04
皆でうどんを食べていると優君が戻って来た。
界 「お疲れ、どうだった?」
優 「今日も食べれなさそう。今日は午前中だけでも六件間違いがあったって。」
界 「下の奴ら?」
優 「聞ける雰囲気じゃなかったよ。うどん置いてすぐに戻って来た。」
界 「そうか...」
優 「あっ、湊。坂井先輩が後で部署の説明するために来てくださるそうだよ。」
湊 「坂井先輩?」
界 「さっき、優と一緒にうどん持ってた人。第二級人員統括役の坂井壮馬先輩。」
優 「そう。橘先輩が手が回らなくなっちゃって坂井先輩が任されたみたい。」
湊 「そっか...分かった。ありがとう。」
界 「それと、朝はバタバタして紹介できなかったけど、同じ第三級人員の愁、紘、朔。」
紘 「よろしくね。」
湊 「うん。よろしく。」
そして、それからも仕事が続き、終わったのは外が暗くなってからだった。
界 「何とか今日の分は終わったな...」
優 「いつもよりも多くて時間掛かったね...報告行ってくるよ。ここに居て。」
界 「おう。」
優君が出ていき、少しして書類を抱えながら戻って来た。
界 「うわっ、それ修正?」
優 「うん、修正だらけ。まだ掛かりそう...」
朔 「こんなに...」
優君は書類を皆に分けた。
優 「それと、今、外の世界で感染症が流行していて、先輩方が研究に当たるってさ。先輩方の分の明日からの仕事は橘先輩が引き受けるらしい。」
界 「...今でもきついのに全てを橘先輩がやるのか?」
紘 「まぁ、あの人の頭脳は凄いからできなくもないのかな。」
優 「いや...体が持たないかもしれないと坂井先輩が心配してたよ。明日からは、橘先輩も第二級人員の仕事部屋で仕事されるってさ。」
界 「早坂先輩たちは研究に専念するわけか。」
優 「そう。外の世界からどんどんと資料が送られて来ていて、今その集計に向かわれたよ。」
僕らが計算し直し修正していると急に仕事部屋の扉が開いた。
壮馬 「計算の間違いが頻発している。第三級人員の仕事だろ。」
優 「す、すみません。やり直します。」
壮馬 「それと、感染症の研究でも計算が必要になる。明日からはもっと仕事が増えるぞ。気を抜くな。」
界 「はい。」
壮馬 「全く...」
坂井先輩が出ていくと界君は笑った。
界 「普段はあんなに怖くないから。」
湊 「ほ、本当?」
界 「本当。早坂先輩たちの穴を埋めるのに気張ってるんだよ。」
湊 「そ、そうなんだ...」
優 「とりあえず、僕らは修正を片付けるよ。全員で回して確認して。」
朔 「はいよー。」
しばらくして修正を終えて優君と第二級人員の仕事部屋に行くと僕らの仕事部屋とは比べ物にならないくらいの量の文書が山積みになっていた。
優 「失礼します。」
湊 「し、失礼します。」
壮馬 「終わったか?」
優 「はい。確認お願いします。」
壮馬 「分かった。そこに置いておいて。それと、鳴瀬。悪いけど部署の説明は明日させて。今夜は仕事が終わらなそうでさ。」
湊 「は、はい。もちろんです。」
優 「さっきの坂井先輩が怖くてびびってるんですよ。」
壮馬 「えっ?」
湊 「そ、そんなこと...ないです...」
壮馬 「ごめんごめん。仕事が立て込んでて余裕無かったかも。」
優 「ね?怖くないでしょ?」
湊 「う、うん。」
壮馬 「ふっ、誤解が解けたみたいで良かったよ。」
そう言いながら坂井先輩は僕らが持って来た報告書を見ていた。
壮馬 「うん、直ってる。お疲れさま。」
優 「僕ら、風呂当番代わります。お仕事、頑張ってください。」
壮馬 「えっ、良いの?」
優 「今度、食事当番代わってくださいね?」
壮馬 「あぁ、分かった。助かるよ。ありがとう。」
優 「はい。では、失礼します。」
優君に手を引かれて部屋を出て仕事部屋に戻った。
朔 「終了?」
優 「うん、今日の分は終わり。」
紘 「良かった。じゃあ、お疲れさま〜。」
三人が出ていくと優君と界君と机の上の片付けをしていた。
界 「へぇ、それで風呂当番を引き受けたと。」
優 「うん。坂井先輩の料理食べられる日が増えたし良いでしょ?」
界 「まぁね、あれ、旨いんだよな。」
優 「湊も疲れたと思うんだけど、風呂当番手伝ってくれる?」
湊 「う、うん。それは良いんだけどさ...」
界 「どうした?」
湊 「...風呂、今日も入れるの?」
優 「えっ?」
界 「あぁ...俺も最初は思ったな。外の世界じゃ毎日は入れないもんな。」
優 「そっか。昨日、夕飯にも驚いていたもんね。」
湊 「...」
界 「まぁ、朝から汗もかいたしさ風呂当番は一番に風呂入れるから。」
優 「そうそ。一番風呂、気持ち良いよ。行こう。」
二人と風呂に向かい、大浴場と洗い場を掃除していると界君がお湯を張り、三人でお湯が張るのを見ていた。
優 「湊。今日、どうだった?」
湊 「疲れたけど計算は好きだから苦ではなかったかな。」
優 「そっか。やっぱり計算が得意なんだね。」
湊 「昔から数字は好きだったよ。数字は嘘をつかないから。」
界 「何それ。そんなこと考えたことなかった。」
優 「...湊、何かあったの?」
湊 「...昔ね。それから計算が好きになったんだ。」
優 「そうなんだね...」
界 「確かに嘘はつかないよな。答えが一つに決まるし。」
優 「そうだね。」
界君が脱衣所の掃除に行き、僕が優君と風呂の椅子を磨いていると優君はチラチラと僕を見た。
湊 「...ん?」
優 「...湊さ、何かあれば僕らに話してね。僕も界も話を聞くことはできるから。」
湊 「えっ...良いの?」
優 「もちろんだよ。僕ら、ただの仕事仲間じゃないから。頼ってね。」
湊 「...うん。ありがとう。」




