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図書館に住む妖精の恋(仮)  作者: 河内音子
第二章 司書であって探偵にはなれません
7/8

再考した結果2章2話は全部書き直しました。

前回更新分を読んで頂いた方には大変申し訳ありませんが、再度読んで頂けますと幸いです。


※この話のみリシャルド視点になります

リシャルドが現場へかけつけたとき、見かけた顔が既にその場に立っていた。二期先輩の騎士、パヴェウ=クラウだ。

「クラウさん、何があったんですか?」

「ノヴァックか。まだ詳しいことは分からないが、殺人だな」

パヴェウはそう言いながら顎で彼の右側の床を見るように促す。見れば腹にナイフが刺さった男性が服を赤く染めて床に転がっていた。白の混ざる茶色い髪は乱れており、顔は確認できない。

「……このままの状況で発見されたのですか?」

「ああ、まだ俺はなんもしちゃいねーよ。叫び声がしてから来たからな」

「それで第一発見者は?」

「ん」

顎で今度は違う方向を示され、リシャルドがそちらを向くと、レストランの壁に張り付くように小太りの中年男性が小さく体を丸めて床に座り込んでいた。

「なぜだ、なぜ。なぜ……」

ぶつぶつと「なぜ」と何度も繰り返している。灰色がかった青の短髪に顔下半分を覆うように髭をはやしたその顔をリシャルドは知っていた。

「あれってゴールドウィン商会の」

「お前知り合いか?」

「いえ、知り合いではないのですが……ゴールドウィン商会に就職した幼馴染の上司です。名まえは確かヘンリク=セービン」

何度も友人から愚痴を聞き、剣の買い替えで商会を訪れた時に顔を確認しているため記憶に残っていた。部下には威張り散らし、上司には媚びへつらい、金使いの良い客しか相手をせず、問題が起こると部下のせいにする最低の上司。それが幼馴染から聞いた第一発見者の人となりである。リシャルド自体は接触したこともないので全てを信じているわけではないが、良い印象は持っていない。

「ふーん。ま、身元が分かってよかった。あの人さっきから何聞いても『なぜだ』しか言わねーんだよ。それで、だ。俺達は今仕事中じゃないわけだが、それで放置とわけにはいかないからな、分かっていると思うが。とりあえず警察呼んで死体どーにかさせんと。二人じゃ収集つかねえ」

「ここから一番近いのは中央広場の待機所です」

パヴェウはがしがしと自分の頭をかきながら面倒臭そうにため息をついた。

「あー、俺はあの第一発見者連れて待機所行って連絡してくっからお前ここで死体と現場の確保しとけ」

「……わかりました」

リシャルドが頷く。カタリナを待たせていることがリシャルドは気になっていた。だが殺人という事件が起こっているからには、国に剣をささげている以上この場を収めるのに協力しなければならない。騎士に就任したときに「この剣は国、王、そして国民のためにある」と誓ったのは形式上のことではあるが嘘ではない。

ただ、普段か勤務態度の真面目でないパヴェウがきちんと仕事をしてくれるのかは分からなかった。それほど親しい付き合いをしているわけではないのだ。しかし先輩騎士の言うことは絶対。騎士団という職場は上下関係が厳しい。

「はっ。真面目で優秀な後輩はきちんと先輩の言うこと聞かなくちゃなあ」

不満が顔に出ていたのか、パヴェウはそう厭味ったらしく言うと、にやにやとリシャルドを見た後で縮こまっていた第一発見者の腕を掴み引きずるようにしながらレストランから出て行った。その様子を見送った後でリシャルドはため息をつく。少なくとも数十分はここから離れられそうにない。カタリナを残してきてしまったが、彼女に連絡をしようにもここを離れることはできない。

「初デートでこれってないよなあ」

その呟きを聞く者はなかった。部屋は静まり返っており、その場にいるのはリシャルドともう呼吸をすることはない死体だけだ。

事件が起こったこの場所はレストランの最奥にある個室。カタリナとリシャルドの座っていた場所は大きな一つの部屋に沢山のテーブルが間隔をおいて並べられていたが、ここは完璧なプライベートスペースと言える。そんな場所で殺人が起こった。明らかに事故ではないし、自殺ということもないだろう。

死体に近づいてみるものの、こういった犯人の分かっていない事件の場合、発見時の記録を残さなければならないので原則触れることは許されない。観察するように眺めていると、違和感を覚えた。

「そうか、こんなに血が服に付いているのに床が汚れていないんだ」

椅子に座った状態で刺されたとしても、服は血にまみれているのに床へは付着しないということがあるのだろうか。剣を扱っている仕事上血を見ることはある。こんな風に急所を何度か刺されていたら、出血は服だけでは収まらないはずだ。

「誰かが殺して、ここへ運んだ……?」

警察が来て調べるまでは何も分からない。ただ、この事件は簡単に片付くものではないだろうという予感が頭に残っていた。


リシャルドにもっと活躍してほしいという気持ちと、カタリナに事件にもっと関わってほしい気持ちから今回2章2話全て変更となりました。

今後はこのようなことの内容に、ストックをためてから更新するようにします。

申し訳ありませんでした。

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