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入り口全体の溶接を外すのに、ある程度時間がかかったが、誰にも気づかれることはなかったようだ。
鉄板はそれなりの大きさがあるが、わりと厚みは薄かった。
そのため想定よりも早く切断できたし、倒すときも静かに倒すことができた。
――これでよし。
中に入る。
懐中電灯を照らそうとしたが、その必要はなかった。
小さな工場のほぼ真ん中に、それはいた。
赤いワンピースを着た少女。
その身体がうっすらと光っている。
懐中電灯を点けるまでもない。
――幽霊だ。
子供の頃からオカルト大好きな俺だが、幽霊を見たのは初めてだった。
普通の人間なら怖がるところだろうが、俺は逆にうきうきしていた。
幽霊少女が言った。
「あら、ここに人が来るなんて、久しぶりね」
「君は」
「私。私はここに住んでいるのよ」
「君は幽霊なのか」
「もう死んでるから、そう言うことになるわね」
その時、どさりと音がした。
見れば俺の足元に、なにか横たわっている。
よく見るまでもない。
それは俺自身の身体だった。
「えっ?」
「あらあ。あなたも死んだみたいね」
「えっ!」
「ここは霊界よ。つまりあの世。もともとは強い霊道だったんだけど、いつの間にかあの世の一部になったのよ」
「……」
「あの世に、生きた人間は居られない。だからあなた、死んだの」
俺は焦った。
そして外に出ようとしたが、俺の身体は転がったままだ。
少女が笑いながら言った。
「外に出ても無駄よ。死んだ人間は二度と生き返らないわ」
終




