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夏の日

 夏休みにはいって一週間、部活動もなく恋神さまのお告げも無い状態のため私は彼に会っていないという事に気づく、いや気づくというよりは意識してしまったといった方が正しいのだろう。

一度気づくと気分もどうやら落ち着かない状態になってしまう。

 

そんな気分から脱却すべく、学校の図書室まで出向くことにした、図書室の開放日ならばもしかしたら会える可能性もある。

 

 まぁ校門の前で出会った後輩に出会った事で気分もいっそうもやっとしてしまったのだがそんな私の気分を居に解することなくにこやかに話かけてくる


「おや? 神田先輩夏休みにも学校ですか」


 部活動にも属していない彼女が夏休みだというのに学校に居る理由はおそらく補習だろう。


「そうね」

「まぁまぁそう邪険にしないでくださいよ」

「邪険にしたつもりはないけど」

「いやまぁ顔がそういっているんですよ」


 もしかしたら一番初めに会えるかもしれないという希望をこの後輩は見事に打ち砕いてくれたのが顔に出ていたのか、あきれたように指摘され否定するがまぁ白々しい限りだと自分でも思ってしまうのだからその点はしょうがない。


「いやぁそういえば奥居先輩元気ですか?」

「会っていないわ」

「そうですか、あっでも電話やメールは?」

「していないわ」


 斉藤さんは短いため息をつく、何でそんな態度をとられないといけないのか理解に苦しむのだけどとても不快ではある。


「何か不満でもあるの?」

「いえ、本当に先輩達は時代を逆行してますね、メールとか電話とか気軽にすればいいじゃないですか」


 気になる人に電話とかメールを気軽にできる人とできない人がいるものだ、それに時代は関係ないと思うし、それに気軽にできるようならこんなに気分が落ち着かないということもないだろうといいたい。


「用もないのにできるわけないでしょ」


私の答えを予想していたかのようににやりと笑って大げさな身振りで今にも肩を掴み掛かるような勢いで力説を斉藤さんは始めた。


「用がないなら作りましょうよさしあったて遊びに行きましょうよ 夏休みですしね」

「考えておくわ」

「あっ、ちなみにその場合私も誘ってくださると誘いやすくなりますよ」

「やめておくわ」


 夏休みなのだから確かに遊びに行きたいというのはあるけれど、斉藤さんが一緒となるとなにかよからぬ事を考えて行動しそうでとても怖い、それにどうせなら二人で遊びに行きたいという思いもあったのかもしれない。

 


「あはは いやぁつれないですねぇ」

「それよりいいの? 補習そろそろ行かないとまずいんじゃない?」

「はいはいじゃあ先輩失礼します」


 嵐のように去っていた斉藤さんと分かれた後に図書室について本を読みながら、夏休みにも部活はある程度予定されているのだから別に誘わなくても大概二人きりだし、それに会えるのだから特に連絡をわざわざとる必要も無いということにいまさらながらに気づいた。

 

 夏休みだから私もいつも以上に浮かれているようだ、夏休みはまだまだ長いのにこの調子では私は何かやらかしそうでとても不安になってくる。


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