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薮鴉の森  作者: sakura
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因果 応報

 この世界は、全体的に空が暗い。

 学者の説によると世界全体が罪禍の重みでフォールダウンしてるとか…妖怪が表に跳梁跋扈しだしたのは、その現象の一つであると言う。

 昔、僕が産まれる前の話だけども、日の本の国に、戦相手の米の国からキノコ爆弾が投下された際、国中に大音声が響き渡った。

 「…御返し申す!!!」

 キノコ爆弾の威力は、因果を捻じ曲げて、逆流して米の国の中央付近に…その威力が炸裂した。


 膨大な光りが影をかき消し、全ての音が消え、粉塵がジェット気流と化し、大地が震えた。

 その後、煤塵の雨が、米の国の大地に7日7晩降り続いたという。


 幸い人が少ない砂漠地帯に炸裂したらしいが、その威力を間近に見た米の国の人々は、自分らが落とした爆弾の威力に戦慄したという。

 何を今更だと呆れてしまう。

 だってこれ自業自得だよね。

 他に為したことは、遅かれ早かれ自分に返ってくるものなのだ。

 子供の僕でも知っている。


 こうして戦争は、膠着状態に陥ったまま、現在まで続いているのだ。

 あの日、キノコ爆弾を丁寧にも送り元へお返ししたのは誰だったのか?

 定説では、爆弾を落とすことを決めた者らの思惑が、妖怪の大統領の凛気に触れたとか…。

 

 そんな今日の天気は曇りです。

 空は一面の素敵な灰色です。

 実に良い天気です。

 どんよりしている時には、昼間でも霧のように闇が漂って来て周りが見え難いことがある。


 あれから、日を改めて、学校帰りに又、(へい)さん家に寄ると、当人から、アイドルの仕事について説明を受けた。

 僕は、アイドルユニットの4人組の一員で、僕以外は女の子、らしい…僕だけ一人男で、他が女の子だとアンバランスじゃないのと不満気に漏らしたら、「その通り、今回のコンセプトはアンバラスだ。素晴らしい、ご慧眼だ。流石私が選んだことはある。よし!ユニット名も、この際unbalanceにしよう!」と仰られた。

 おいおい…そんな良い加減でいいのかしらねぇ?

 大いに疑問だが、素人の僕が文句つけても仕方ない。餅は餅屋に、プロに任せたほうが間違いない。

 それから、写真を何枚か撮られて、今日は終わり。

 あとは写真データを元に、いろいろいじって構築するらしい。電脳世界デビューだよ。

 つまり、今日の僕の仕事の出番は元データの提出だけだ。

 令和のアイドルって、こんなもの?

 もっと忙しいのを想像してたけどイメージと違ってました。メンバーとも、まだ一度も会ってやしないし。

 こんなんで、いいの?

 「いいの、いいの、無理はいけない、果報は寝て待て、後は、おいおい…。」

 僕の気持ちに平さんが答えてくれる。

 …

 さては、あなたサトリですか?

 「………。」

 違ったらしい。ならば…そんなに僕、気持ちが顔に出ているのだろうか?


 このあと、お家に帰って、洗濯物を取り込み畳んで、掃除して、夕飯は帰りに買って来た秋刀魚を塩焼きにして母さんと一瞬に食べた。秋刀魚が安かったのだ。

 お風呂に入ってもらい、その間に食器を洗って、ご飯が朝炊けるようセットする。

 母さんと入れ替わりにお風呂に入る。

 予習復習してから、布団を敷いて横になる。


 ああ…今日も無事に過ごすことが出来た。

 布団の柔らかさと暖かさに幸せな気分に浸りながら瞼を閉じた。



 明日もきっと…


 夜の闇は優しいから好きだ。

 

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