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それぞれの覚悟  作者: 仙夏


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林 「瀬良!早く動け!」

瀬良 「し、しかし、他の子も大怪我をしています。」

林 「橘さえ助かれば良い。橘を必ず助けろ。」

瀬良 「えっ、、、?」

林 「それがここの規則だ。」

瀬良 「、、、命に優先順位があると?」

林 「だからそう言ってる。薬も全部橘優先だ。他の子どもは後回しで良い。」

瀬良 「、、、」

瀬良さんが動けないでいると、他の兵士たちによって橘先輩が運ばれて行き、浅沼さんや保険部が他の子の応急手当てをしていた。

浅沼 「瀬良さん!動いて!」

瀬良 「は、、、はい、、、!」

瀬良さんも手当てに加わり、何とか怪我人全員の手当てが終わると医務室では橘先輩の手当てに集まった兵士たちばかりで溢れていた。

近衛先輩と薬を取りに医務室に向かうと教官がそんな医務室を見ていた。

林 「、、、」

柚月 「、、、教官。薬を少し分けてもらえますか?」

林 「橘の手当てが終わったらだ。」

柚月 「しかし、、、」

瀬良 「教官。」

振り向くと瀬良さんが来ていた。

瀬良 「他の子にも薬を。手遅れになる可能性もあります。」

柚月 「、、、」

林 「、、、橘の手当てが終わったらな。」

瀬良 「、、、 命に優先順位はありません。橘さんも他の子どもたちも救います。」

林 「、、、この場所にはある。橘が居なくなればこの場所は終わりなんだ。橘が死んでしまえば、他の子どもの命もないんだ!」

瀬良 「っ、、、それはどういう、、、」

林 「、、、そういう場所なんだ。ここは。」

瀬良 「、、、」

医務室を見ると橘先輩はぐったりしていて全身に薬を塗られ包帯を巻かれていた。

柚月 「、、、怪我の具合は?」

林 「、、、分からん。助かるかどうかも何とも、、、」

瀬良 「、、、」


少しして橘先輩の手当ては落ち着き、瀬良さんや浅沼さん、保険部が他の皆の手当てを薬や包帯を用いてできるようになった。

僕は第一級人員の部屋で近衛先輩と浅沼さんが先輩方の手当てをする手伝いをしていた。

莉央 「いてっ、、、」

浅沼 「動かない。もうすぐ終わるから。」

早坂先輩は手当てを受けながら橘先輩の布団を見ていた。

浅沼 「はい、終わり。」

莉央 「、、、凛は?無事?」

浅沼 「、、、今のところ。まだ分からないけど、、、」

莉央 「っ、、、」

柚月 「、、、」

近衛先輩は静かに気を失っていた赤木先輩の手当てをしていて、その手は震えて上手く包帯が巻けていなかった。

湊 「、、、近衛先輩?」

浅沼 「、、、鳴瀬。布巾、洗ってくれる?」

湊 「は、はい。」

僕が布巾を洗っていると浅沼さんは近衛先輩と手当てを代わった。

浅沼 「きつすぎても緩すぎても駄目。」

柚月 「、、、」

浅沼 「、、、そのさじ加減が一番上手くできるから柚月に最初に医療知識を教えたんだよ。」

柚月 「、、、」

浅沼 「こんなときこそ、冷静に。保険部の本分を忘れないで。」

柚月 「、、、はい、、、」

近衛先輩が水瀬先輩の手当てに向かうと水瀬先輩はぐったりしながらも近衛先輩を気にかけているように見えた。

柚月 「、、、きつすぎず緩すぎず、、、」

蘭 「、、、」

柚月 「、、、」

水瀬先輩が近衛先輩の頭に手を置くと近衛先輩は水瀬先輩を見た。

蘭 「、、、無理すんな。」

柚月 「っ、、、」

近衛先輩は震えて泣きそうになると水瀬先輩は近衛先輩の頭を撫でた。

浅沼 「、、、鳴瀬。水を汲みに行こうか。」

湊 「は、はい。」

浅沼さんと水を汲みに井戸に向かうと水を汲みながら浅沼さんは溜め息を吐いた。

浅沼 「、、、我慢させちゃったな、、、」

湊 「、、、近衛先輩ですか?」

浅沼 「、、、柚月、今回のと同じように爆弾で村を焼かれて家族を失ったんだ。今回も橘たちが居なくなってしまわないか不安で仕方ないんだよ。甘やかせてやるべきだったかな、、、」

湊 「、、、」

浅沼 「、、、強く居させようとしちゃ駄目だよな、、、俺くらい優しくしてあげないとあいつらは潰れちゃうって分かってんのにさ、、、」

湊 「、、、浅沼さんは優しいですね。」

浅沼 「俺?」

湊 「、、、皆が信頼しているのもよく分かります。」

浅沼 「、、、特に凛たちには特別なんだよな。親代わりみたいなもんだったし。」

湊 「、、、浅沼さんは教官とは全く違います。」

浅沼 「え?」

湊 「、、、命の優先順位があるとか、ちょっと怖くて、、、」

浅沼 「、、、それは茜坂の絶対的な規則だからだよ。俺らも何があっても橘を優先するよう命じられている。教官もそれは違うと分かってはいるけど従わざるを得ないんだ。あの人は鳴瀬が思っているほど悪い人じゃないよ。俺は尊敬してる。」

湊 「、、、」

浅沼 「、、、あぁ見えて情にも熱いし皆のことも気に掛けているんだ。鳴瀬たちには厳しい人に見えてると思うんだけどね。」

湊 「、、、信じられないです、、、」

浅沼 「ふっ。まぁ、分かるときが来るかもしれないね。戻ろうか。」

湊 「、、、はい。」

浅沼さんと第一級人員の部屋に戻ると近衛先輩は泣いていて水瀬先輩が背中を摩っていた。

蘭 「、、、浅沼さん、責めないでやって。」

浅沼 「、、、分かってるよ。柚月のこと頼むね。他の部屋を見て来るから。」

蘭 「うん、ありがとう。」

浅沼さんと各部屋の手当てに向かい、しばらくして第一級人員の部屋に戻ると近衛先輩は眠っていた。

浅沼 「蘭、ありがとう。」

蘭 「、、、いえ。」

莉央 「、、、柚月、疲れ切ってて泣き疲れて眠っちゃった。」

浅沼 「そうか。唯も藍も目を覚ましていないし、凛のこともあって心配が絶えなかったんだろうな、、、」

莉央 「、、、重なったんだろうな。家族と。」

蘭 「、、、あぁ。」

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