デートを楽しむ
「先日の三園さんとのデートの練習はお楽しみだったようですね」
「あぁ うん楽しかったよ」
デートを楽しかったという、少々へこみますが、自分で聞いといてへこむとは、私はここまでアホだったのでしょうか。
「それはなによりです」
「何よりと言う顔じゃない」
恋神さまに指摘されて、私の表情は平静を装うとしていても、正直に恋神さまを睨みつけていたようです。、正直に恋神さまを睨みつけていたようです。
「それで、告白の練習はできたのですか」
「あっ」
話題の転換のために、聞いたことですが、告白の練習という名目を忘れて純粋に楽しんでいたと言う事でしょうか。
「何をやっているんですか」
「いやぁ すっかり忘れていたんだよねぇ」
「全く肝心なところ抜けていて、どうするんですか」
ため息をつき叱咤するような言葉をつむいでも、心の中では、仮のデートとはいえ恋神さまが告白していなかった事に安堵4割、不安4割後の2割は、なんでしょうか、もやもやする何ともいえない感情でしょうか。
「本当に返す言葉もございません」
「その 今日のデートでは、忘れないようにしてください」
「はい」
うなだれている恋神さまの弱みに付け込むようで、少々気がひけますが、これも練習のためと言う大義名分のために、それに、あの三園さんとのデートを見かけてしまった時の気持ちが、さらに私の気合に、拍車をかけるような気がします。
ですので、私は自分の欲望をかなえようとしていますが、チャンスを逃すわけにも行きません。
「ねぇ、そういえば本当に公園の散歩でいいの」
「かまいません、図書館とかにいったらお互いに読みふけるでしょう」
図書館で読みふけて、デート終了というのはなんとなくもったいないような気がします。
まぁ本当の恋人になったら、それはそれで楽しそうではありますが、今日はとりあえず休日の公園の散歩とかでいいでしょう。
「それもそうだね、あっ でもこの前みたいに、お互いに本屋で一緒日本を見つけるのも楽しいかも」
「それは魅力的ですが、まぁ今は公園でのんびりとしましょう」
「そうだね」
まさか、恋神さまからデートの提案するとは、予想外でしたが、もしかしたら恋神さまも私とのデートでテンションがあがって妙な事を口走っているのでしょうか。
「あっそうだ 恋神さまクッキー焼いてきたんですが、食べますか?」
「ありがとう」
「まぁわりと上手くできたと思います」
「あっ本当においしい」
可愛くラッピングしたクッキーの包装紙を丁寧にあけ、一枚手にとってクッキーを頬張りながら意外そうな顔をしている、恋神さま。
「なんですか本当においしいとは」
「すいません、おいしいです」
「全く」
すこし憤慨するが、やはりあのあまり、おいしくないクッキーのイメージが強かったみたいですね。
とりあえず名誉挽回というか、印象は与えられたみたいでよかったです。
「ごちそうさま おいしかったよ」
「ありがとうございますそろそろ、本屋にでもいきますか」
「そうだね」
公園を歩きながら手作りのクッキーを食べ終えて、なんとなく手持ち無沙汰儀身になったので、恋神さまの提案した本屋へのデートへと、切り替えようとしたところで、恋神さまの様子がそわそわして、こちらを見たり、そうかと思えば、別のあらぬ方向をみたりして、何かを言いたいような、言い出せないような落ち着かない様子になっています。
「どうしました」
「いや、そのなんていうか、手握ったほうがいいのかな」
「恋神さまのお好きなように」
そう返したときに、恐る恐るではありますが、恋神さまの手が私の手に重なり、指と指が絡まっていつぞやのようように、表情がすこし緩みそうになります。
「まさか本当に握るとは」
「えっだめだった」
「駄目とは言いませんが、意外でした」
「へっ」
三園さんとは握って、私とは握ってくれないかと思いましたと言わずにすんだのは、私の心に余裕が生まれたせいなのかもしれません。
「気にしないでください、さて本屋にいきましょうか」
「そうだね」
待ちきれないように私は、すこし引っ張るように、歩いても握った手が離れる事はなく、二人で並ぶように歩けている事に、笑顔がとめられないようになってしまうかもしれない。
「その後告白してくださいね」
「うっ」
「楽しみにしていますね 恋神さま」