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病は気から

 朝 鏡をみたらとても不機嫌そうな顔になっており、寝起きということを差し引いても酷い顔ということには変らない、昨日寝る前にあれこれ考えたせいだろうか、それとも先ほど受けたお告げのせいでしょうか。

 

 【あなただけ、彼には内緒で今日は学校をサボりなさい】

 

 ここ最近はお告げがなかったのに、急にお告げというのもおかしな話ではありますし、従わないという方法もあるでしょうが、それを考えるとどうにも頭がいたくなり気分も悪くなりますし、人生初の学校をサボるということをしないといけないということでしょう、自分をむりやり納得させ仮病をつかいベットに横になりつつ時間がすぎるていく。


 しばらくして両親が仕事に行くと、平日の静寂な家というのは、静かすぎて一人でいるとサボった罪悪感が、まるで知らない誰かが見ていてそれを自分の良心に報告しチクチクと心をいたぶるような感覚が生まれてくる。


 休んだのはお告げだからしょうがないと自己弁護してもその弁護にまるで意味がないように、むしろ自己弁護すればするほどに、痛みは存在感をましていく。


 もしかしたら、あのお告げはこの痛みわからせるためにそうしたのではないか? 


 例えば恋神さまの巫女でありながら、三園さんの恋の相談にすらのれないぐらい巫女として駄目になったからこの痛みが罰になるように一日中そのことばかり考えるように反省を促しているのでしょうか?

 

 例えば本当は私ではなく三園さんが、恋神さまの恋人になるということが決まっていて、巫女としてその役目をまっとうするようにと気づかせるためにしたのでしょうか?

 

 そんなネガティブな思考をして、自分でそんなことはない、そんな事はないなんて打ち消しても打ち消しても、そんなことはないなんて根拠のないただの願望ではないのか、祈っても、祈っても不安は消えてくれない。 


 もしかしたらこうしている間にも三園さんが隣にいるのではないだろうかと思ってしまうと、悪い夢のようにねっとりとした汗が身体にじわりじわりと染み付いて、現実になろうとしているようでとても不快になってくる。


 頭と心を洗い流すために、シャワーをあび着替えるとお昼の時間になっていたことに気づく、シャワーで洗い流したはずの汗がまたでそうになる、今日一日あんな思いと向き合わないといけないとなるとやはりもうこれは罰としかいいようがない。


 まったくもって情けない話で結局昨日も不安にとらわれて、今日はそれに輪をかけて不安が膨らんでいる、明日になればそれがどうなるかもわからない、いや明日だけとは限らず、あさっても、明々後日もこの不安というのは私に付きまとってかき乱していくのだろう。


 その不安をかき消すように携帯の着信音が部屋に響いてくる、私がすきな穏やかな曲が部屋に流れ終わる前に私は電話にでる。


「あっ神田さん 身体大丈夫?」

「えぇ 恋神さまの声を聞いて元気がでました」

「その台詞は現実ではじめて聞いた」

「えぇ私も初めて言いました」

「なんか心配になったから電話したんだけど大丈夫そうだね」


 まったくもって我ながら現金なもので好きな人からの電話で、さきほどの不安が嘘のように消えていくのを感じていた。

 

 


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