それでは進んでください
「キミが恋神さまなの?」
「まぁ奥居先輩に恋神の役割をほとんど押し付けて好き勝手やっている恋神さまは私ですね」
悪びれもせずにそういう斉藤さん、どうしようもないなという目を向けても一向に気にしていないようだ。
「最初の頃は神田先輩にも色々やらせる予定でしたし、時たま関係ない事やらせましたし」
「やめてあげて」
「まぁ時たまですからね、ずっとやっていたわけではないですよ」
「本当に」
「まぁそこは信じてくださいとしかいいようがありませんねぇ」
ニヤニヤ笑いながら言うところに説得力はない。
「ねぇなんで自分でお役目をやらないの」
「恋に恋するっお年頃ってやつですよ、それは私自身色々恋をして楽しみたいからです」
「言い方が軽いんだけど、少しは悪びれるという事はしないの」
「そんなものですよ神さまって、私がそうですしね」
他の神様が聞いたら怒りそうなぐらい、軽やかに好き勝手にいっている斉藤さんはケロリとしている。
「まぁ卒業まで押し付ける気だったんですけど、意外に奥居先輩大変そうなので少しだけ手伝いますよ」
「誰の所為だと思っているの」
「私の所為じゃないですよ、まぁ多少なりというところですかね」
僕が大変な目にあっているのは、少なからず恋神という役割の所為だと思うんだけどそれを抗議しようにもどう抗議していいのか分からない。
女の子に告白されて困っています。
一文にすると要約するとどこが困っているんだと他人なら言う、僕が第三者であったなら当然そういう。
「三園さんの件は斉藤さんが絡んでいるんだよね」
「そうですね、カエデの場合は望んだから叶えたといった所ですね」
「望んだの?」
「はい、恋をしてみたいと望んだんです、だから私は手伝った人並みに恋ができるように」
「恋が終ったら元のロボットに戻るのに人並みの恋なの?」
「本来なら舞台に立てないカエデは、恋のチャンスを得たこれは人並みといえるのではないですか」
確かに、本当であれば三園さんは告白ができない状態だっただろう。
「それは、これ以上はどうにもできないって事」
「はい、私は恋に関する神さまですからね、恋のお手伝いや応援はしますよそれ以上は無理です」
これ以上はどうすることもできないと、斉藤さんはいったあとに、ひとさし指を僕の胸に突き当てる。
「それにどうにかしなくちゃいけないと頑張るのは奥居先輩です、アドバイスするので頑張ってください」
「えっアドバイスしてくれるの」
「さっき少しばかり手助けをするといったじゃないですか」
何のために正体を明かしたとおもっているんですと言わんばかりに、ため息をつきながら本当にアドバイスをくれた。
「まぁあまりカエデの件は考えないことですね、カエデの望みは叶っているのですから」
考えないでというのは、無理があるのだけどと言おうとしたが、言えなかった。
「それを考えないで神田先輩とカエデどちらが好きなのか、考えて後は頑張ってください」
それだけをニコリと笑いながら告げると斉藤さんは、帰っていった。