初対面
学校の近くのコンビ二で、雑誌を立ち読みしたらすっかり遅くなってしまった。
神田さんには文房具やらお菓子の買出しといってでていたので、部活に多少遅れるのは許してもらえるだろうが、それでも立ち読みして遅れてしまったとばれたら、流石にバツが悪い。
急いで戻ろうとすると、電柱からヒョコヒョコと、後ろからランドセルの似合う少女というか、小学生がついてきてこちらを観察するように見ている。
まぁ見ているだけなら、かわいらしくて問題ないのだが、その後ろを厳ついオッサン、それは犬ですかと何度も確認したいぐらいの大型犬、どこの昭和だと思うぐらいにザマスの語尾が、似合いそうなメガネをかけた女性もついてきている。
もし、尾行しているのであれば、もはやコントの域に達しているほどに、とてもバレバレの尾行であるというのは間違いない。
だけど下手に突っ込んでかかわりたくないのも事実であり、警察に連絡するのもちょっとどうだろうと思ってくるが、やはりここはかけるべきなのだろか、携帯を取りだし110番通報をしようとうする。
「やめてぇ」
女の子が大きな声をだし、電話を奪い取るために、大型犬をけしかけ、それに驚いた僕は携帯を手放すという致命的なミスをしてしまった。
その後携帯は厳ついオッサンが拾い上げ懐に無言でしまった。
「今通報しようとしたでしょ」
笑えていない頬の筋肉をなんとか動かして、あいまいな顔を作る、そもそもなんなんだろうか、この人達という疑問を抱いたまま当然の疑問をぶつけてみた。
「あの どなたでしょうか?」
「三園カエデの家族のものです」
ザマスといいそうな雰囲気なのに、それは流石になかったと、ロクでもない事を思っていたが、三園カエデなる人物に一切面識がないのでどう反応したらいいのかわからない。
「はぁ 保護者の方ですか」
「ええ 三園カエデの保護者です」
「事務の場所なら正門くぐってそのまままっすぐに行けば案内所がありますので あっ携帯返してください」
とりあえず、学校に必要な書類とかだしに家族できたのはいいが、事務の場所とかが分からず学校周辺をウロウロしていたら、丁度たまたま偶然にも通りすがった僕に、声をかけてきたと思うことにして、一刻も早く立ち去ろうとしたいという僕の行為はどうやら向こうには一切伝わらなかったようだ。
ザマスのお姉さんのメガネが一瞬キラりと光ったかとおもったらぐいぐいと詰め寄ってきた。
「いえカエデの事について聞きたいんです、学校でうまくやれているのかとか友達とか恋人とか恋人とか」
さっきからオッサンは、一言もしゃべらずこっちを包囲するように背後に回りこんでいるし、女の子と大型犬はこっちを威嚇するようにじっと見つめている。
「いや そのお嬢さんのこと一切知らないんです」
「何故?」
「いや 何故といわれてもクラス同じではないですし、学年も同じかどうかしらないです」
せめて何年何組の何某さんとか、野球部とかの部活動にはいっているなどの特徴を、いってもらわないとわからい。
まぁ言ってもらったとしてきっとその女の子の交友関係とかは全く分からないのだけど。
「そうですか、まだ出会ってないんですか」
「えぇ会った事ないですね もう言っていいですか?急いでますし」
あなた方にかかわりたくないし、という言葉はかろうじて飲み込むことができた、流石にそれは失礼というものだろう。
「どうぞ 失礼しました」
「あっいえ 力になれず申し訳ないです」
トボトボ帰る後ろ姿をみて少しかわいそうなことをしたかも知れないと思ったが、まぁどうにもできないのはしょうがないと思い余計な時間がかかってしまった分駆け足で部室に駆け込んだ。
「遅れてごめん 神田さんって 君誰」
部室には見知らぬ女性徒が、人形のように固まりながら座っていたが、僕の声に反応するようにゆっくりとこちらを振り向き僕を見るなり倒れた。