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告白の前

 三園さんが恋神さまに告白して一週間、恋神さまは未だ結論をだしていないようだ。


 そもそも、二人が学校で会えていない。

 文化祭がいよいよ間近になり最終的な打ち合わせを部長として、色々な話し合いに出ているためでもあるのでそこは仕方が無い部分が大きいのだけれど、恋神さまが来たときには、三園さんがいなかったりとすれ違っている状況でもある。


 放課後部室に顔を出すと斉藤さんの姿はみえない、おそらくどこかに遊びに行っているか、用事なのだろうと思う。

 そして恋神さまも話し合いでいない状況という事は、三園さんと二人きりになってしまった。


「カンダセンパイ コンニチハ」

「こんにちは」


 しばらく二人で練習しているときでも、ソワソワしているのか、カクカク動いているのか分かりづらいではあるが、きっと恋神さまを待っているのだろう。

 

 時折ちらりと部室のドアに目を向けては挙動不審な態度をとっている。


「恋神さまなら今日はおそらくこれないでしょう」

「ソウ デスカ」

「えぇ」


 その後はほとんど会話などなく、練習をつづけていき、そろそろ下校時刻になる頃に私は三園さんに告げる事にする。


「私は今日、恋神さまに告白します」


 今日告白すると言う事を宣言した際に、無表情な顔も一瞬だけ戸惑ったような顔に見え、そして少し顔を伏せながら、搾り出すように三園さんはつぶやいた。


「ソウ デス カ」

「それだけです、気をつけて帰ってください」

「ハイ ガンバッテ クダ サイ」


 三園さんはそう言った後、部室のドアから出て行った。

 

 わざわざ、私に頑張ってと言わなくても気を遣わなくてもいいのにと思いながら、恋神さまへのプレゼントがカバンに入っている事を確認しながら、心を落ち着ける。


 ケイタイで恋神さまにメールを送り部室で話があるというメールの送信ボタンを押す前に、タイミングよく斉藤さんが現れる。


「おやまだ帰っていなかったんですか」

「何か用事?」

「いえ、たまたま部室によろうかなぁと思っただけですよ」


 ケイタイをしまいながら、本当に間の悪い後輩で、わざとかとおもう位にこちらの決意に水を差してくるような気がしてならない。


「睨まないでくださいよ」

「別に睨んでいません」

「そうですか、あっ今から帰るのであればご一緒しましょう」

「今日は用事があるの」

「なるほど、もしかしてやっと告白する気になりましたか」


 わざとらしく、やっとの部分に力をこめる憎たらしい後輩、先程の三園さんとは大違いである。 


「そうよ」

「なら急いだほうが良いかもしれません、先程校門からでていきましたから」


 それを先に言いなさいと思いたいが、時間も惜しい。


「そう」

「頑張ってください」


 斉藤さんの励ましの言葉を受け止めながら、慌ててケイタイ画面を開き恋神さまに電話をかける。


「恋神さま、お話がありますので学校近くの公園でお待ちください」


 つながったとたんに心臓が一瞬口からでそうなぐらい跳ね上がるが、それでもそう告げる事ができた。

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