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図書館に住む妖精の恋(仮)  作者: 河内音子
第一章 図書室の妖精
3/8

家族と誕生日を祝う食事をし、自分の部屋へ戻った私は契約の言葉を口にした。

「私はあなたの半身、私の妖精、どうか姿を現して。共に生きて共にこの生を楽しもう」

契約の言葉は人によってまちまちだ。みんな心に浮かんだことを口にする。それが誠実であれば妖精が答えてくれる。

【……嫌だな~なんでこんな辛いことだらけの人のパートナーなんだろう僕】

すうっと現れたのは青い色の人魚だった。足の代わりにキラキラと輝く鱗に七色の尾ひれ。そして水色の瞳に濡れたような艶のある髪をした可愛い子供の容姿。

「ごめん。ありがとう、受け入れてくれて」

心が一つとはよく言ったものだと思う。口では文句を言っていても、この妖精の心には私を拒否しようとする感情が一切ない。それが分かる。

【大丈夫だよ、カタリナ。泣かないで。僕たちはもう一人じゃないんだから。僕の名まえはノアだよ】

きっと他の人と比べたら、私達の共有できる心は半分しかない。だってキャサリンはカタリナじゃないから。

「苦労かけると思うけど、よろしくね」

【もちろん。僕はずっとカタリナに会える今日という日を楽しみにしてたんだ! 会えて嬉しいな】

「私も楽しみだったよ」

【ふふ、知っているよ!】

私達は微笑みあった。それだけで十分分かりあえた。

これが妖精との契約なんだ。すごく、幸せで力が溢れてくる。

彼が失ったのは、この幸せなんだ。

【カタリナ、暗くならないでよ。苦しまないで、僕との契約の幸せを楽しんで。きっと全て上手く行くよ。君は僕の半身なのに僕より随分生真面目だねえ。きっとそれが彼の妖精さんの性分なんだね。僕らは半分しか共有できない。だからこそ僕は君の絶対的な味方なのに相談役にも友人にもなれる。僕はカタリナ、君が契約者ですごく幸せだよ。たぶんすっごく面白い妖精生になるんじゃないかな】

純粋に喜んでくれるノア。それが伝わるから私の心も明るくなる。きっと私たちは上手くやれる。

「うん。ノアがいてくれたら私の人生も面白くて素敵になりそう」

【なるに決まってるよ! カタリナは僕と人生を楽しむんでしょ?】

「うん」

ノアがベッドからシーツを引っ張って持ってきて頬の涙をぬぐってくれた。その後一緒にベッドに入って眠った。ちっちゃいノアは私が寝返りをうったらつぶれそうだと思ったけど、大丈夫だと本人が言うからそのままだ。猫用のベッドでも買って来ようかな、と考えたら【変なこと考えていない?】と指摘されて面白かった。


今回は短いですが、場面展開するのでここまで。

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