07
僕の後ろに板橋先輩が来て僕を椅子に座らせた。
薫 「近衛先輩は医療知識があるんだ。大丈夫だよ。」
湊 「そうなんですか、、、」
少しして明らかにいらついた赤木先輩と楽しそうな早坂先輩が部屋に来た。
藍 「どんな起こし方だよ、、、」
莉央 「起こせって言われたんだから起こしたら任務遂行だ。」
藍 「起こし方ってもんがあんだろ。」
柚月 「藍、悪いんだけど前にもらった薬、またもらえるかな?」
藍 「あぁ、任せろ。莉央、お前も手伝え。」
莉央 「はいよ。」
また二人が出ていき、少しして戻ってくると赤木先輩は薬を橘先輩の口元に流し込んだ。
少ししてだんだんと橘先輩も落ち着いて来た。
柚月 「ふぅ、、、後三日は安静にしたほうがいいです。」
林 「だから、三日は待てん。」
柚月 「しかし、完全に治せなかったら長引くことになります。それに、最低三日です。本来なら三日以上休ませたいところです。」
林 「、、、橘が三日も仕事を抜けたらどうなる。ここの機能は完全に止まるぞ。」
柚月 「凛は元から体が弱いんです。休息が必要です。」
林 「、、、分かった。三日だな。それ以上は待てないぞ。」
柚月 「はい。分かってます。」
教官が出ていき、早坂先輩たちも椅子に座った。
莉央 「やっぱり無理させちゃったか、、、」
藍 「きつそうだな、、、」
柚月 「でも、教官は話が分かる人で良かったよ。他の人だったら明日からも凛を働かせていたかもしれない。」
莉央 「あの教官はあぁ見えて優しいからな。」
藍 「まぁ、俺たちのことも子どもの頃から見ているし情が湧くのも分かるし、ありがたい限りだが。」
柚月 「まぁね。あっ、板橋たちは戻って良いよ。ありがとうね。」
薫 「はい。ではお願いします。」
板橋先輩と部屋を出ると板橋先輩は僕を部屋まで送ってくれた。
湊 「あの、あの薬はどうやって?」
薫 「あぁ、薬草園から取れる薬草から作ったんだよ。」
湊 「あぁ、、、赤木先輩は薬草部でしたね。」
薫 「そういうこと。赤木先輩は薬学に精通してるし薬のことは赤木先輩が強いんだ。」
湊 「なるほど、、、」
薫 「鳴瀬は管理部に入ったんだよな。」
湊 「はい。今のところ壊れた物の修理とか汚れた服の洗濯とかだけですけど。」
薫 「そろそろ大仕事が始まると思うぞ。」
湊 「えっ?」
薫 「管理部上げての大仕事。同じ管理部の雨宮に聞いてみたら分かるはずだ。」
湊 「分かりました。起きたら聞いてみます。」
薫 「あぁ、じゃあ、おやすみ。」
湊 「おやすみなさい。」
部屋に戻って眠りにつくと、朝、界君に起こされた。
界 「湊。」
湊 「界君。おはよう。」
界 「おう。今日は仕事が休みになって部署の仕事片付けるってさ。」
湊 「あっ、管理部の、、、」
界 「そう。忙しいから、さっさと行くぞ。」
湊 「う、うん。」
界君に着いていくと管理部の部長である水瀬先輩が井戸から水を汲んでいた。
蘭 「全員揃ったな。始めるぞ。」
水瀬先輩の声で管理部の皆は一斉に長屋の各部屋に入って布団を干し始めた。
僕は界君と掛け布団を洗っていた。
界 「結構大変なんだよな。」
湊 「こ、これが管理部上げての大仕事?」
界 「ん?そう。大洗濯祭。」
湊 「全部洗うの?」
蘭 「そうだぞ。気合い入れろ。」
水瀬先輩は小さい子たちの面倒を見ながら洗濯をしていた。
界 「結構な量だろ?いつも夕方まで掛かるんだよな。」
湊 「そ、そんなに?」
界 「そう。でも、干したばっかの布団で寝ると気持ち良いんだよ。」
湊 「そ、そうなんだ。」
夕方頃、何とか仕事をやり終えると、縁側に干していた布団で界君や他の子たちが眠っていた。
蘭 「お疲れさま。」
界君の隣に座っていると最後まで片付けをしていた水瀬先輩が僕の隣に座った。
湊 「お疲れさまです。」
蘭 「ふぅ、、、何とかやりきったな。」
湊 「皆、よく眠ってますね。」
蘭 「俺も昔やってた。気持ち良いんだよな、これが。」
湊 「ふふ。」
蘭 「夜中、部屋に来たんだって?凛のこと心配してくれたのか?」
湊 「あっ、えぇ。ちょっと目が覚めてしまって。」
蘭 「そっか。まだ眠ってるんだけどさ、だいぶ落ち着いて休めてるよ。」
湊 「それは良かったです。」
蘭 「鳴瀬もだんだん馴染めて来たみたいで安心した。」
湊 「、、、はい。こんな場所だなんて思ってませんでした。」
蘭 「こんな場所?」
湊 「、、、前の生活よりも自分を認めてくれる人たちがいて、何不自由なく暮らせていて、、、」
蘭 「、、、前は村に住んでいたんだよな?認めてくれる人は居なかったのか?」
湊 「、、、誰も僕に興味なんて無かったんです。自分の生活を守ることに必死で、兄も母も。」
蘭 「、、、そうか。」
湊 「、、、水瀬先輩は小さい頃からここにいるんですよね?家族に会いたいですか?」
蘭 「、、、記憶無いんだ。どこに住んでいたのかも分からない。第一級人員の中でも結構早くにここに来たからさ。」
湊 「そうなんですね、、、」
蘭 「、、、、でも、ここで凛たちと過ごしていると楽しいとか嬉しいとか感じることが多いんだ。そういうときに自分も生きていて良いのかなって思う。」
湊 「、、、」
蘭 「、、、その感情を感じたり出したりできるのはそれを受け入れてくれる人がいるって分かってるからだ。鳴瀬の言うとおり、皆が自分を認めてくれるから。」
湊 「、、、橘先輩も認めてくれますよね?」
蘭 「あぁ。あいつは何でも認めてくれる。どんな感情も。」
湊 「、、、誰かを認めるって誰かに認めてもらえるっていう安心感のもとにできることだと思うんです。水瀬先輩たちが来る前、橘先輩は誰に認めてもらっていたんでしょうか?」




