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映画「アナザヘヴン」を観て

随分前に観た映画だった。


「アナザヘヴン」とは何だったのか、確認したくなった。

それ以外にも、大好きな俳優さんが出ていたので懐かしくもあり観てしまった。


飯田譲治作品にハマったきっかけは、ドラマ「沙粧妙子-最後の事件-」だった。

印象的な主演女優の演技と今まで見た事がない映像に夢中になった。

「美しく飾られた死体」というと一種アブナイ趣味に聞こえるかもしれない。

猟奇殺人好きというわけでもないが、それでもやはり映像美は否定できない。


同じ意味で金田一耕助が登場するドラマや映画の「獄門島」「悪魔の手毬唄」の

「俳句や手毬唄になぞらえた死体」の映像美も好きだ。


ドラマ「沙粧妙子-最後の事件-」は斬新さもありハマったのだが、

たった1回観ただけなのでより鮮明に印象に残っているのかもしれない。


「アナザヘヴン」についても、ドラマと映画両方観ているのだが、

こちらも1回こっきりなので、今回のPrime Videoの配信にすぐ飛びついた。


ほぼ忘れていたので初めて観る作品のようだったが、冒頭のえぐいシーンは

ちょっと抗がん剤の副作用で吐き気がする身には厳しかったので

途中から要所々意識を飛ばしながら観た。

(好きな作品の場合は決して飛ばし観はしないのよ。

そうでない場合は、どうでもいいシーンなどバンバン飛ばしまくりますが(笑))


最終的に「アナザヘヴン」は、私たちの生きるこの世界

犯罪が溢れる、人が殺し合い騙し合う世界が

他の「どこか」から来た何者かにとっては「天国」だというものだった。


「何の悪意もない平和な世界のどこが面白いんだ」的なセリフを聞いたとき、

私のSFショートショート「これって、パラレってるの?」の世界観と

一部一致していると思ったのでこの駄文を書きたくなった。


いつまで経ってもどこまで行っても殺し合いを止めない私たちの「この世」こそが

「アナザヘヴン」だと。


語り口、手法は異なれど、スタートレックなどでも耳にたこができるほど

繰り返し言われ続けている「この世」に生きる人間たちの愚かさである。


残酷なシーンの描写は、SFチックな作品やアクションものなどなら何ともないが、

学校や社会における「いじめ」の描写は、個人的には痛くて見ていられない。

というか、見たくないのでそういった作品はまず観ない。


「いじめ」などは、実際に被害にあった人、あっている人が見たら

(見ない可能性もあるが)どう感じるのかが分らず、いつも気がかりだった。


最近、「当事者」が見る映像作品上の辛い描写を体験することができた。

ガンで亡くなった女優の作家のダンナによる作品を元にした映画なのだが、

その闘病の描写が痛かった。


特に入院中嘔吐に悩まされている女優が使っている容器が、

私が3か月ほど前に受けたCT検査で、造影剤のアレルギー反応が出てしまい

一晩入院したときに渡されたものと同じだった。

ほんの一瞬のシーンなのだが、繰り返し出てきてやはり嫌な気分になった。

他の病状の描写も自分に置き換えてしまい、ちょっと辛かった。


「いじめ」のみならず、実際にその辛い経験を持つ、

あるいは今その真っただ中にいる人はそういった描写を避けているかもしれない。

では、その不快な描写は誰のためにあるのだろうか。


私はホラー映画は一切見ないのだが、好きな人にとっては

ジェットコースターのような爽快感があるという話を聞いたことがある。

ホラーはとても身近で起きそうもない描写の可能性が高いが、

身近に起こり得る、人が人に対して行う陰惨な行為を見ながら

何をどう感じているのだろうか。


少なくとも私は「嫌な思い」しか感じないのでそういった作品は観ないし、

もしそういったシーンが出てきても飛ばすことが多い。


飯田作品には犯罪がらみの残酷なシーンがあるので「何が違うの?」と

思うかもしれないが、飯田作品で例の「嫌な思い」をしたことはない。

それは作品がSF的要素を持っていて

「フィクション」として捉えられるからだと思う。


「事実は小説より奇なり」という言葉があるが、

身近に起こり得る「悪」の描写を完全なるフィクションと分かっていても、

実際に起こり得る人間社会のさらなる「悪」を想像してしまう。


映画「アナザヘヴン」には「純真無垢な良心」も登場し、

「アナザヘヴン」に生きる私たちへの最後の希望になっている。



私が見た飯田作品は、見た順に

ドラマ「沙粧妙子-最後の事件-」

 「リング 〜事故か! 変死か! 4つの命を奪う少女の怨念〜」

 「NIGHT HEAD」「ギフト」「アナザヘヴン〜eclipse〜」

映画「アナザヘヴン」

加えてつい最近サブスクでドラマ「VISION-殺しが見える女-」を見た。

これは「沙粧妙子-最後の事件-」の完結編だ!と勝手に喜んでいる。


映画「アナザヘヴン」の最後で大好きな俳優原田芳雄さんの

「あの女すごいな。俺が間違っていた」といった意味のセリフが効いていた。

それは「純真無垢な良心」と例えた女性への最後の言葉だった。

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