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妙案

「おやおや、奥居先輩お疲れのご様子」

「んーちょっとね」


 昨日の深夜のラブレター作成が、精神状態に尾を引き、今日一日なにか気だるいままに、授業が終わって放課後になっても、その疲れが取れない。


「メール見ましたけれど中々面白い、いえとても面白い状況になっていますね」

「言い直していないねぇそれ」

「やれやれツッコミにもキレがありませんねぇ」


 机に突っ伏したままに、ツッコミは不発に終ってしまったのが、不満なのか、それとも元気な状態でからかいたいのか分からないが、斉藤さんは肩をすくめながら、携帯をとりだすとポチリ、ポチリとなにかメールをやっているようだ。


 このまま大人しく部活が終ればいいのだが、残念ながら今日も舞台の練習となって、逃げられない、いや部長の僕が逃げちゃいけないのだが、今日はあの小恥ずかしい、練習がなにかの拍子に、延期にならないだろうかと、ロクでもない気概になっているのも、また事実だ。


「ふむ、カエデと神田先輩の買出しは、まだまだ時間がかかりそうですね」

「あっ さっきのメール」

「はい、カエデが倒れたようです、今公園のベンチで休んでいるようです」


 今日の夕飯のメニューみたいに、こともなげにいうが、割と、大惨事のような気がする。


「それ、大丈夫なの?」

「神田先輩もいるし大丈夫でしょう、先に練習を始めておきます?」


 まぁ神田さんいるのであれば大丈夫だとは思う、そして何より何かの拍子で、延期にならないかなと考えた自分のせいではないだろうが、あんな考えをもってしまった以上このまま休んでしまったら、バツが悪い。


「そうだね、じゃあ頑張るよ」

「いい心がけですね、唯私はやる気がありません」

「おい!」

「まぁまぁ、奥居先輩もお疲れの様子ですし、ここは一つサボりましょう」

「人の疲れをダシにするなよ」

「まぁいいじゃないですか、それとも奥居先輩一人で練習でもいいですよ、私見ててあげますから」


 ひとりで練習するのも、あれだが、こっちも強く言った手前練習するしかない、少しばかりの理不尽さを覚えながらも、告白シーンの練習をする。


「奥居先輩 ムービーとっていいですか、私今とっても面白いものを見ている機がするんです」

「それは気のせいだ、ただムービーはやめてくれ」

 

 精神力がゼロを通り越してマイナスにいってしまう。


「まぁ いいですけど」


 それから数分続けてみたが、やはりこの告白台詞というのはなんというか、小恥ずかしいを通り越して脳が沸騰するぐらい、赤面してしまい、ひとまず休憩をすることにする。


 世の恋する男女はこんな台詞を、言えるというのは凄いと思う。


「ふむ、やはり所々照れがあり、ぐだぐたとなっていますねぇ」

「いや、これ照れるよ」


 斉藤さんは練習の総評をいってくれたが、照れのせいでぐだぐだになっているという点を、指摘された。


「まぁ、初々しさという点では評価するのですがね」

「手厳しいなぁ」

「ふむ、これは鍛える他ありませんね」

「鍛えるってどうやってさ」

「ふふふ 私に秘策ありですよ」


 自信満々に胸をはって宣言しているが、どういう秘策か聞くべきだったのだが、精神力が限りなくゼロに近くなっている僕はそれ以上問いただすことなく、神田さんと三園さんが戻ってくるまで、休憩することにする事にした。





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