03
莉央 「、、、まぁ、体は傷つけられない。順調に行けばだけどな。でも、そう上手くはいかないし普通に体じゃなくて心を痛めつけられる。」
湊 「こ、心を?」
莉央 「、、、そのうち仕事をしていれば分かると思う。逃げ出したくなっても逃げ出せない。それに、、、逃げ出そうとすると連帯責任になる。その重い罰、俺らに回ってくるから勘弁してな?」
湊 「は、はい。」
莉央 「、、、外の世界から見れば、ここは鬼のような存在なんだろうな。自分らを危険に晒すようなものを作っているんだから。そりゃ、煙たがられる。」
湊 「、、、」
莉央 「でも、気にすることない。俺たちは俺たち。お前も家族とかから色々言われたんだろうけど気にすることない。俺たちらしく生きれば良い。」
湊 「、、、はい。」
すると、人事部の扉が開いた。
凛 「莉央?居るのか?って、鳴瀬も?どうした?」
莉央 「紋章と制服、渡すの忘れてたからさ。」
凛 「あぁ、そうだったな。」
莉央 「凛、風邪引いたって本当か?」
凛 「風邪?」
莉央 「鳴瀬が言っていた。」
湊 「あっ、いえ、咳をされていたようだったので、、、」
凛 「あぁ、、、気にしないでくれ。お茶でむせただけだから。」
莉央 「お前がむせるなんて珍しい。」
凛 「ほっとけ。」
莉央 「もう戸締りの時間か?」
凛 「あぁ、閉めるぞ。」
僕らが部屋を出ると、橘先輩は戸締りをして鍵を閉めた。
莉央 「じゃ、鳴瀬はここでお別れな。おやすみ。」
湊 「は、はい。おやすみなさい。」
先輩方と別れ、暗い廊下を壁伝いにやっと部屋に戻れた。
湊 「暗かった、、、」
部屋に戻ると同室の二人は布団に入っていた。
優 「湊、遅かったじゃないか。」
界 「制服に紋章か。早坂先輩、忘れやすいから。」
優 「湊も早く寝なよ?明日から朝早いから。」
湊 「う、うん。」
界 「湊の机と布団、用意しといたから。」
湊 「、、、ありがとう。」
布団に入っても眠れず、何度も寝返りを打った。
ようやく眠れた頃、まだ空が暗い時間に優君に起こされた。
優 「湊、早く起きて。これに着替えて。」
湊 「、、、これは?」
界 「体操着。早く。」
湊 「わ、分かった。」
二人に引っ張られて外に行くとたくさんの子どもがいた。
林 「早くしろ!いつまで待たせる気だ!」
全員が静まると先頭には、橘先輩や早坂先輩が並んでいた。
林 「橘、人数確認。」
凛 「はい。第一級人員全員居ます。第二級人員。」
男の人 「全員居ます。」
凛 「第三級人員。」
優 「全員居ます。」
そして、全員が揃うと急に腕立て伏せが始まった。
その後も走り込みや剣術、体術と休憩もなしに行われた。
陽が昇り、教官が合図を出すと全員が部屋に戻った。
湊 「き、きつかった、、、」
界 「初めてにしては良く耐えたな。」
優 「朝食を食べたら仕事が始まるよ。早く、制服に着替えて。」
湊 「その、仕事って何をするの?」
界 「えっ、知らないでここに来たのか?」
優 「僕らは第三級人員。きっと湊も得意なことだよ。」
制服に着替えて食堂に行くと早坂先輩たちが大騒ぎしていた。
優 「何だろ。」
男の人 「あっ、一ノ瀬たちも来たか。」
界 「何の騒ぎですか?」
男の人 「早坂先輩と赤木先輩だよ。」
優 「あぁ、いつもの二人ですか。」
界 「朝から元気ですね、、、」
中を覗くと早坂先輩と赤木先輩が言い争いをしていた。
早坂先輩は、朝食が溢れていて服も濡れていた。
莉央 「藍!お前のせいだぞ!」
藍 「うるさい、お前の不注意のせいだ。」
莉央 「何だと!俺の朝食をこぼしておいて!」
僕らが食堂の入り口で立ち止まっていると後ろから橘先輩が来た。
凛 「何の騒ぎだ?」
莉央 「あっ、凛!藍が!」
藍 「違う。莉央が勝手にやった。」
凛 「子どもじゃないんだから大騒ぎするな。莉央、私の朝食を食べなさい。管理部。」
界 「はい、洗濯ですね。早坂先輩、上着を脱いでください。」
莉央 「凛は朝食要らないのか?」
早坂先輩は上着を脱ぎながら言った。
凛 「食欲ない。食べといてくれ。」
橘先輩はそれだけ言って出て行ってしまった。
結 「あいつ、大丈夫なのか?昨日の夕飯も半分以上残したんだぞ?」
柚月 「今朝は大丈夫そうだったんだけどなぁ、、、」
男の人 「って、先輩方。もうすぐ仕事開始時刻です。急ぎましょう。」
莉央 「まずい、皆、食べろ!」
その声で皆が一斉に急ぎ始め、少しして鐘が鳴った。
仕事部屋で仕事が開始されると僕が所属していた第三級人員の仕事はひたすら計算を行う仕事だった。
第三級人員は、僕を含めて六人。
優君がその一番上で全ての計算の確認をしていた。
そして、何度も小さい子どもの出入りがあった。
優君は計算を確認する傍ら、その子どもの持って来た報告書に目を通して、界君と交互に部屋の出入りをしていた。
界 「湊、手を止めるな。時間が無いぞ。」
湊 「う、うん。」
次の鐘が鳴るまで一度も休憩なく昼食の時間になった。
湊 「やっと昼、、、」
優 「湊。界と一緒に僕らの分の昼食を取って来てくれる?」
湊 「うん、分かった。」
界君と食堂に行くと小さい子どもたちがいた。
界 「六つ。」
男の子 「はい。」
すぐにうどんを六つ渡され、界君と持って食堂を出ると優君がいた。
優君はうどんを三つ持っていて隣の男の人が残りの三つを持っていた。
優 「あっ、界たち、先に戻ってて。」
界 「おう。」
界君の後ろを追いかけながら部屋に戻ると皆疲れ切っていて、うどんを見るなら飛びついた。




