを発揮するのだが、ドラゴンがやられたり、距離が開いてしまうとステータスが低いので上位クラスの敵には直ぐにやられてしまうというデメリットがありレースでハンデを強制的に課せられてしまうのだ。



しばらく空を飛んでいると俺の肉眼で街を視認することが出来た。

草の生えていない整備された道には荷馬車で移動する行商人のNPCが何人も出入りしているのが分かる。

あれ?NPCが街以外にも存在している?

ありえない。フィールドに存在するNPCは案内人の兵士か冒険者のキャラクターで行商人などのNPCは街の中にしか存在できないはずだ……。

俺の中に再び訪れた不安と俺自信が気づかない…いや気づこうとしない

期待を胸に俺はライオネルと共に行商人と旅人が行き交う道の近くへと降り立った。





もし……これが現実だったら。





ライオネルと久々に飛んだ時に思ったことに嘘はない。

現実世界の生活と可愛いくてカッコイイ自分のドラゴンと自由に冒険する生活。

友人や両親との別れはさびしいが俺は間違いなく後者を取るだろう。

一人だったら寂しくて、帰りたいと心の底から祈っただろう。

だが、俺には自慢のドラゴンであるライオネルが傍にいてくれる。

もし…万が一にもこの世界が現実だったとしても……。

俺はライオネルと共にならここが何所だか分からない現実でも、生きていける気がする。



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