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恋神さまは告げる

「いやぁ面白かったですよ」

「貴女はそうでしょうね」


 確かに、心の底から楽しんでいたのは終始、斉藤さんだけだったかもしれない。

 僕は、舞台の発表の最中も心臓がバクバクといっていたし、あの最後の賭けの祈りも通じるかどうかで、バクバクいっていた。


 今も周りの目の気恥ずかしさから逃げるように部室にこもり、一息つくように机に突っ伏している。


「まぁまぁカエデも無事でしたし、発表も成功しましたし」

「ゴシンパイ オカケシマシタ コレカラモ ヨロシクオネガイシマス」


 三園さんは、発表の最中にロボットに戻ったという事で本当に賭けが成功してよかったともいえる。

 まぁ中途半端に通じてしまったのだが。


「いやぁまさかカエデが幽霊になってしまうとはね」


 本体のロボットは、三園さんのご家族が回収してしまったので今はフヨフヨと浮いて僕にとりついている。


「まぁ幽霊になっても恋はできますからね」

「ハイ オクイセンパイ ワタシ コイヲ アキラメマセン」

「いえ、早く成仏して来世で恋をしてください」

「カンダセンパイ ト オクイセンパイ ガ ワカレテシマッタ バアイ ハ ロボノカラダデ コイ シマス」

「いや、付き合ったばかりで別れるとか縁起わるいから」


 神田さんに告白の返事をして、付き合うことになったのに不穏な発言はやめて欲しい。


「ソウデスカ ナラ ヤハリ マッテイマス」


「さて、打ち上げどこでしましょうか?」

「打ち上げってまだ後二時間ほど文化祭はやっているんだけど」

「おや?奥居先輩文化祭デートは注目されますよ」


 確かに、この状況でデートはおろか文化祭を楽しむという事はできないかもしれない。

 そうなれば、まだ文化祭を抜け出したほうがいいかもしれない。


「そういえば斉藤さん、いつまで生徒のフリをするの?」


 僕の恋神としての役目も終わりだろうし、いつまでも本物の恋神さまがふらふらしている訳にはいかないだろう。 


「そうですねぇ、まぁあと1年間は生徒でいますよ」

「1年」

「そうです、まだまだ楽しみたい行事とかも色々ありますし」

 

 どうやらまだまだ、学園生活を楽しむ気らしい。

 

「まぁしばらくは恋神の役割はしばらく私がひきうけますよ」

「いや元々君の仕事だからね」

「まぁまぁいいじゃないですか、お二人は私のおかげで結ばれたようなものですし私のおかげといっても過言ではないですよ」

 

 そういわれたら、確かに恋神としての役割があったからだし、色々と相談にも乗ってもらったこともあるし。神田さんと付き合うことができたというのは、間違いないだろう。

 

「貴女が仕組んだともいえますね」

「さぁそれはあまりにも人聞きがわるいですねぇ」

「トテモ イイカオ シテイマス」


 まぁ確かに、生き生きとはしているけど、どこか釈然としない感じながらとりあえず心の中でお礼をいうことにする、その事にきづいたのか斉藤さんはにこやかに告げる。


「恋神として二人の行く末をしっかりと見て楽しませて見守っていますよ」


 

 僕の高校には、恋神さまがいる。


 

   

恋神様のお告げ完結です。

読んでいただけたなら、嬉しいです。

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