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薮鴉の森  作者: sakura
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ガシャ 髑髏

 ピンで立つアイドルが、昨今少ないと社長は嘆く。

 昔は、こうじゃなかった…と、ここから社長の昔語りは延々と続く。


 僕らは、それを黙って聴いているけど…僕は今夜の夕食のことを考えていた。

 僕の横にいて同じく聴いているカナちゃんも神妙に話を聴いているふうではある…が僕は知っている。絶対、あの顔は脳内を情報が素通りしている。


 カナちゃんは、僕より一歳年上なので、たまに僕に対し世慣れたお姉さんのように振る舞ったりする。

 「成長期における年齢の差は大きいわ。」

 そんなことを成長途中の薄い胸を張って宣うカナちゃん。でも学年は違うけど誕生月は、そんなに離れてないので、実際の見た目は僕と変わらない。


 そんなカナちゃんが幼少時から育まれた今の実態は、他人の意見などは歯牙にも掛けない超自分本位主義者です。

 本人は、聞くフリや愛想笑いを、「他人と軋轢を避けるための処世術とか社交辞令でしてよ。」と申してました。

 「それって聞き流しているってこと?」とダイレクトに聞いたら、「当たり前でしょう!」と答えがすかさず返ってきた。

 内容としてはダメダメなのに、あまりの正々堂々したその態度は自己肯定感が物凄くて、反論する気すら起こりません。

 「でも、それって僕に言ってもいいの?」と聞いたら、「あら、サトルちゃんはいいのよ、だって私達友達じゃない。」と(のたま)ってニッコリ。

 …ウッ!

 カナちゃんの、その正直さは、偶にいきなり胸を弓矢で射抜かれるような衝撃をうけます。

 いやはや…まあね、うん…いいけど。


 友達かぁ…そうか。

 初めての女の子の友達…わるくない。

 こそばゆい暖かさを感じがします。


 僕には友達が少ない。いや、ほぼいないと言ってもよい。

 学校には同年代の子達ばかりだが、性格が合わないのだ…これは何となくとしかいいようがない。


 周りが幼く見えているしまうのだ。


 子供心に、友達は、対等でなければ成り立たないものだと思いました。きっと、僕の方が相手に合わせても、そのうち僕の方が疲れてしまうだろう。

 世の中は厳しいくらいに厳しいのに、ここから又疲れてしまうのでは、日常生活に無理があります。

 だから、諦めてました。


 うんうん、そっか、そっか、友達ね、…まあ、いいんじゃないの。


 ふーん、なんだか、友達が出来たと思うだけで、心が軽く感じます。

 もしかしたら、今なら空も飛べそうです。


 …


 僕が、ニコニコ、うんうん頷いていたら、社長が、「あー、まー、その、なんだ、…お前達、よく頑張ってるから、給料上乗せしといたぞ!ほら、今日はもういいから、給料受け取ったら帰って休め。」

 何だか、中途半端に社長の講釈が、打ち切りになってしました…あらら?


 カナちゃんの社交辞令が効いたのかしら?


 今日は、僕に友達が出来た記念日だから、スキヤキにしようかな?だって給料も出たし。

 働いたら、しっかりその分お給料が出るなんて、なんて幸せなことなんでしょう。







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