IQ1のコネコちゃん
IQ1のコネコちゃん
我が家には、IQ1億のネコちゃんがいる。
7歳だが、瞬足は健在であり、繰り出す猫パンチなど人間の目では追えない。
一方でIQ1のコネコちゃんも、我が家にいる。
こちらはエケチェン(赤ちゃんのネイティブ発音)の中のエケチェンである。
コネコちゃんは、長毛種だ。
フワフワの長い毛を一生懸命毛繕いする。
その毛繕い中に手を差し出すと、そのままぺろぉ〜ぺろぉ〜っと、手をなめてくれる。←ずっと。
毛繕いを忘れてしまうのだ。
人間の手をなめ続ける。
IQ1である。
IQ1億のネコちゃんは、スキを見せることがない。
しかし、コネコちゃんは、堂々とヘソ天で寝る。
お腹を撫でくりまわしても起きない。
警戒心、皆無。
寝返りを打っても打っても、ヘソ天になるよう眠る。
そして、お布団から床に転がり落ちていく。
IQ1の子の寝方である。
ぶっ叩かれるのが分かっているのに、ネコちゃんのトイレを見に行く。
ひどい時は、トイレに入ったネコちゃんをチョイチョイする。
案の定、ネコちゃんにぶっ叩かれる。
だが、毎度、「なぜでちゅか?」という顔をしている。
IQ1である。
カーテンレールにのぼって、おりられなくなる。
エアコンの上にのぼって、おりられなくなる。
その悲劇を何十回も繰り返している。
IQ1の子のルーティーンである。
鏡の中の自分に威嚇する。
自分の影を追いかける。
自分のしっぽを追いかけてグルグル回る。
IQ1の証拠だ。
「トイレはここだよ。」と教えると、ちゃんとトイレでする。
しかし、教えたコネコちゃん用トイレではなく、わざわざ遠くのネコちゃん用トイレでする。
パイセン猫である、ネコちゃんのものを、ことごとく使い、ぶんどっている。
IQ1のなせる所業である。
実際、これを書いている今も、コネコちゃんは、ネコちゃんのベッドで寝ている。
ネコちゃんは、
「解せぬ。」
という顔でそれを見ている…。
子猫が母猫のミルクを飲む時の動作を、うちでは「チュッチュフミフミ」と呼んでいる。
その名の通り、毛布をチュッチュしながら両手でフミフミするのだが…
コネコちゃんは、チュッチュフミフミしながら、お布団を転がり、床に落ちていく。←また
それでもチュッチュフミフミはやめたくないようで、
「チュチュチュチュチュチュ…」
とチュッチュのお口のまま、這い上がってくる。
舌がちょっと出ていて、チュチュチュチュ言いながら、頑張って這い上がってくる。
IQ1が、いじらしい。
壊滅的に運動神経が悪い。
遊んでいても、全く見当違いの方向に飛んでいく。
ジャンプできた、と思ったら、腰から床にドシーンと落ちる。
怪我が怖いので、ソファーの上やお布団の上じゃないと遊ばせられない。
ー調理台の上に何があるか知りたい。
ーしかし、ジャンプして上がれない。
そんな時は、私の太ももにしがみついて、
「ピェェェェェッ!(超高音)」
と泣く。
IQ1の駄々のコネ方である。
たまに足で首の辺りをカイカイする。
だが、足の長さが足りず、全くかすりすらしない。
それでも本人は、
「カイカイちまちた!」
と満足気に歩き始める。
IQ1の子は、自己肯定感の塊である。
IQ1のエケチェン猫、全てがまかり通っている。
この子がうちに来てくれて、本当によかったと毎日思っている。