枕 返し
日常は、兎に角、小忠実に動かなければならない。
生きるとは生活することで、食べて、寝て、動くことだと見付けたり。
独楽鼠のようにキビキビテキパキ働くのだ。
ドイツの鉄血宰相いわく、「働け、働け、もっと働け!」なんて、人生を端的に表した言葉なのだろう…ビスマルクさん、凄いです。彼ならば日本のブラック企業でもエースを張れるに違いない。言ったこと、やらせたことの責任は取らなくては、唯の口先男になってしまう。もし違えたらその罰は、口裂きの刑が適当であろうと思う…うんうん、ビスマルクさんの来世に幸あれ。
働くために何より重要なのは朝早く起きることで、そのためには、やるべきことを早めに終わらして、夜早くに気分良く寝ることなのであります。
だから、お休みの今日も朝早く起きました。
なるほど、この三つは、どれも同じくらい重要で、比重を同じうして、連動しながらグルグルと回っておりますな…即ち連環駆動でございます。
このどれもが同じくらい大切にするのが肝要でありまするよ。
汗水流して働いたら、その分だけ休み、その分だけ美味しいものを食べなければ、天秤が傾いてしまう。
もし、傾いたら正さなければならない。
自らを正して、それでも天秤が傾いているのなら、自分ではなく世の中が傾いているに違いない…実に合理的な考え…そうならば、間違った世の中を正さなければならない。
更に世の中を渡って行く上で、重要なモノが御座います。
何事にも先立つものが必要で、今日の朝、自宅を出る際、僕は財布の中身を数えました。
… … …
…現実は、いつも厳しい。
だがこれは、僕が成長するための神の試練だと思うのです。
何事も簡単に上手くいっては、人は1㎜たりとも成長しないもの…即ち、この現実の厳しさは、神が与えもうた糧にございますな…然り然り。
…一枚、二枚…何回数えても、やはり財布の中身は変わらなかった…試練です。
そのあと、ナンマイダナンマイダと唱えてみたりした。
…増えないかしら?
ポケットに入れて叩くと増える魔法のポケットが欲しいなと思うが実際にやっても増えることはなかった。
試しに実証はした…増えなかった…フー、両掌を上向きに肩をすくめたものだ。やはりそんな美味い話しがあるわけがない。幸せは、いつだって壁の向こう側にあるのだ。
さて、お金とは、社会の血流のようなもので、巡らすことが重要であるのに、僕の処にはなかなか流れては来ないのだ…実に不思議だ。日の本銀行は毎年お札を大量に刷っているというのに。僕の七不思議に認定です。
きっと何処かで滞っているのだろう…脳溢血で死ぬるぞ、日の本社会よ。
昨今、電子マネーやポイント還元なるものが流行りだしたのは、不足分の血流を補充するためではないかと思う。
貨幣の鋳造権を無効、自由化した画期的な発明でも現実に即せば僕一人すら救うことすら出来てない根本的な解決には至っていない。ああ…ダウトだ。残念無念実にガッカリだ。
しかし、きっとこの足りない偏頗な社会では、中世の一揆や米騒動みたいな現象…それに近い犯罪が起きるに違いない。いや、まさに今、その現象が起こっている。当人達に自覚がなくとも、現象だから、誰かが必然巻き込まれてしまうのだ。被害者も犯罪者すら血流をストップしている者の影響の巻き込まれ。当人が行った責任回避の理由には勿論ならないけども。もはや対処療法では解決しない。現象だから止まることはない。もし川ならば絶賛決壊中である。七並べでカードをいつまでも出さないようなもの…そりゃパンクしてしまう。誰だ?カードを止めているのは?きっと現代社会でも自覚無き悪代官や悪徳商人が横行してるに違いない。これは自分さえ良ければ良いという児戯のような考えが基盤になっている。ああ…資本主義社会がまさにそうだと思い至る。ならば、今の状況も必然なのか?
以前に、無意識に手でポケットの中を探ったら、チャリンとお金の音がしたのを思い出した。その時は増えないのが実証できたので財布に小銭を戻した。
お金がなくては人社会では生きていけないのだ。
なんて世知辛い世の中なのだろう。
…お金が少ないと哀しい。
お金が無いと食材も買えないし、食べることもままならないのだ。
お金を社会の軸に据えるのは、庶民にとっては不利益が多い。誰得の社会制度なんだと考えると、大多数を占める庶民の得にはならない制度であると気づく。
この欠陥な制度は、子供の僕にとっては不利過ぎて笑ってしまう。トランプの大貧民のように貧民はいつまでも貧民で、富豪は、次のゲームでも富豪のままだ。実に世の中の実態を表しているトランプ遊戯で、考えた人は、かなり皮肉を効かせていると思う。
今朝の所持金では今月は、もう買い物も出来ないな。これも詫び寂びと言うのだろうか…。
ご飯はあったから、今日の夕飯はケチャップライスにしよう。栄養が足りない?ならば豪勢に玉子焼きを乗せてオムライスです。卵は総合栄養食なのです。
そんな庶民の味方の卵も値段がジワジワ上がってきている。
何代か前の天乃扉都市の都市長が水道水を名水として推奨していた。
飲めることができる水が蛇口を捻ると出て来るなんて魔法のようです。ありがとう、都市長。
口先だけで希望や夢、正義を述べる無責任者より、地道に水道を重視したあなたにこそ勲章を授与したい。
飲み水の確保は、切実な問題です。
知っているかい?お腹が空いて我慢できない時は、水を飲めばよいのだよ。
ああ…それにつけても最近日用品までも物価がウナギ上りで困ってしまう…
「…うん。いいね。実に酷で、良いよ。その無表情が実にモノクロな服に似合って映えるね。グッドだよ!」
今は、写真撮影の途中で、監督さんから褒められました。
モデル撮影で、ポーズを付けてる間は暇なので、いろいろと考え過ぎてしまうのだ。
身体が動かない分、思考が走りすぎていく。
だって、いつもは、こんなに考えない。
普段は、割とシンプルで、骨髄反射なみの子供らしいことしか考えていないし。
「うん、微かにみえるその憂いを含んだ表情も、実にグットでエクセレントだよ!…因みにポーズをつけてる時には、何を考えてるのかな?」
被写体に緊張させないための、たわいのない質問だと思うけど、ドキッとしました。
「あ…えっと、ウナギのことかな?最近食べてないから…好物なので。」
監督さんは、僕の答えに笑いだした。
「わははは…意外に、子供らしいね。よろしい、よろしい、なら、今日のお昼は、皆んなで鰻にしようか。勿論、俺の奢りだよ。」
おお、やった!…言ってみるものです…嘘は言ってないし、好物なのは本当です。昔、父さんがいた頃に唯一外食に連れてってくれたのが鰻屋さんだったから。
よし、半分は母さんに持って帰ろう。
…
それにしても、子供の僕が働かなければ、成り立たない世の中とは、この世の天秤は、かなり傾いているに違いない。
きっと、僕が頑張って日曜日のお休みに働いている分、働かない大人が、この世の中に居るに違いない。