(第2話 活動計画 7月18日)
今日は10時に職場に出勤。公務員を60歳で定年退職し、外郭団体の役員に天下りし4年目、経営方針の決定という年度初めに概略纏めれば後は特に決まった仕事はない。不祥事発覚時の首切り要員と割り切り、日々、書類の稟議に印鑑を押し、1日が終わる。
いつものように16時に仕事を切り上げ、周りの社員に帰宅を告げる。
朝干した洗濯物を取り入れ、ジョギングウェアに着替え、一路ダンジョンへ、折り返し広場の山肌に立つと「チュートリアルダンジョンに入りますか?」の問いかけ。イエスと答えると、第1階層に転移していた。
「記録アクセス」と問いかけると「OK」の返事。
「Q1このダンジョンは?」
「Aチュートリアルダンジョン 全5階層」
「Q2ダンジョ生成理由は?」
「A地上への魔素散布」
「Q3ダンジョ生成要素は?」
「A100平方キロメートルあたり、人口50万人に1つ」
「Q4ダンジョン内の魔物の種類は?」
「1日のアクセス回数を超えました。」
ステータスを確認するとMPに増減はなく、1日3回のアクセスが可能であるようだ。
第1階層には魔物がいない。階層ボスを倒すと一定期間セーフティエリアになるようだ。
アイテムボックスからダガーナイフを取り出し、2階層へと降りる。20段ほど下ると平坦な道に。道の奥から1mほどの緑の生きもの、棒切れを振り回し近づいてくる。
おなじみのゴブリン、幸いなことに細い棒切れ、ダガーナイフで応じ、右足で胸をける。
こけたところをナイフで止めを刺す。緑の魔石を残しダンジョンに吸収される。人型を殺傷することに躊躇するかと思ったが、平気だったのはレベル付与の影響か。同様に5匹倒したところでレベルアップ
ステータスを確認
ステータス ニシ ヒロシ 年齢64 レベル2
HP 30 MP 22
スキル 初級魔法・アイテムボックス・記録アクセス
HPもMPも10ずつ増加、昨夜のMP枯渇で2増えていたようで半端な数字に苦笑する。
ダンジョンを進むと律儀に1匹ずつゴブリンが登場、5匹倒してもレベルアップはない。だが、レベル2のせいか討伐時間は短くなり、疲れもない。10匹目を倒したところでレベルアップ。
ステータス ニシ ヒロシ 年齢64 レベル3
HP 40 MP 32
スキル 初級魔法・アイテムボックス・記録アクセス
ダンジョンの先に大きな扉が見えてきた。どうやら階層ボスの部屋らしい。今日はここまでと入り口に戻る。幸いなことに魔物に出会うことはなかった。
1階層で、スキル確認
初級魔法(ライト・クリーンに加えウォーター、ヒールを確認)
夕べ入れておいた、計測用の伸縮突っ張り棒を取り出しアイテムボックスの容量を確認する。
レベル3で1.5×1.5×1.5㎡に拡大
記録アクセス
「Q4ダンジョン内の魔物の種類は?」
「A1階層 ラージスライム 2階層 ゴブリン 3階層 コボルト
4階層 オーク 5階層 複数隊」
「Q5ドロップアイテムの出現率は」
「A階層ボスは100%、その他は任意」
「Q6スタンビート(ダンジョン氾濫)は」
「1日のアクセス回数を超えました。」
記録アクセスは1日「2+レベル数」のようだ。
ダンジョンを出るとすっかり日は落ちていた。レベルアップしたせいか夜目も効き、体力もだいぶ若返っている。軽いジョギングでマンションに戻る。シャワーを浴びながらお腹周りを見ると特に変わりはない。家内と死別して10年目の独身生活の夜は、週末に作り置きしたサラダや煮物を肴にビールは2缶までのマイルール。
明日は階層ボス、翌日はレベル上げ、その次は階層ボスと今後の計画を立てる。夜も更け、タブレットで読みかけのライトノベルを開け、眠くなったら魔力枯渇して就寝する。