タイトル未定2024/12/03 10:24
どうした事だろう。
数十年間、健康優良児を維持し続けたこの私が、私ともあろう者が、喉が痛い。加えて体に痺れる感覚と、なぜだか寒い。
一昨日のカラオケが今になって喉を痛めたのか?昨日の銭湯での電気風呂の後遺症か?今日の気候で上着を不必要と判断しているのは私だけなのか?
いや、違う。コートを小脇に抱える人はいても着用している人はいない。むしろ、スーツ姿で歩く者は軽く汗ばんでさえいる。
何たる事か、過去の自分を見る様な青春真っ只中な彼等は学生服を肩口に!
いかん。今日の陽射しはしっかり眩しい。なぜ私に寒気と痺れが襲ってくるのだ。これでもかと云うくらい、手洗いうがいはしているのに、何故、喉が痛いのだ……これは、まずい。風邪を引いたなどと思われては、体育教師である私の沽券に関わる。
いつ以来だ、こんな失態は、記憶にある限りでは小学校2年生の冬休み前……今時期かぁああ!!今の時期が要注意なのか!!
幸い咳は出ない。どうにか体調不良を誤魔化しつつ早く回復しなくては。しかし、どうやって?具合が悪い時はどうすればよいのだ?常日頃から健康には人一倍気を付けている筈だ。これ以上どうやって健康になればよい……薬、薬なのか?今更、薬に頼るのか!
となると病院へ、いや、そんな猶予は無い。我が職場はもうそこに迫っている。なんなら既に数人の生徒と挨拶を交わしてしまっている。1時間目を自習になどしては、あらぬ噂を立てられてしまうに違いない。
ここは保健室へ行かねばならぬのか?いやしかし、無理だ、例え薬があったとして、無理だ。あんなものを口に含み喉を通すなど、私には出来ない。
くそう、なにが良薬は口に苦しだ!飲めなければ意味がないだろう!
錠剤であろうと粉であろうと『服薬ゼリー』がなければ無理だ!薬が嫌で、私は死に物狂いで風邪を引かぬ努力をしてきたというのに。
「あら、先生。珍しいですね。どうかなさいました?」
しまった!なんの考えも無しに保健室へ来てしまった!!
「あ!いや!これは、その……」
「やだわ、顔、真っ赤じゃないですか。」
「え!いや、なんでもないです。元気ですよ。」
「何言ってるんですか。受験生達の大事な時期に、うつしたら大問題ですよ。さ、お熱測りましょ。」
ああ駄目だ、あの頃と何も変わっちゃいない。好きな人を目の前にすると、どうしても顔が赤くなってしまう……薬が苦くて飲めないなんて言えない。ああ駄目だ、嫌だ、好きだぁあ!
きっと、最後の心の声は、保険室の先生には丸聞こえです。