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告白中

 部室から、かなり走ったせいでしょうか、少々くらくらしてきますが、そのかいもあり公園の入り口付近でようやく恋神さまの姿が見えてきました。


「走ってきたんだ、別に走らなくてもよかったのに」

「いえ、待っていただきありがとうございます」


 呼吸をと整えようにも、今から告白しようとする気持ちの所為でしょうかなかなか息が整のえることができず、気を使った恋神さまが近くの自動販売機で、お茶をかって差し渡してくれました。

 

 公園のベンチで二人座りながら、お茶を一口、二口と異様に乾く喉を潤しながらようやく息も整ってきました。


「それで話って何?」

「渡したいものがあるのです」

「渡したいもの?」

「はい、これ遅れましたが、いつかの誕生日プレゼントです」

 

 カバンの中から自分でラッピングした少し厚手の本と、もうひとつ手作りをした栞を手渡した。


「本と栞です、栞は手作りです」

「ありがとう、プレゼント渡すため?」

「いえ もう一つありますというよりコレが重要な事です」


 先程走ったときより、喉がカラカラに乾くのを覚えて、できる事なら側に置いたお茶の缶を握り一気に飲み干してしまいたい。

 ただ、それをする時間も惜しむように心臓の鼓動がせかしてきて、その速度にあわせるように立ち上がり、恋神さまと向き合った。


 踏みしめている地面の固さを感じるほどに足に力がはいっていて、手も徐々に震え始めている。


「恋神さま、いえ奥居君私も貴方が好きです。付き合ってほしいです」


 最後の声は消え入りそうに細くなってくるのがわかります。

 それでも、伝えきった事を頭が理解すると同時に、息が長く長くもれて、先程まで感じていた地面の固さも分からなくなり、かわりにこれでもかというぐらいに身体の内部がぐらぐらと揺れているように感じた後、血が体中をめちゃくちゃにかき乱れていく。


「それではこれで」


 何がおきたのか理解しているのか、していないのか奥居君は顔を染め口を少しあけるだけで何もいえない状態だった。


 それを見て告白の実感がまた体中を駆け巡りそうになり、私は奥居君の顔も見ないように荷物を手早くまとめると、返事も聞かずに、告白の前に走ってきた速度よりさらに早く駆け出して私は家に戻った。


 何も答えをつげず一方的ではあったものの、とりあえず告白をした。


 私は今日、奥居君に告白をしました。





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