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神さまは笑う

 神田さんから告白さえて数分程呆けていたらしい、いやまだ呆けているのだろう。

 プレゼントの重みも感じられず、それをずっと持っている。

 それを認識してもいまだに


「なにがおこっているんだか」

 

 言葉にすると確かに、何が起こっているのかさっぱりわからない状況だ。

 

 人生で初めて女の子から告白されて、1週間程もう一人別の女の子から告白された。

 嬉しさと戸惑いが足元を削り取って、ぐらぐらするような出来事が起こっている様な気分になってくる。


 三園さんに告白してきたときと同様、いやそれいじょうに顔が赤くなって熱が出てきているのか首の後ろにも急激な熱が内部からではなく、外からも感じるぐらいに熱い。


 いや、まて外からというのはいくらなんでもおかしいだろうと気づくと、熱さで現実へと引き戻される。

 

「あつっ」

「おお やっと気づきましたね何やっているんですか」

「いやさ、斉藤さんこそ何しているのというか、こんないたずらはやめてよ」


 後ろを振り返ると斉藤さんが、熱いお茶の缶を携えていた。


「まぁまぁお茶でもどうです」

「ありがとう」

「いえいえ、それで何を呆けていたんです」


 聞かれて、言葉につまってしまってしまった一瞬で、斉藤さん何かを見透かしたように笑った。


「さては神田先輩に告白されましたねぇ」

「なんでわかったのさ」

「神田先輩が妙に気合はいって校舎から出て行きましたからね、だからなんとなく予感していました」

「そうなんだ、こっちは予想外の事ばかりだよ」

「でもまぁ多分、予想できる事ばかりじゃないですよ人生も恋もそんなもんですよ」

「いやまぁそれはそうなんだけどね」


 確かに予想外の事ばかりで、こんなにどうしたらいいのか分からない状態なのだろう。


「それに贅沢な悩みじゃないですか」

「いやそうだけどね」

「女の子三人に告白されるなんて、そうそうないですよ」

「ん?三人」


 三園さんと、神田さんに告白された覚えは、あるけれどあと一人は誰という前に、ニコニコと笑いながら自身の顔をさす斉藤さん。

 明らかに楽しんでいるというよりからかっている。


「いや、冗談はやめてよ」

「まぁそうですね、冗談はこのぐらいでやめておきますか」

「本当にやめてよ」


 先程もらったお茶に口をつけながら、気を落ち着かせようとする。


「そうそう、私も奥居先輩に用事があったんですよ」

「こんどは何?」

「はい、奥居先輩がぶん殴りたいほど会いたがっていた恋神さまは私です」


 三園さん、神田さんに告白された時とは違う、混乱と戸惑いのみが僕を襲った。 


「冗談だよね?」

「冗談はやめてといったのは奥居先輩じゃないですか」


 先程までの明らかにからかっているような顔というよりは、何を考えているか読めないけれどそれでも斉藤さんはニコニコ笑っている。


「改めまして私が恋神さまですよ」

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