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 さて、斉藤さんと別れて1時間ほどたった後、もう一度本屋にもどってみると丁度入り口で恋神さまにみつかった。


「あれ 神田さん具合大丈夫?」


 あぁそういえば昨日サボりしたんですよね、少し後ろめたい気もしますが心配されているのは少し嬉しいのでそれはそれでいいのですが、なんとタイミングが悪いのでしょうか。


「えぇ 昨日寝たらすっかりよくなりました」

「そうなんだ よかった」

「恋神さまも何か買い物ですか?」

「ううん、暇だから散歩してた」


 その返答でさらに、間がわるいというかなんというか、いえ恋神さまに偶然あえたのはとてもうれしいですが、流石に本人を前に買おうとしているコーナーには行きづらいものがあります。


 あせっていく私をよそに、隣にならんでしゃべりながら歩いている、どうしましょうか此処で用事があったといって去るのは流石に不自然ですし、なによりこの二人の時間がもったいない気がします。

 ただでさえ、昨日は会えていないのですから、ここは本屋をめぐり、恋神さまとの時間を過ごした後に再度戻るというのが得策なのかもしれません。


「あれ?そういえば恋神さまもって事は神田さんは買い物? 何の本を買うの?」

「そうですねぇ 見つかるといいのですが」


 なんでこんな時に無駄に気づくのですか、普段はそんな事気づきもしないじゃないですか、なんで今日に限って気づくのですかと取り乱しそうになりそうでしたが、とりあえず探すフリをすることにしましょう。


「何というタイトル探すの手伝うよ」


 そうですかぁ手伝ってくれるのですか、とてもありがたいんですけれど恋神さま今はその優しさがとても心に刺さります、適当に昔みたタイトルを混ぜて恋神さまに見つからないと分かっている本を数冊探してもらうことにした。


「無いねぇ」

「そうですねぇ 私はあっちの棚みてきますので恋神さまはこっちの棚をお願いします」

「わかった 見つかったら教えるね」

「ありがとうございます」


 ごめんなさい絶対にに見つかりません。

 

 一生懸命に探してくれる恋神さまに心の中で心から謝罪し、恋神さまといったん離れて目当ての本とそれをカモフラージュすべく適当な本を数冊まとめて恋神さまの元へと戻る。


「恋神さますいませんタイトルを勘違いしていたようです、見つかりました」

「見つかったんだよかったね」

 

 数冊まとめて見せることで、本命の本を隠すという思春期の男子がよくやる手を私がつかうことになるとは思いませんでしたが、意外にばれないものですね。


「えぇ 本当によかったです」

 

 本屋をでた後も、恋神さまの声を聞きながら帰る道はとてもいい時間なはずなのに、歩くたびに手に持った数冊の本の重みが私に罪悪感としてのしかかるのを感じて、恋神さまの笑顔をみてくだらない見栄と羞恥から私はあいまいに笑うことしかできなかった。


 それでもこの恋神さまと会えている時間をすこしでも長く堪能したいがためにゆっくりとゆっくりと歩いて恋神さまとのおしゃべりをしながら帰った。

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